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第70話 魔王復活

 その後、俺達は来客用の部屋に案内され、三人で夕食を食べて寛いでいた。


 トーマス達はざっくばらんな食事会も検討していたけど、トーマス本人が病み上がりな事や、協力関係になったとは言え過去の蟠りもあるので、今回は無理をしない事になった。

 トーマスは残念がっていたけど、ローゼマリーの問題が解決すれば、いずれその様な機会もあるだろう。


 ところが、夕食を終えた後、今度はメノウが一悶着を起こす。

 どうやら、俺達に気を遣って、二人きりにしようとしてくれているらしい。


「妾は馬に蹴られたくないからの。もう一つ部屋を用意して貰うつもりじゃ」

「待て待て! ローゼマリーが見つからず、非常事態は続いているんだから、俺達はまとまっていた方が良い」


 とは言え、聖教国とも和解したばかりだし、まだ何が起きるか分からないので、俺は一緒にいるべきだと主張する。

 意見が平行線になった事で、二人でティリアの方を向くと、彼女は困った顔で躊躇いつつも答えを返した。


「私はフェリクスさんに賛成です。まだ全てが解決した訳ではありませんし、私達の安全も確保されているとは言い難いですから」

「ううむ、其方までそう言うなら仕方ないかのう……」


 ティリアにも否を返され、メノウは残念そうに俺達の答えを受け入れる。

 そんなメノウを見かねてか、ティリアは恥ずかしそうに一言を付け加えた。


「その代わり、全てが解決した時は協力をお願いしますね」

「……確かにそうじゃ。ならば、彼奴らはさっさと捕まえねばならんな!」


 そんなティリアのフォローもあって、メノウも機嫌を直す。

 その後は交代で風呂に入り、これまでの疲れも考慮して早めに就寝した。




 しかし、そんな束の間の平穏な時間は、深夜に突然の轟音が鳴り響いた事で破られる。

 明らかな異常事態を受け、俺達は急いで装備を整えて部屋から飛び出した。


 すると、既に何人かの神殿騎士テンプルリッター達が警戒に当たっていて、その中にはソフィアとジョルジュの姿もあった。


「何があったんですか!?」

「フェリクス殿か、あれを見よ!」


 そう言ってジョルジュが指差す先を見ると、遠くにある山が不気味な光を発しながら鳴動するのが見えた。

 天変地異の前触れを思わせる事態に大聖堂の中も混乱しており、そんな人々を取りまとめる傍らで、ソフィアが俺達に振り返る。


「フェリクスさん! あの山は禁断の地ザヴィヤヴァ! かつての魔王の亡骸を封印した不浄の地です!」

「な……!」


 ソフィアの言葉を聞いて、俺達は思わず絶句する。

 未だに魔王の亡骸がのこっている事にも驚いたけど、ソフィアに聞くと聖教国の一部聖職者のみが知る極秘事項であり、魔王封印の伝承もこの事実を元としている可能性が高いらしい。


 たちの悪い事に、ほとんどの人はその事実を知らないにもかかわらず、この異変が法都ユーストゥスの民の恐怖を煽った結果、図らずも真実に遠からずの憶測に辿り着いてしまっていた。

 実際に、周りでは魔王復活の前触れという声が上がっていて、この混乱に拍車を掛けている様だった。


 しかし、俺達はそれが絵空事で終わらない事を知っていた。


「不味い! ローゼマリーには死者を使役する[霊魂再来(リンカネーション)]がある!」

「馬鹿な! 魔王を復活させ、使役しようと言うのか!」


 最悪すら超えた悪夢の様な予感に、魔王の力が世に放たれる前に奴らと決着を付けるべく、俺達は禁断の地ザヴィヤヴァに向かう事を決める。


「ローゼマリーの真の目的は魔王の使役、その力を以って奴は盤面を引っ繰り返す気だ!」


 禁断の地ザヴィヤヴァは、人々を闇に誘う様に尚も鳴動を続けていた――

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