表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

二人の無事

「悠輔、電話が鳴っていないか?」

「ん?あ、村さんだ。何だろう?」

 おじいちゃんの家に行って、真実を知ってから一か月、戦いはちょっとずつ激しくなって来てた。

 まだ封印開放を使う程の敵は出てきてないけど、これから先はわからない、どれ位寿命を削って発動するのか、もわかってない、だから、僕自身が強くならないと、って思って、部活を休んで修行に充ててた。

 今はご飯を食べ終わって、のんびりしてた所なんだけど、スマホが鳴ってて、電話の相手は村瀬警部、村さんだ。

「もしもし?」

「悠輔!浩介君達が見つかったぞ!」

「え!?」

「交通事故に巻き込まれたと言う話だ。残念ながらお母さんは……、だそうだが……。」

 村さんから衝撃的な事を言われて、テレビをつける。

 丁度ニュースがやってる、車同士の交通事故、トラックに乗用車が潰されて、運転していた女性は即死、そしてその子供二人が病院に運ばれた、って。

「……。浩、佑治……。」

「悠輔、もしや母上は……?」

「……。でも、二人が無事で良かった……。」

 母ちゃんが死んだ、それは悲しい。

 でも、浩と佑治は生きてる、都内の病院に運び込まれたらしい。

「悠輔、今から私が迎えに行く、だから二人に会いに行こう。」

「でも……。僕は……。」

 迷う、それは、浩達に受け入れられていないかもしれない、って感情があるからだ。

 母ちゃんが僕を置いていって、それ以来二か月会ってなかった、二人。

 二人も、僕の事は知ってると思う、母ちゃんから説明されてると思う、だから、もしかしたら、って。

「悠輔、二人なら大丈夫だ。きっと、受け入れてくれる。だから、会いに行っておいで。」

「英治さん……。一緒に、行ってくれる……?」

「勿論だ。俺はずっと悠輔の傍にいる、……、いつか、忘れてしまうのだとしても、それでもだ。」

「ありがとう、英治さん……。村さん、英治さんも一緒で良いですか?」

「あぁ、英治君は二人を知っているんだったな。なら、安心して私も連れていけるよ。では、すぐに向かう。」

 電話が切れる、僕達は、出かける準備をして、村さんを待つ。

 会って何を話すべきか、それに、受け入れてくれるかどうか。

 英治さんのいた世界では受け入れてくれた、って言っても、こっちの二人がどうかはわからない。

 不安、葛藤、そんな感じの感情が、ぐるぐると心の中に回ってる。


「ここに、浩と佑治が……。」

「大丈夫だ、悠輔。きっと、大丈夫だ。」

「英治さん……、うん……。」

 村さんの運転で病院について、入院してるって言う二人の病室の前につく。

 不安でたまらない、二人は怪我をあんまりしてない、とは言ってたけど、どうなってるのかとか、色々と不安だ。

 決心して、ノックをする。

「……、浩、佑治……。」

「悠……?」

「悠にぃ……?」

 病室に入ると、怪我をしてなかったけど、念の為にってベッドで座って話してた二人がいて、こっちをみてびっくりしてる。

「悠!」

「悠にぃ!」

 僕を僕だと認識すると、二人は飛び上がって、こっちに駆け寄ってくる。

「二人とも……!」

「悠……!会いたかったよぉ……!」

「僕もぉ……!」

「僕も……、会いたかったよ……!」

 二人の言葉を聞いて安心する、英治さんの言葉は正しかった。

 二人とも、僕も、泣きながら再会を喜ぶ。


「じゃあ、僕が戦ってる事は知ってたんだ……?」

「うん。母ちゃんがね、あれは悠輔がやってて、私達は関わらない方が身の為よ、ってずっと言ってたから。」

「悠にぃ独りで戦ってるって聞いて、応援したかったんだけど、母ちゃんが許してくれなくて……。」

「良いんだ。二人が無事でいてくれて良かった、また会えて良かった。母ちゃんの事は残念だけど……。でも、二人が無事で、本当に良かったよ。」

 英治さんと村さんは、僕達が話したいっていう空気を察してくれたのか、病室の外で待っててくれてる。

 僕は、二か月ぶりに再会した兄弟達、大切な兄弟達と、会えて嬉しかった。

 母ちゃんの事は残念だと思う、でも、正直僕の事を知ってて見捨てたっていうのなら、それ以上の感情は湧かない、ただ、二人がどう思ってるのか、それだけが心配だった。

「それで、悠は今は部長と一緒に暮らしてるの?」

「うん。英治さん、ちょっと話がややこしいんだけど……。パラレルワールドからきて、僕の事を知ってたんだって。僕と恋人だったから、って言ってくれたんだ。」

