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旧友

「一次試験は以上になります

 結果は後日、お二方が冒険者協会を訪れた際にお伝えします

 それでは、お疲れさまでした」


ユラさんの挨拶が終わると、私は荷物を急いでまとめ

外で待機していたナルディの元へと走り出した


「終わった! ナルディ終わったよ!」

「お疲れ様ですサタナ様!」

「大変だったー! ってナルディどうしたの?」


なんだかナルディが話しづらそうにモジモジとしていたのだ


「その… お疲れのところ申し訳ないのですが…」

「うん?」

「その… この後の予定は決まっていますか?」

「ん? 特に決めてないけど… 何かしたいことがあるの?」

「先ほど旧友に出くわしまして、お茶でもどうかと誘われたんです」

「ふーん、それって私も行っていいの?」

「もちろんです! もう主人が付いたと自慢したいです!」

「あはは! それでどこで待ち合わせなの?」

「スランカフェです」

「レヴァさんのとこじゃん!」

「ご存じなのですか?」

「うん、オーナーのお兄さんがお父さんの仕事仲間なんだ」


というわけで試験が終わった足でルッカの南にあるスランカフェに歩を進めた


〈冒険者協会〉

 ↓

〈スランカフェ〉


ルッカ中心街から小道に入った突き当りに赤を基調としたカフェが現れた

戸を開けるとカランコロンという心地の良い音が鳴った


「いらっしゃいませ… あ! サタナちゃんいらっしゃい!」


――――――――――――――――――――

〈名前〉レヴァ・スラン    

〈種族〉兎族           

〈属性〉地            

〈レベル〉11           

〈ミンラ〉植物の状態が分かる   

〈職業〉カフェのオーナー     

〈能力値〉――         

――――――――――――――――――――


「こちらがサタナ様のお知り合いの…」

「うん! この人は兎族のレヴァ・スランさん

 レヴァさんはお父さんの仕事仲間のロッコさんっていう人の妹さんなんだ」


ざっとナルディにレヴァさんの事を紹介している間

レヴァさんはナルディの事を興味津々に見つめていた


「最近顔出してくれないから嫌われたかと思ってた!」

「ごめんねレヴァさん、最近旅に出てて久々にこの辺に帰ってきたところなんだ」

「ふーん? それでそちらのかわいいお嬢さんが旅のパートナーってわけだね?」

「うん! 赤龍族のナルディだよ!」


まだ褒められることに慣れていないからかナルディの顔は真っ赤だった

しかしすぐに冷静さを取り戻しレヴァさんに向き直った


「こんにちはレヴァ様! サタナ様の従者ナルディ・ロフです」

「おぉ… レヴァ様っていい響き…」

「何言ってんの…」

「いいなぁ2人旅! 私も連れて行って欲しい!」

「カフェはどうする気なの…」

「うーん兄貴に託すか…」

「そうは言っても、今ロッコさんって行商人でしょ?

 何処にいるかわかってるの?」

「ん-知らね!」

「だよね… じゃなくてナルディ!」

「は、はい!」


少し普通とは違う店内の様子を見ていたナルディは

話を振られると思っていなかったらしく動揺して返答した


「旧友さんは見つかったの?」

「いいえまだ来ていないみたいです、もう時間は過ぎていますのに…」

「ふーん? それじゃあ何か飲みながら待ってよっか

 ここの飲み物美味しいんだよね」

「お、うれしいこと言ってくれるね! それじゃオーダー取るね」

「ナルディはコーヒー大丈夫?」

「はい!」

「じゃあコーヒー2つで!」

「はいよー!」


そういうとレヴァさんはカウンターに消えていった


【60ケル→56ケル】


結局しばらくしてもナルディの旧友さんは現れなかったので

立ち席からソファー席に変えて待つことにした

ソファー席の片側にナルディと横並びで座る


「とても賑やかな方ですね」

「あはは、私もそう思うよ」

「コーヒー2つお待ちどうさま!」

「ありがとレヴァさん!」


他に客がほとんどいなくて暇になっていた

レヴァさんを交えてお喋りをしていると

再びカランコロンと音が鳴り青龍族のお姉さんと

なんだか見覚えのあるお兄さんが店内に入ってきた


「おっと、そろそろ私もオーナーモードに切り替えますかね」

「ナルディ、あの人?」

「はい、そうです! 彼女が私の旧友の… ギャッ!」

「ナルディィィィ! 会いたかったよぉぉぉ!」


旧友さんの説明を始めようとしていたナルディに

青龍族のお姉さんが体当たりを食らわせた


――――――――――――――――――――

〈名前〉リアン・クハラ  

〈種族〉青龍族  

〈属性〉風     

〈レベル〉33 

〈ミンラ〉風の中級魔法を操る 

〈職業〉――   

〈能力値〉――   

――――――――――――――――――――


「な、なんてことをしてくれるんですか… リアン…!」

「あっはは! ごめんごめん!

