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お菓子作りのための追放スローライフ~婚約破棄された公爵令嬢は、規格外の土魔法でもふもふ聖獣やゴーレムと理想のパティスリーを開店します~  作者: 速水静香
第六章:新たな食材を求めて

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第二十三話:蜜蜂の女王

 黄金色に輝く、静まり返った蜜の湖。

 その中央に、まるで巨大な蓮の蕾のように静かに浮かぶ、女王の巣。そこから聞こえてくるのは、苦しげな羽音だけだった。その羽音は地響きのように重く、威厳に満ちていた。それでいて、どこかガラス細工のように脆い響きがあった。


 私は、自分の土魔法で作り出した、蜜の湖を渡るための小さな石の橋の上で、ぴたりと足を止めた。


 一歩先は、未知の領域。

 生きて帰った者は誰もいないという、伝説のダンジョンの、まさに心臓部だ。


 むせ返るような甘い香りが、今までよりもさらに純度を増して、私の鼻腔をくすぐる。ただ甘いだけじゃない。百の花々から集めた蜜を、さらに百年煮詰めたかのような、芳醇で、気品があって、そしてどこか物悲しい香り。

 最高の材料が、すぐそこにある。


 私のパティシエとしての本能が、早く前へと進めと、やかましく警鐘を鳴らしていた。

 でも、私の足は動かなかった。


「……シュシュ」


 私の隣で、小さな相棒が、全身の銀色の毛を逆立てて、低い唸り声を上げている。

 彼の琥珀色の瞳は、まっすぐに、湖の中央に浮かぶ巨大な巣を睨みつけていた。その瞳には、今まで見たこともないような、強い警戒心が浮かんでいた。


 無理もない。


 あの巣から放たれる気配は、今まで出会ったどんな魔物とも、明らかに種類が違っていた。

 ただ凶暴なだけじゃない。もっと、こう……巨大で、抗うことのできない、自然そのものみたいな、圧倒的な存在感。

 そして、その巨大な存在が、今、明らかに弱っている。


 苦しんでいる。

 その事実が、私の足を鈍らせていた。


 私は、戦いに来たわけじゃない。

 私が欲しいのは、最高の蜜。ただ、それだけなのだから。


「大丈夫よ、シュシュ。私に、考えがあるわ」


 私が、その銀色の背中をぽんと軽く叩いてやると、シュシュは、分かった、とでも言うように短く喉を鳴らした。


 私は、もう一度、深く息を吸い込む。


 ポケットの中で、ビスキュがくれたお守りのクッキーを、ぎゅっと握りしめた。

 その素朴な温かさが、私の心に、小さな勇気の灯をともしてくれる。

 私は、再び、その黄金の湖の上を、一歩、また一歩と、巣に向かって歩き始めた。



 巣に近づくにつれて、あの苦しげな羽音は、どんどん大きく、はっきりとしたものになっていく。

 そして、巣の入り口らしき、蓮の花びらが少しだけ開いたような隙間の前にたどり着いた時、私は、はっと息を止めた。


 甘い香りに混じって、何か、別の匂いがする。


 酸っぱいような、どこか物が腐ったような、不快な匂い。それは、最高のケーキ生地に、一滴だけ古い油が落ちてしまった時のような、全体を台無しにしてしまう、決定的な違和感。


 私の、パティシエとしての勘が、この巣の中で、何かが、とんでもなく悪い方向へ進んでいることを、はっきりと告げていた。

 私は、シュシュと顔を見合わせると、ごくりと一つ、喉を鳴らした。


 そして、その巣の隙間から、そっと、中の様子をうかがう。

 中は、外から見た印象よりも、ずっと広々とした空間だった。

 壁も床も、全てが滑らかな蜜蝋のような材質でできていて、全体が、柔らかな黄金色の光に、ぼんやりと満たされている。


 そして、その広大な空間の中央。

 玉座とでも呼ぶべき、ひときわ高く盛り上がった場所に、それはいた。


「……大きい」


 ぽつりと、私の口から、感嘆とも、畏怖ともつかない声が漏れた。


 女王蜂。


 その体は、荷馬車ほどもあるだろうか。


 ジャイアントビーたちと同じ、ごつごつとした黒い外殻。でも、その体のあちこちには、まるで王族の装飾品みたいに、純金でできたかのような、美しい黄金の縞模様が複雑な紋様を描いて走っていた。

