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第55話 伝説の騎竜

 それから、俺達は神剣とセットで奉られていた神盾も入手し、台座を後にする。


 神剣バルムンクが抜けるかは賭けだったけど、ニーベルンゲンが竜王国の領土にあった事から、ゲームでは存在を抹消されていた竜騎士ドラグーン専用武器の可能性があり、それなら竜騎士ドラグーンの俺であれば入手出来るのではと考えていた。

 ダンジョン内の宝箱からも竜鱗の剣クラスの剣は入手出来ていたけど、バルムンクとの差は歴然で、ジークの記憶といい、想定外に大きなプラスを得る事が出来た感じだ。


 もう一つの神代の宝具(アーティファクト)、神盾アイギスはとても小さくて軽く、守備範囲などあってないようにも見えるけど、使用者の意思で盾にはめ込まれた五つの宝玉を制御して宙空に展開し、強力なシールドを張る事が出来る最強クラスの防具だ。

 ゲームでは誰もが装備可能という意味でも優秀な防具だったけど、実際にティリアが装備出来るほどに軽く、シールド展開に魔力が不要な事も確認出来たので、神盾アイギスはティリアに持って貰った。


 その後は聖域セーブポイントでの休憩を挟みながら、ひたすらに最奥を目指して進む。


 バルムンクとアイギスを入手した効果は大きく、魔物との戦いがより短く安全に終えられるようになった。

 バルムンクは竜鱗の剣をも大きく上回る攻撃力を見せつけ、アイギスのシールドに守られた事でティリアは怪我をせずに済む。

 その結果、俺達の進行速度は大きく向上していた。


 その他にも、バルムンクには一つ特殊武装が用意されており、それが思わぬ効果を見せていた。


「ゴールドスライムを見つけました!」

「了解、足止めは頼んだよ!」


 俺達はそう言い合って散開し、目の前のゴールドスライムを狙う。

 ゴールドスライムは俺達の気配を察知して、すぐに逃げようとしたけれど、それをティリアの投げた魔蜘蛛の糸が足止めする。


 ゴールドスライムが魔蜘蛛の糸を抜け出そうともがいているうちに、俺は特殊武装の起動を終えていた。


「薙ぎ払え――[竜騎士の閃光(ドラグーンレイ)]」


 バルムンクから発せられた、ドラゴンの吐く炎を彷彿とさせる[竜騎士の閃光(ドラグーンレイ)]は、ゴールドスライムの居た辺り一帯を焼き払い、その後には何も残っていなかった。

 しかし、すぐに大量の経験値を入手した時の感覚に襲われた事で、先の一撃でゴールドスライムを仕留めた事を理解する。


「凄いです! ゴールドスライムがこんなに簡単に倒せるだなんて!」


 そう言ってはしゃぐティリアに対し、俺は苦笑しつつ頷く。

 これもゲームの知識の応用で、ゴールドスライムは何故かドラゴンのブレスには弱く、明確な弱点として設定してあった。

 ゲームではその弱点を突く機会はあまりなく、豆知識止まりのテクニックだったけど、[竜騎士の閃光(ドラグーンレイ)]がそのバランスを壊してしまった様だ。


 とは言え、俺達からすれば非常にありがたい状況なのは確かで、道中は確実にゴールドスライムを倒してレベルアップに努めながら進んでいく。


 そして、ニーベルンゲンの最奥へ辿り着くと、そこには巨大な扉があった。


 ゲームでは、ニーベルンゲン最後のボスキャラとして、封印の守護竜が待ち構えていた場所だ。

 実際に、ここがダンジョンの終着点であり、いかにも何かあると言わんばかりの雰囲気を醸し出しているから、俺達は警戒を強める。


 封印の守護竜は魔王並の強さを誇る、ゲームでも指折りの強敵だった。

 討伐すると聖女の杖のレベルが上がり、地上へ戻る転移陣が出来るけど、討伐の苦労を考えると割に合わない事から、不評な意見も多く寄せられていたと思う。


 だけど、今になって思えば、それは神剣バルムンクの台座と同様に、何らかのイベントが書き換えられた結果だったからなのかもしれない。


 そんな事を考えつつも慎重に扉へと近づいていくと、突如何年も開いていなかったドアが開くような音がして、ゆっくりと扉が開かれていく。


 扉の奥からは、古めかしい巫女服を着た幼い少女が歩み出てきて、俺達を一瞥した。

 俺達よりもかなり年若く見えるけど、その一方で纏う雰囲気や先ほどの態度を見ると妙に老成している様に見受けられ、人ならざる何かの様にも思える。


 そんな俺の警戒心を察知したのか、少女は口を開いて尊大に告げた。


「随分と騒がしいと思って外に出てみれば、其方らはジークとレフィアの力を受け継ぎし者じゃな? まあ、ここで会ったのも縁じゃし、地上で何があったか聞かせて貰おうかの」


 想定外の事態に戸惑っているティリアを庇いつつ、俺は真っ直ぐに少女と対峙する。


「ああ。俺はフェリクス、リンドブルム竜王国の王太子だ。君の名前を教えて貰えるか?」

「ほう……、知らぬ名の王族がおるとは、随分と時が流れてしまっている様じゃな。妾はメノウ、かつてジークが駆りし騎竜じゃよ」


 しかし、少女――メノウの話した内容が余りにも衝撃的で、ティリアと一緒に呆然とする事しか出来ない。

 そんな俺達を見てにんまりしつつ、メノウは俺達を扉の中へといざなった。

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