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あの日の面影 (6)

私のハジメテはありきたりだけど、凄く痛くて『もうやめて』と口にしそうになったけれど、大好きな人の表情を見たら凄く愛しく思えた。


あんな痛みは本当に好きな人じゃないと耐えられない…私はそう思った。

黎人に抱かれて、幸せな余韻に浸っていると


「…帰したくない」


黎人は私の髪を指に巻きつけて遊びながら言った。


「無断外泊したら…」


そこまで言うと「はぁ」と溜め息をついて私を素肌の胸に抱き込んだ。


「利奈を返さなかったら、史明さんに排除されそうだな…」


大袈裟な、とは言い切れなくて「ごめんね」と小さく言うと黎人は私の髪に唇を付けながらクスクス笑っていた。


「オレ、漣の顔を見たらにやけそう」


その言葉にギョッとして黎人に背を向けた


「…恥ずかしいから、嫌。お願いだから普通にして?」


「利奈、約束しろ」


急に真面目な声になった黎人に顔だけを後ろに向けると、背中から抱き締められた。


「どんなに小さなことでも不安になったらオレに言え」


「黎人?」


「溜めこんで良い事なんか一つも無い。…いいな?」


彼の優しさに感謝をしながら、黎人の手の甲にキスをした。


「大好き」


私を受け入れてくれる大好きな黎人を手放したくないよ。


グラッと体が揺れたかと思うと視界が反転して、黎人の顔が真上にあった。


「利奈…壊してもいいか?」


真面目な顔をして何を言い出すのかと思えば…


「ダメ」


壊されるのは困る。


「なんで?」


壊れたら誰が治すんだって…言おうと思ったら深く口付けられた。

相変わらず人の話を聞かない男!


「痛いだけのハジメテなんてオレのプライドが許さない」





「壊れた?」


「…壊れた」


初めてなのに手加減とか考えてくれないこの男を睨むと「利奈が悪い」考えを読んだ黎人が鼻で笑ってサラリと言った。


「なんでっ!?」


「自分の胸に手を当てて良く考えろ」


なんだか無性に腹が立ち、黎人に枕を投げつけた。



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