 背中からは、虹色に輝く、ステンドグラスみたいに美しい四枚の翅が、ゆっくりと、苦しげに動いている。

 その頭部には、女王の証である、ルビーのように真っ赤な、巨大な複眼が、いくつも埋め込まれていた。

 その姿は、ただの魔物というよりも、もはや神話に出てくる幻想的な生き物みたいに、荘厳で、圧倒的な美しさを放っていた。


 でも。

 その美しい女王が、今、明らかに苦しんでいた。


 虹色の翅の動きは、力なく、時折、痙攣したように、びくりと震える。

 黄金の縞模様も、その輝きを失い、どこかくすんで見えた。

 そして、何よりも、彼女の周りの空気が、淀んでいる。


 生命力に満ち溢れているはずの、この巣の中心が、まるで澱んだ水たまりみたいに、生気を失っているのだ。


 ブゥゥゥゥン……。


 私たちが入り口にいることに気がついたのだろう。

 女王蜂は、その巨大な頭を、ゆっくりと、こちらに向けた。

 ルビーのような複眼が、ぎらり、と敵意に満ちた光を放つ。


 腹部の先端にある、巨大な毒針が、いつでも獲物を突き刺せるように、ぴんと張り詰められた。


 戦闘態勢。


 でも、その動きはどこか弱々しく見えた。

 まるで、最後の力を振り絞って、自分の巣と誇りを守ろうとしている、手負いの獣みたいに。


「……戦う気は、ありません」


 私は、両手をそっと広げて、敵意がないことを示した。

 もちろん、言葉が通じるはずはない。

 女王蜂は、私の言葉を、ただの挑発と受け取ったらしい。


 ぎちちちちちっ、と。


 怒りに満ちた、甲高い羽音を立てて、その巨体を、わずかに持ち上げようとする。

 でも、その体が、すぐに、ぐらり、と大きく傾いで、力なく、玉座の上へと沈み込んでしまった。


 やはり、まともに動くことすら、できない状態なのだ。


 一体、何が、この女王を、ここまで苦しめているというのだろう。


 私は、注意深く、巣の内部を観察した。

 そして、すぐに、あの不快な匂いの元凶を見つけ出した。


 女王蜂が横たわる、玉座のすぐ脇。


 そこの壁の一部が、他の場所とは明らかに違う色をしていたのだ。

 その表面は、ぬらりとした、粘菌のようなものに、びっしりと覆われていた。

 本来なら、滑らかな黄金色であるはずの壁。しかし、そこだけはどす黒く、緑がかった色に変色している。

 そこからは、ぷつぷつと不気味な泡が、その表面で生まれては弾けている。


 あの酸っぱいような腐敗臭は、間違いなく、あそこから発せられている。


 そして、よく見ると、その汚染された部分から、本来なら、巣の中心に蓄えられるべき、最高品質の蜜が、外へと漏れ出してしまっているのが分かった。


 あれが原因だ。

 この巣を蝕む病。


 女王蜂は、得体の知れない病に、長い間、ずっと、一人で苦しみ続けていたのだ。

 その事実に思い至った瞬間、私の心の中に、目の前の女王に対する、深い同情の念が私の中でじんわりと広がっていった。

 彼女は、ただの凶暴な魔物なんかじゃなかった。

 自分の巣と、仲間たちを守るために、病と戦い続けていた、孤独な女王だったのだ。


「……ひどい」


 ぽつりと、私の口から声が漏れた。

 このまま、放っておくことはできない。


 私は、パティシエだ。

 最高の作品を作るためには、まず、環境を整えなくては。


 この病に蝕まれた巣は、まるでカビの生えた調理器具みたいだ。

 そんな場所から、最高の蜜が生まれるはずがない。


 私がやるべきことは、一つ。

 この巣を、治療すること。

 この女王を、助けることだ。


「シュシュ。少しだけ、待っていてちょうだい」


 私は、隣で心配そうに私を見守っていたシュシュの頭を、ぽんと軽く叩くと、巣の中へと、一歩、足を踏み入れた。

 あまりにも無防備な行動に、女王蜂が、驚いたように、そのルビーの複眼をわずかに見開いた。


 ぎちち、と威嚇の音が、再び、巣の中に響く。


 でも、私は足を止めなかった。

 女王に向かって、まっすぐに、ゆっくりと、歩み寄っていく。


 武器は、持っていない。


 私の手の中にあるのは、たった一つ。

 ポケットの中で、大切に握りしめていた、ビスキュがくれた、お守りのクッキーだけ。


 私は、女王の数メートル手前で、ぴたりと足を止めた。

 そして、そのクッキーを彼女の目の前の床に、ことり、と置いた。


「これは、戦いのための武器ではありません」


 私は、できるだけ穏やかな声で語りかけた。


「私の、誠意です。私は、あなたを傷つけに来たのではありません。あなたを、助けに来たのです」


 女王蜂は、じっと、床に置かれた、小さなクッキーを見つめている。


