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第53話 封印の地ニーベルンゲン

 翌朝、俺とティリアは冒険家の羅針盤に従ってニーベルンゲンの麓を探し出すと、これまた冒険家の羅針盤を活用して道中の無限回廊を突破していった。


 ゲームでは、冒険家の羅針盤があればニーベルンゲンが出現していたので、現実ならではの厄介なギミックに驚きつつも歩みを進めていく。

 辿り着いた先は寂れた神殿で、竜を形取った石像の一部が風化しているなど、相当に年季が入っていて、また人手が入らずに放置されていた事が見て取れた。


 俺達はそのまま神殿の中を歩んでいき、最奥の部屋でニーベルンゲンへと繋がる扉を見つける。

 扉に鍵を差し込むとあっさりと開いたので、俺達は顔を見合わせて、お互いの覚悟を確認してから扉の中へと突入した。




 ニーベルンゲンに入ってみると、洞窟自体が仄かに発光しているらしく、灯りが不要な程度には明るいので驚いた。

 その一方で、封印の地らしい神秘性と共に強力な魔物の気配も感じられるから、道中は気を付けなければいけない。


 実際に、ニーベルンゲンに足を踏み入れてしばらくすると、俺達は魔物共から手荒な歓迎を受けたものの、これまでに鍛え上げてきた力の成果は大きく、それらを難なく退ける事が出来ていた。


「ティリアの方は大丈夫?」

「はい、問題ありません」

「コイツらは地上の魔物よりも相当強力だから、気を付けていこう」

「そうですね。でも、私達もシュテン戦を経て大分強くなれましたし、自信を持って良いと思います!」


 そんな前向きなティリアの言葉に頷きつつ、俺達は更に奥へと向かう。

 ゲームでは何回も潜ったダンジョンだし、その構造や出現する魔物とボスキャラ、落ちている宝箱なんかも大体頭に入っているつもりだけど、ゲームと現実は別物という事なのか意外と苦労していた。


 ゲームでデフォルメ化されていた部分がいざ現実になってみると、例えばダンジョンの縮尺は大きく変わり、より広く、深くなっている。

 もっとも、本当の意味で踏破に何日も掛かるダンジョンがゲームに実装された日には、ガチ勢以外のユーザーは逃げ出すだろうから、ゲームの方が簡易的になるのはやむを得ないのだろう。


 そんな事を思いながら、先へ進む分岐を見落とさない様に慎重に進んでいく。

 魔物もかなり強力になっているので、なるべく会敵を避けつつも、避け得ないエンカウントや美味しい魔物は積極的に狩る様にしていった。


「あ! ゴールドスライムです!」

「ティリアは奴を逃がさない様に立ち回って!」


 中でも、ゴールドスライムはシルバースライムすら比較にならない程の経験値を持つ大物で、この世界でも最もレベルアップに都合の良い幻の魔物として認知されているらしい。

 そして今、俺達はゲームの知識に従い、目の前のゴールドスライムとダークグリズリーの二匹組と対峙していた。


 まずは、ティリアがゴールドスライムが逃げない様に予め退路を潰す。

 ゴールドスライムはその動きに焦ったのか、逃げずに[火炎旋風(ファイアストーム)]を放ってきたけど、これで大きな討伐のチャンスが生まれた。


 俺は[火炎旋風(ファイアストーム)]に耐えて、ダークグリズリーに幻惑の鱗粉を投げつける。

 幻惑の鱗粉が上手く命中した結果、ダークグリズリーは狂乱し、傍らのゴールドスライムを思い切り殴り付けた。

 すると、鉄壁を誇る防御力が嘘の様に、ゴールドスライムは一撃でひしゃげ、そのまま動かなくなる。

 最後に、混乱したままのダークグリズリーをティリアと協力して倒して、俺達は大量の経験値を手にした。


「凄いな……。大量の経験値を手にすると、こんな感じなんだ」


 魔物達を倒した後に、力の源になり得る何かが一気に身体に流れ込んできた感触に驚いていると、ティリアも同じ様に戸惑っていた。

 ゲームの様に数値化されていないのに、シルバースライムやゴールドスライムの有用性が広まっていた事に疑問を感じていたけど、取得経験値があまりにも多いと体感で分かるものらしい。


 一方で、大量の経験値入手の余韻が抜けないのか、ティリアがちょっとぽわぽわした感じになりつつ疑問を漏らす。


「鉄壁の守備力を持つはずのゴールドスライムが、あんなにあっさり倒せて驚きました。あの熊の攻撃力も、そこまで高くは無かったはずですし……」

「確かにね。あるいは、ゴールドスライムが堅いのは敵に対してだけで、味方が相手だとそうでも無いのかもしれない」

「そっか……、そんな考え方もあるんですね。やっぱり、フェリクスさんは物知りです!」


 ティリアの疑問に対し、ゲームで得た知識と言う訳にもいかず、適当な解釈をでっち上げたけど、幸いにして納得してくれたらしい。


 その後に最初の聖域セーブポイントを発見し、今夜はここで休むことにした。


「少々お待ち下さい。……許されざるものを拒絶し給え――[聖域結界(サンクチュアリ)]。これで大丈夫です」

「凄いな、聖域が一段と強化されたみたいだ」

「はい。この辺りの魔物のレベルだと聖域だけでは心許ないので、念のため強化しました」


 ティリアが事もなげにそう言った事で、神聖魔法の凄さを実感すると共に、ゲームと現実は違う事を改めて実感する。

 ゲームではセーブポイントで魔物に襲われる事は無かったけど、現実の聖域はそこまで万能ではないのだろう。


 その後は、食事を摂りつつ、今後の方針を話し合う。

 大まかな方針としては、まずはダンジョンの中間地点辺りにある神代の宝具(アーティファクト)を回収し、それから最奥に眠っているはずの聖杖を目指す算段だ。

 その他にもゴールドスライム狩りを中心としたレベル上げや、聖女レフィアに関する真実などの目的を再確認し、その日は休む事にした。

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