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第15話 そしてそれから。

奥様の予感は割と早く当たった。


ヴィヴィアンヌ女王陛下が崩御され、彼女の長男、エリオット様が即位されると、軍の影響力が増し、シヴァの総督の権限を脅かし始め…旦那様は総督を辞した。


「時代が変わるんだ。」


そう言って、20年以上お住まいになったシヴァを離れる決心をされた。

奥様はシヴァ帝国の教育省の高官だったから、残る気になれば残れたが…そうはされなかった。

「私たち、耕して種をまくところまではやったのよ。やれることはすべてやったわ。帰りましょう。あとは…シヴァの国民が考えて実行する時代が来るわよ。」

「そうだな。」



旦那様がうまい具合に均衡を保ちながら、イングにもシヴァにも相互に利益があるように、と努力されてきたことは、この時代のイングの政府には評価されなかったらしい。悔しいが。



アニル様は法律専門学校を卒業後に弁護士になり、イング国でのシヴァ人やユーラシアンのために活動なさっていたが、カーリンの姓をお捨てになり、シヴァ国に戻った。お二人とも反対なさらなかった。


「体に気を付けてね。アニル、愛してるわ」

「なにかあったら、知らせて来いよ。お前が俺たちの息子であることは変わらないんだから。」


お二人に抱かれているのを見て、いつの間にかアニル様がお二人よりも背が高くなっていたことに気付く。



時折、私宛に手紙が来る。

直接、イングの貴族に手紙を出すというのが、状況的に難しいのだろう。


奥様の私室のドアをノックする。

「リシュ?いいわよ、入って。」

奥様の部屋は、シヴァ風のベッドカバー以外は殺風景だ。本が本棚にあふれるほどあるのと、壁には、イングの保養地を描いたような風景画が一枚飾られているだけだ。


ここのところ、体調を壊して別荘で静養中の奥様が、羽枕を高くして私を待っていた。

「アニル様から手紙が届きましたよ。」

届いた手紙をお見せすると、にっこりと笑った。


親愛なるお母様へ


何時もの書き出しで始まる手紙には、シヴァで学校時代の同級生にばったり出会い、結婚することにした、と、書かれていた。二人で解放運動に参加しているらしい。


「あら、まあ…うふふっ。ローランドが言っていた通り、時代が変わるのね。」




シヴァはそれから…シヴァ民族独立運動へと向かっていく。





本編 完です。番外編に続きます。

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