 ナルディに久々に会えたことがホントにホントにうれしくて!」

「さっきも会ったじゃないですか…」

「だって、さっきはナルディが無視して歩き去ろうとしたから

 約束取り付けるので精一杯だったもん!」

「はぁ…」


ナルディが頭を抱えてため息をついているとリアンは急に私の方へと向き直り

私の頭のてっぺんから足元までジロジロと見てきた


「貴方がナルディの主人?」

「は、はい! サタナ・クライです!」


急展開に驚きつつも自己紹介をして手を差し出したのだが完全にスルーされ

リアンは再びナルディの方を向いてしまった


「ねぇナルディ?」

「どうかしましたか?」

「なんでこんなのを主人に選んだの?」


流れるように暴言を吐かれた気がしたと同時にナルディがリアンを殴っていた


「ナルディ!?」


いつものナルディからは考えられない行動に動揺して大きな声が出てしまった

しかし私の声すらも聞こえていないようで尻尾を床に叩きつけて威嚇していた


「サタナ様への侮辱は絶対に… 絶・対・に! 許しませんよ!」

「ご、ごめんってば…!

 ただナルディを人族に盗られたのが悔しくって意地悪したくなっちゃった!」


ほんの少しの対話しかまだ聞いていないが

リアンと言う龍族は自分の考えを全く隠さないタイプの人だと一瞬にして悟った


「あっはは! ごめんね! サタナだっけ?

 ナルディにあそこまで本気で殴られたのは初めてだよ!

 ナルディのあなたに対する思いは本当に強いんだね… 負けたよ…!」

「え、あ、はい」


突然人が変わったかのように接してきたので

どうすればよいのかわからず困惑してしまった


「リアン…! 来て早々迷惑をかけないでくれ…」


リアンを叱りながらお兄さんが向かい側の席に着く


「あー! 貴方は試験会場にいた人! えっと… カ… カキ… カツキだ!」

「あぁ、カツキ・クハラだ」


―――――――――――――――――――――――――

〈名前〉カツキ・クハラ             

〈種族〉人族                  

〈属性〉水                   

〈レベル〉5                  

〈ミンラ〉速く長い時間歩くことが出来る     

〈職業〉――                  

〈能力値〉――                 

―――――――――――――――――――――――――


「よろしく! 2人とも家名がクハラってことはユラさんの兄弟?」

「惜しい! 私とユラは姉妹だけど」

「俺と2人は従兄弟だ」

「だからユラ様を最初に見たときにほんのり見覚えが有ったんですね」

「ふーん、2人は一緒に旅に出てるの?」

「いいや、俺は配達員になるためにドラゴンライダーの試験が受けられる

 地国の冒険者協会を訪れたんだ」

「配達員?」

「あぁ、龍族の超スピードを使って5国間の物の運搬をする大事な仕事だ」

「私も最近仕事を失ったばっかりで渡りに船ってところなんだよ、あっはは!」

「リアン… 貴方って人は… はぁ…」


そんなこんなで凸凹4人組でする会話は意外にも弾み、楽しい時間を過ごすことが出来た


「それではそろそろお開きにしましょうか」

「えぇぇぇ!? ナルディィィィ! 次はいつ会えるぅぅぅ!?」

「あぁ、もう! どうせいずれ会いますよ!」


泣きつくリアンを荒っぽく突き放すナルディ

こんな調子でいつもとは全く違うナルディの様子が見れて面白かった


「終始本当に迷惑をかけたな、すまなかった」

「気にしないで! 私もそうだしナルディもなんだかんだ楽しそうだったから」

「そうか、ならよかった… 次は実技試験で会おう」

「うん!」


挿絵(By みてみん)

地図→https://www.pixiv.net/artworks/108914302

次回は6月17日です


・・・・・・


前回の問題の答え↓

(1)ウ (2)ウ (3)2

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