試練
いつの間にか自分は眠っていた
「ナルディ! ナルディは!?」
「いますよ…! 私はいつだってサタナ様のそばにいます…!」
「ナルディ… よかった… 本当によかった…!」
ナルディに抱きつくとしばらく涙が止まらなかった
申し訳ない思いはありながらも涙は止まることを知らなかった
「落ち着きましたか?」
「うん… ごめんねナルディ…!」
「謝らないでくださいサタナ様! そうだ、朝ごはんの準備をしてきますね」
「わ、私も手伝う!」
「サタナ様はもうしばらくお休みになっていてください
昨日は私を背負って走ったから相当お疲れでしょう?」
そう諭すように言ってリビングに行ってしまった
部屋に残されるのもなんだか寂しいので着替えてリビングに向かった
「おはようサタナ」
リビングに入ると本を読んでいたお父さんが声をかけてきた
「おはようお父さん」
「いつの間にか帰っててびっくりしたぞ」
「あはは、ただいま」
「あぁおかえり」
「まぁ朝ごはん食べたらすぐ出るんだけどね」
「だろうな、そういえばナイフの調子はどうだ?」
「物凄く良いよ! これのおかげでレベルが私より上の魔物にも勝てたんだよ!」
「そうか! それはよかった!」
ソファに座って雑談を交わしながらチラッとナルディとお母さんの様子を見ると
仲良さそうに朝ごはんの準備をしていた
「いつの間に仲良くなったんだろ」
「ようやく起きたのかい、おはようサタナ」
「おはようお母さん、昨日は本当にありがとう!」
「気にしない気にしない! そんなことよりも良いものを得たしね」
そう言ってお母さんはナルディにウィンクした
「え? どういうこと?」
「ほら、気にしないで早いとこ食べちゃいなさい!
今日中にはルッカに行きたいんでしょう?」
「うん!」
「サタナ様、どうぞ!」
そう言って、トーストやらいろいろ用意してくれた
「ありがとう!」
「本当に手際がいいね、嫁に来るかい?」
「そ、そんな… 褒め過ぎです…」
「ほんといつの間にそんなに仲良くなったの…?」
いつも家で並んでいた朝食を久々に食べた後、ルッカに向けて出発した
「「いってきます!」」
「「いってらっしゃい!」」
〈アルミド〉
↓
〈地国南〉
↓アルミドールッカ街道
〈地国東〉
↓
〈ルッカ〉
↓
〈冒険者協会〉
数日振りに冒険者協会の扉を開く
ほんの数日しか空いていないはずなのに長旅だったからか少し感動した
「着いたー!」
「あ! お帰りなさい! サタナさんナルディさん!」
「ただいまユラさん! 依頼完了の報告に来たよ!
って、そういえば討伐したかどうかってどうやって確認するの?」
「冒険者カードに全て記録されています! なのでカードを渡してください」
「はい!」
「少しお待ちください…」
そう言うとユラさんは上の部分に円形の穴が開いた机を取り出した
「それは…?」
「これはカードの読み取り機のようなものです!
この穴の開いている部分に水晶玉をのせて…」
そう言って取り出した水晶玉を穴の部分にはめ込む
「そして、水晶玉の下にカードを置くと…」
水晶玉の上に文字が浮き出てきた
そこに魔物の討伐数や所持金はもちろん
移動距離や出身などまでが事細かく書かれていた
「すごい…!」
「ですね…」
「えぇと… 確認したところ炎スライムの討伐数は2匹ですね!
依頼達成です! こちら報酬になります!」
――――――――――――――――――――
[達成]
〈内容〉炎スライム2匹の討伐
〈レベル〉5
〈場所〉地国北(クミル周辺)
〈報酬〉50ケル
――――――――――――――――――――
そう言いながら依頼書にクリアのハンコを押して報酬の50ケル渡してくれた
【20ケル→70ケル】
「そういえば、サタナさん…?」
さっきまでニッコニコだったユラさんが突然真面目な顔をして話し始めた
「ひゃい!? ど… どうかしました?」
突然ユラさんの雰囲気が変わったことで変に上ずった声が出てしまった
そんなこと気にする様子もなくユラさんは淡々と話を進めた
「確認なんですが3日程前にルッカークミル間で龍族に乗りましたか?」
「はい! ナルディに乗りましたけど… 何か問題がありましたか?」
「大ありです! 免許を持たずに龍族に乗るのは違反行為です!」
「免許!?」
「本来、龍族に乗るにはドラゴンライダーの免許がいります!
これはライダーの安全と空中の安全を確保するために
新暦213年にリウクス全土で制定されました」
「知らなかった…!」
「私のせいです! 何か罰があるなら私が何とかします!」
静かに聞いていたナルディが自分とユラさんの間に入って大声で言い放った
「お… 落ち着いてください!
