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第20話 新たな稼ぎ場

 翌朝、俺達は早々に町を出発して、翡翠に乗って移動していた。


「次の目的地は、カラルスの大森林ですよね」

「ああ。まだ距離があるから、今のうちにおさらいをしようか」

「はい!」


 ティリアの言った通り、次の目的地はカラルスの大森林で、その狙いはレベル上げを兼ねた資金稼ぎだった。

 ガルダ山からスカーレットワイバーンがいなくなったのは想定外だったけど、ある程度レベルを上げたらカラルスの大森林に移動する予定だったので、それほど影響は無いだろう。


 今回狙う魔物は七色の魔鳥――ケツァールで、シルバースライム程ではないけれど高い経験値と、高額で売却できるドロップアイテムを落とすのが特徴だ。

 得られる経験値と金のバランスを考えると、シルバースライムよりも稼ぎに適していると言えるかもしれない。


 この辺の説明をおさらいしていると、ティリアが素朴な疑問を口にする。


「でも、本当にケツァールとそんなに遭遇出来るんでしょうか? 滅多に見つからなくて、幻の魔鳥とまで言われているのに……」


 ティリアの疑問はもっともなので、まずは身も蓋もない答えを返す。


「確かにね。事実として、カラルスの大森林では普通にはケツァールと遭遇する事は出来ない」

「ええ!? そうなると、最初の話と違うような……。また別な目的があるという事ですか?」


 俺の答えを聞いて、ティリアは驚きつつも、更に質問してくる。

 ガルダ山での経験から、何か裏があるのではと感じた様だ。


「まあ、ヤツを見つけるにはコツがあってさ。だけど、それさえクリアしてしまえば大丈夫だから」

「分かりました。フェリクスさんを信じますね」


 ティリアはそう言って、真っ直ぐに俺を見つめる。

 その曇りのない信頼感に照れ臭さを感じ、俺はティリアから少し目線を逸らしつつ、話題を変える。


「それよりもさ、[疾風の羽(ラピッドフェザー)]には慣れそう? 今回の稼ぎには必須だから、自信がない時は練習しながら進んで行こう」

「その、そうして頂けると助かります。恥ずかしながら、速くなった動きにまだついていけませんので……」


 [疾風の羽(ラピッドフェザー)]は素早さを上げる魔法で、ケツァールを狩る上では必須の手段でもあった。

 と言うのも、ケツァールはシルバースライム以上に逃げ足が速く、魔蜘蛛の糸を命中させる事も困難なため、自分自身の素早さを上げないと、攻撃を当てる前に逃げられてしまう。


 ガルダ山から下りる際に[疾風の羽(ラピッドフェザー)]を試したけど、ティリアは大分苦戦していたから、少しずつ練習しながら進んだ方が良いだろう。



 その後もしばらく空の旅を続けると、ようやくカラルスの大森林が見えてくる。

 ガルダ山と違って鬱蒼と茂った森林が広がっているから、迷子にならない様注意が必要かもしれない。


 やがて、大森林の入り口付近に聖域セーブポイントを見つけたので、そこへ向けて降下する。

 木々が邪魔で、翡翠が着陸出来そうなスペースが無かったので、帰る時は徒歩で森を抜ける必要があり、気を付けた方が良さそうだ。


 俺達は聖域セーブポイントで野営の準備をした後、まずは[疾風の羽(ラピッドフェザー)]の練習をする。

 自己申告の通り、ティリアは素早くなった動きに中々慣れない様で、隣に付いて転びそうになる彼女を受け止めたりしつつ、俺達は訓練を重ねていった。


「きゃっ! ……何度もすみません」

「気にしないで。大分良くなってきたし、もう少し頑張ろう」

「はい、ありがとうございます!」


 最初の方こそ、ティリアを受け止めた時は二人で照れたりしていたけど、お互いにしっかり防具を着込んでいる事もあって、ぶつかった時に身体の感触を感じる事も無いせいか、次第に慣れてしまっていた。

 やがて彼女もコツを掴んだのか、目に見えて動きが良くなっていく。


「そろそろ大丈夫そうかな?」

「はい! フェリクスさんの動きを参考にしたら、上手く動けるようになりました!」


 それから再度[疾風の羽(ラピッドフェザー)]を試してみると、実戦でも何とかなりそうな感じだったので、練習はそこで切り上げて夕食の準備をしつつ、ケツァールの狩り方について説明していく。


「ケツァールは空を飛んでいるし、すぐに逃げるから、事前に[疾風の羽(ラピッドフェザー)]を掛けておいて、遭遇時はいの一番に狩ろう」

「はい」


「ケツァールは逃げる前に、味方の魔物に[回復(ヒール)]を掛けていくから、その隙が狙い目になると思う」

「分かりました」


 そこまで説明すると、今度はティリアが質問をしてくる。


「その、一つ確認したいのですが、私の力でケツァールを倒せるでしょうか? 逃がしてしまう様なら、私はサポートに回った方が良いと思いまして……」


 少し困った顔でそう話すティリアに対し、俺は笑顔で大丈夫と告げる。


「大丈夫だから自信を持って。ガルダ山で相当レベルが上がったから、今のティリアなら倒せるよ」


 俺はそう言いつつ、お互いの武器を確かめる。

 今回は正攻法になるので、武器も元に戻しており、ティリアは理力の杖(フォースロッド)を手にしていた。

 ケツァールはそこまで打たれ強い魔物ではないので、今のティリアのレベルで理力の杖(フォースロッド)を使えば何とか倒せるだろう。


 その後は、ドロップアイテムの回収や、森の中なので他の魔物と連戦になる可能性などを説明していく。

 特にドロップアイテムについては、ゲームとは違い、乱戦になってしまうと壊されたり無くなったりするかもしれないので、気を付けた方が良さそうだ。


 一通りの説明を終えると、ティリアはやる気十分という表情を見せていた。

 今回も戦力としてカウントされた事で、意気込みを新たにしたらしい。


 翌朝早くからの狩りを想定し、その日の夜は早めに休む事にした。

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