 そのシュシュの形をした、愛らしい焼き菓子。

 そのクッキーには、ある秘密が隠されていた。


 森で採れた疲労回復に効果のある、数種類の薬草。


 私が、ビスキュに作り方を教えていたのだ。

 ビスキュは、私の留守を心配して、その特別な薬草を、このクッキーに、たっぷりと練り込んでくれていた。


 その薬草とバターが焼ける、優しい香りが、ふわりと女王の鼻先をかすめた。


 彼女のルビーの複眼から、ほんの少しだけ、敵意が薄れたような気がした。


 しばらくの長い沈黙。

 やがて、女王蜂は、意を決したように、その巨大な頭をゆっくりと下げてきた。

 そして、その繊細な触覚の先で、床に置かれたクッキーに、そっと触れたのだ。


 その瞬間、彼女の巨体が、びくり、とわずかに震えた。

 クッキーに込められた、温かくて、優しい魔力。


 ビスキュの私を想う、誠実な心。


 それが、彼女に伝わったのかもしれない。


 女王蜂は、そのクッキーを口元へと運び、小さな音を立てて食べた。


 そして。


 ぴんと張り詰めていた、女王の巨大な毒針が、ゆっくりと、力なく、床の上へと、だらりと垂れ下がった。


 完全に、警戒を解いた証拠だった。


 私は、ほっと胸をなでおろした。


 どうやら、私の誠意は、無事に、彼女に届いたらしい。


「……ありがとう。信じてくれて」


 私は、にっこりと花が咲くような笑顔を浮かべてみせる。


「さあ、始めましょうか。あなたのための治療を」



 女王蜂の暗黙の了解を得た私は、さっそく、巣の治療に取り掛かった。

 まずは、全ての元凶である、汚染された部分を巣から切り離さなくては。

 私は、どす黒く変色した壁の前に立つと、その場にぺたんと座り込み、両方の手のひらを、ひんやりとした床にぴたりとつけた。


「第一工程、生地の分割。悪い部分は、根こそぎ、取り除きます」


 ゆっくりと目を閉じて、意識を集中させる。

 私のマナを、この巣の壁全体へと、じっくりと、隅々まで浸透させていく。

 私の感覚が、この空間そのものと、完全に一体になった。

 汚染された部分と、健全な部分。その境目を、指先でなぞるように、正確に見極める。


 乱暴に切り離してはだめだ。

 この巣は生きているのだから。


 できるだけ、痛みが少ないように、優しく、丁寧に。


「―――切れなさい」


 心の中で、強く、はっきりと命じる。


 ず、ずず、ずずず……。


 その瞬間、汚染された壁の周りに、まるで熱したナイフでバターを切ったみたいに、滑らかで、綺麗な亀裂が、音もなく走り始めた。

 そして、直径数メートルはあろうかという、どす黒い壁の塊が、ゆっくりと、本当にゆっくりと、巣の本体から完全に分離したのだ。

 私は、その巨大な病巣を、土魔法で作り出した、分厚い岩の壁で包み込んでしまう。


 これで、これ以上、汚染が広がる心配はない。


「次に、浄化。悪いものを取り除いたら、綺麗なものだけを残さなくてはね」


 岩の壁に閉じ込めた病巣に、私は、さらに、マナを注ぎ込んだ。


 イメージするのは、遠心分離機。


 悪い粘菌と、それに汚染された蜜。

 そして、まだ汚染されていない、純粋な蜜。


 その三つを、完全に分離させるのだ。


 岩の壁の中で、見えない力が、高速で渦を巻き始めた。

 やがて、岩の壁の、三つの違う場所から、ちょろちょろと、三種類の液体が流れ出してきた。


 一つは、ヘドロのような、どす黒い液体。これが、粘菌の本体だ。

 もう一つは、少し濁った、黄金色の液体。汚染された蜜。


 そして、最後の一つ。


 それは、今まで見た、どんな蜜よりも透き通っていて、きらきらと輝く、極上の蜜だった。


 私は、どす黒い液体と濁った蜜を、土魔法で作り出した、地中深くの空洞へと完全に封じ込めてしまう。


 そして、残った、極上の蜜だけを、魔法で作った、清潔な陶器の壺へと集めていった。


「ふう、これで、大掃除は終わりね」


 私は、額ににじんだ汗を、手の甲でぬぐった。

 巣の壁には、ぽっかりと、大きな穴が空いてしまっている。

 このままでは、巣の強度が保てないだろう。


「最後の仕上げよ。この穴を丈夫な壁で塞いであげる」


 私は、空いた穴の前に立つと、再び、地面に手を触れた。


 今度は、このダンジョンの奥深く。

 地中深くで眠っている、最も硬くて、純度の高い岩盤へと、意識を伸ばしていく。


 そして、その岩盤の一部を、この場所へと呼び寄せた。


 ごごごごご、と。


 地響きと共に、巣の床から、きらきらと輝く、黒曜石のような美しい岩の壁がせり上がってきた。