確かに場合によっては罰金ものですが、幸い事故などは起きていないので
『しっかりと免許を取ってくれれば大丈夫』と上から言われました!」
「免許を取るって… そんな簡単に取れるものなんですか?」
「まぁ試験が2つあるだけですのでそこまで重く考えなくて大丈夫ですよ」
「試験ってどんなものですか?」
「そうですね、試験は筆記の一次試験と実技の二次試験に分かれています
そして試験の申請はここ、地国の冒険者協会が受け付けています!」
「わかりました、やります!」
「はい! ではまずは筆記の一次試験ですね!
試験は年に1回行われるのですが… その…」
順調に試験について説明を進めていたユラさんだったが突然歯切れが悪くなった
「ど、どうしたんですか?」
「その… 大変申し上げにくいのですが…
一次試験は明日の10時からなんです! なので頑張って勉強してください!」
「え… えぇぇぇ!?」
「サ… サタナ様頑張りましょう!」
〈冒険者協会〉
↓
〈宿屋ラミラ〉
【70ケル→60ケル】
「うぅ… どうしよう…!」
「落ち着いてくださいサタナ様
ユラ様曰く、『ドラゴンライダーの免許は実技の二次試験がメインなので、
試験とはいえ学校で習うレベルの歴史や地理問題しか出ないです!
というより出せません!』
…だそうなので前に買った本を使いながら勉強しましょう!」
「うん… 頑張る!」
久々のナルディ先生に頼りながら本の中身を必死で頭に叩き込んでいった
勉強を開始してから5時間ほどたったところで
「では、小テストを始めます!」
「なるほど! かかってこーい!」
「第1問! 現在リウクス地方は新暦501年ですが
旧暦で数えると何年でしょう?」
「新暦は天国が落ちてからの暦だから…
+7002年すればいいはず… 旧暦7503年!」
「正解! 第2問! 歴史上最古のドラゴンライダーは誰でしょう?
また、乗っていたとされる龍は何族?」
「ミラ・ラハロ! で… 赤龍族!」
「正解! 第3問! 炎神・鉄神・風神・水神・地神の内
一番古い守護神は誰でしょう? また、その年齢はいくつ?」
「地神で7503歳!」
「正解! さすがに簡単すぎましたかね?
第4問! 現在確認されている龍族の中で色の名前がつかない龍族の名前は
天龍族と何族?」
「えぇ… 覚えてない…! パス!」
「答えは虚龍族です!
1問解けませんでしたが、絶対出そうなところは覚えられているみたいですね!」
「知30は伊達じゃないでしょ!」
「はい! 本当はまだ続けたいですが…
これ以上やると明日の試験に影響が出てしまいますのでそろそろ寝ましょう」
「そうだね! お休みナルディ、あとありがとう!」
「いえいえ、どういたしまして! 試験頑張ってくださいね!」
「うん!」
突然勉強を始めたことで知ったことがとてもたくさんあったが
旅に使うと考えれば全く苦ではなく、むしろ楽しかった
学校の授業もこんな感じだったら良かった、などと考えながら私は眠りについた
・・・・・・
〈宿屋ラミラ〉
↓
〈ルッカ中心街〉
「寝過ごしたぁぁぁ!」
「ごめんなさい! 本当にごめんなさい!」
「ナルディが謝る必要ないよ! 本当は私が起きなきゃいけないんだから!」
私たちは宿を飛び出し冒険者協会に向けて全力疾走していた
周囲の人から生暖かい視線を向けられているのを
恥ずかしく思いつつもひたすら走るしかなかった
〈ルッカ中心街〉
↓
〈冒険者協会〉
「はぁはぁ… 間に合った?」
「お、おはようございますサタナさん、もしかして寝坊されました?」
「はい… うぅ… 恥ずかしい…!」
「とりあえず間に合ったようでよかったです…」
「はい、受験者登録完了です! ではあちらの部屋にどうぞ!」
ユラさんに案内されて奥の部屋に向かった
部屋は横並びに机2つと椅子が2つがあるだけというとてもシンプルな部屋だった
奥の方の椅子には自分と同じか少し年上のお兄さんが座っていたため
手前の席に腰を下ろし開始を待った
しばらくすると扉が開いてユラさんが入ってきた
普段おろされている髪は後ろできゅっと結びあげられ、正装を身に纏い
いつもは感じられない怖さを漂わせていた
「本日はドラゴンライダー免許取得試験、一次試験を行います
試験監督のユラ・クハラです、サタナ様とカツキ様で間違いないですね?」
「は、はい!」
「あぁ」
「では、一次試験… 始め!」
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[1]適当なものを選びなさい
(1)現在リウクス地方は新暦何年か
ア7503年 イ7002年 ウ501年
(2)龍族は全部で何種類か
ア1種類 イ3種類 ウ7種類
(3)地国に無い街道を選べ
1アルミドールッカ街道
2ルッカーヤム街道
3クミルーヤム街道
[2]空欄に入る適当な単語を書きなさい
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地図→https://www.pixiv.net/artworks/108893589
次回は6月11日です
・・・・・・
問題はこれより前までの話で解けるものとなっていますので
良かったら解いてみてください!
答えは次回乗っけます!