「そうなの?さっきのお兄さん、違う所から来たんだ?」

「うん。だから、僕が知らない事も知ってた、竜神王様の事とか、僕が戦ってる理由も、知ってたよ。」

 難しい話をしてると思う、僕も最初は信じられなかったから。

 でも、二人は、僕がそう言う冗談をいうタイプじゃない事を良く知ってる、それに、僕が戦ってる事も知ってる、だから信じてくれたみたいだ。

「じゃあ、部長にはお礼を言わなきゃ。悠の事、助けてくれてたんだから。」

「ね!」

 これから先どうするか、なんて話はまだいい、多分だけど、一緒に暮らす事は出来るだろうし、大丈夫だと思うから。

 今は再会出来た事を祝いたい、嬉しいって言う気持ちと、ほんのちょっと悲しい気持ちが、僕の中にある。

 きっと、それは二人も一緒なんだと思う。

 母ちゃんが死んじゃった、なんて言ったら、普段の二人だったら泣き出しそうだと思ってたけど、僕を見捨てて逃げて、って言う事が、二人にとって、母ちゃんをそれだけの存在にしちゃったんだと思う。

 僕もそうだ、母ちゃんが死んじゃったのは悲しい、でもあの人は、わかってて僕一人にしていった、何かを言う訳でもなく、僕に真実を告げるでもなく、力に覚醒した時に出ていった。

 母ちゃんにとって僕は、それだけの存在だったんだろうな、とも思っちゃう。


「二人とも、無事でよかった。俺は英治、今は悠輔と一緒に暮らしているんだ。浩輔と佑治とも、一緒に暮らす事になるか。」

「部長って呼んだ方が良いですか?それとも英治さん?」

「英治で良い。一緒に暮らすと言うのに、部長呼びでは堅苦しいからな。それに、俺は二人の事も良く知ってる、だからそれで良いんだ。」

「ありがとう!英治さん!」

 少し時間を置いて、佑治は英治さんと会うのは初めてだから、自己紹介をする。

 浩輔は、ちょっとだけ中学の部活で一緒だった、一か月もいなかったけど、それでも覚えてたみたいだ。

 二人の顔をみて、英治さんも安心したみたいだ、ホッとした顔をしてて、気が緩んでる。

「じゃあ、検査だけしたら退院なんだね?」

「そうみたい。」

「おじいちゃんも、楽しみにしてると思うよ。一緒には暮らしてないけど、でも心配はしてたから。」

「おじいちゃん、今は独りで暮らしてるんでしょう?あんなに大きなお家、寂しくないのかなぁ。」

 おじいちゃんには、村さんに送ってもらう途中に連絡入れてあって、今は返事が来てる。

 二人の無事を喜んでて、母ちゃんの事は残念だけど、仕方がなかったんだろう、っ手幹事らしい。

 これから先の行政的な手続きをお願いしながら、浩と佑治が今日は検査の為に入院する、って聞いて、一回帰らなきゃならない。


「じゃあ、二人とも、明日迎えに来るからね。」

「うん、ありがとう、悠。」

「明日ね!」

「二人とも、きちんと睡眠を取るんだぞ?体に悪いからな。」

 二人と一回ばいばいして、村さんの運転で家に戻る。

「悠輔、良かったな。」

「うん。」

「浩輔君達は、知っていたのだろう?悠輔が戦っている事を、そして自分達の一族の事を。」

「はい、知ってたと思います。母ちゃんが、掻い摘んで説明してたんだって、話をしました。でも……。浩が戦うんじゃなくて、本当に良かった。僕で良かった、浩が戦って、は何も出来ないなんて、耐えられなかっただろうから。」

「そう言うところは、悠輔は変わらないんだな。俺のいた世界でも、悠輔はそう言っていたよ。ディンさんの依り代になったのが自分で良かった、浩輔が傷つく所を見たくなかった、と。……。そう言えば、浩輔達には伝えなくていいのか?」

 伝えなくていいのか、それは、僕の将来の事。

 いつか、勝って消えるか負けて世界が滅ぶか、二択の選択肢しか遺されてない事、それは浩達には言わなかった。

 言った所で何かが変わるわけでもないし、浩達を傷つける事はしたくない、だから、言えない。

「……。僕は、いつか消える運命。それは変えられないんだと思う、ただ、僕は守りたい。だから、言えないよ。いずれ忘れる事だとしても、今を苦しめる事になりかねないから。」

「そうか……。なら、俺が何かを言うのは間違いだな。」

「……。僕は……。」

 遠くない将来、近い未来、僕は消える。

 それが死なのか記憶や記録から消えるのか、それはわからない、ただ、消える事は確定してる。

 千年前の当代、陰陽師の長だった僕のご先祖様の力は、それだけ強いんだと思う。

 ただ、そうだったとしても、守りたい。

 だから、僕は戦う。

 未来の為に、皆の為に。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