 その壁が、空いた穴に、ぴたりと、寸分の狂いもなく、はまり込んでいく。


「……できた」


 私は、満足のため息をついた。

 これで治療は完了だ。


 私が、ゆっくりと立ち上がると、ずっと、私の作業を心配そうに見守っていた女王蜂が、その巨大な頭をゆっくりと持ち上げた。


 その、ルビーの複眼には、もう、敵意はなかった。

 ただ、深い、深い、感謝の気持ちが、温かい光となって、きらきらと輝いている。


 ブゥン……。


 彼女の、虹色の翅が、一度だけ力強く羽ばたいた。

 その羽音は、もう苦しげではなかった。

 静かで、穏やかで、どこまでも優しい音色だった。


 長年の苦しみから解放された、安堵と喜びの音色。


 その美しい音色に、私の心も温かいもので満たされていくようだった。




 女王蜂の体調は、瞬時に回復していく。

 くすんでいた黄金の縞模様は、本来の輝きを取り戻し、力なく垂れ下がっていた触覚も、ぴんと、元気よく持ち上がっている。

 彼女は、その巨体をゆっくりと起こすと、私に向かって、一度、深く、その頭を下げた。それは、王族の最も丁寧な感謝の礼のように見えた。


 そして、彼女は玉座の背後にある巣の壁を、その繊細な前足で、そっと、叩いたのだ。


 すると、それまで滑らかな一枚の壁だと思っていた部分が、まるで水面に広がる波紋のように、ゆっくりと内側へと開いていく。

 その奥にあったのは、今まで見た、どんな蜜よりも、黄金色に、そして、太陽のように、まばゆく輝く、極上の蜜が、なみなみと満たされた、蜜蝋でできた巨大な貯蔵庫だった。


 ふわり、と。


 そこからは、百の花々の香りを、全て束ねたかのような、天国的な香りが、立ち上ってくる。


 これが本当の宝。


 女王だけが口にすることを許される、最高品質の蜜、『ロイヤルハニー』。

 彼女は、その、何物にも代えがたい宝物を、私に、礼として、与えてくれようとしているのだ。


 ブゥン……。


 彼女の翅が、もう一度、優しく、穏やかに、羽ばたいた。その羽音は友好と許可を示す、優しい音色だった。


「……ありがとう。その、お気持ち、確かに受け取りました。大切に、使わせていただきます」


 私は、その神々しい貯蔵庫を前に、恭しく、一礼した。

 ずしり、とした、心地よい重み。これで、私の夢に、また一歩、近づくことができる。

 その、あまりにも、寛大な申し出。私は、嬉しくて、胸がいっぱいになった。


 でも。

 一つ、大きな問題があった。

 こんな、森の奥深くにあるダンジョンに、毎日、蜜を採りに来るわけにはいかない。


 物流の問題。


 最高の材料を手に入れても、それが、安定して、私の厨房に届かなければ、意味がないのだ。


 どうしようか。


 私が、うーん、と腕を組んで、考え込んでいると、その悩みが伝わったのだろうか。

 女王蜂が、ブゥン、と短く羽音を立てた。

 すると、巣の入り口から数匹のジャイアントビーが静かに入ってきて、女王の前に恭しく控える。


 女王が再び羽音を立てると、その働きバチたちは一斉に私の方へ向き直った。

 そして、私の周りをゆっくりと飛び回り、私の服や髪の匂いを覚えるかのような動きを見せる。


「……! もしかして、この子たちに運ばせてくれるというの?」


 私の問いに、女王は肯定するように、優しく羽音を響かせた。

 働きバチたちは、私の匂いを覚えると、まっすぐに黄金の貯蔵庫へと向かい、その小さな体に、一生懸命に蜜を吸い込み始めた。


 やがて、お腹がはち切れそうなくらいぱんぱんになると、働きバチの一匹が、先導するように巣の入り口へと向かって飛んでいく。

 私の家へ蜜を運ぶ、という最初のお仕事をしに。

 健気で、頼もしい後ろ姿。


 私は、その姿が見えなくなるまで、静かに見送っていた。

 これで、全ての問題は、解決した。

 最高の蜜が、これからは、毎日、私の厨房に届けられるのだ。

 私は、女王蜂に、深く一礼した。


「ありがとう。あなたとの、この不思議な出会いを、私は、一生、忘れません」


 私がそう言って別れを告げると、まだ巣に残っていた働きバチの一匹が、今度は私たちの前をくるくると飛び回り、入り口の方へと促すように羽音を立てた。


「まあ……! 私たちを、出口まで案内してくれるの?」


 私の問いに、女王が再び肯定の羽音を優しく響かせる。最後の最後まで、至れり尽くせりのもてなしだった。

 私はもう一度、女王蜂に心からの感謝を込めて一礼し、案内役の働きバチの後に続いて、シュシュと共に光の差す出口へと歩き出した。


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