終点
〈風の神殿〉
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〈鉄国東〉
「そういえばキャルは神殿を作ってないんだっけ」
「そうなのか、まぁ確かにあのお方は常に第一の壁で指揮を執っていたか」
「鉄神と炎神は自らが国の長となっているからの
わざわざ離れを作る必要がなかったんじゃろ」
「とはいえ… 壁のなくなった鉄国でどのように探すのですか?」
鉄国に入ってから薄々気づいていたが影蛇によって破壊された3つの大壁は
作り直されることなく完全に消え去っていた
「前回会ったときは復興の指揮を執ってたから簡単に見つかったけど…
今はどこにいるんだろう?」
「あ、サタナ!」
振り返るとイルナ様が手を振りながら近づいてきていた
「イルナ!」
「もー! あれからどうしてたか心配したんだよ!」
「ごめん… いろいろ忙しくて…」
「まぁナルディちゃんから聞いたからいいんだけどさ!」
「そうなんだ… そうなんだ!?」
「勝手ながら地国で会った際に話してしまいました…」
「いや別にいいんだけど…」
「それで、サタナたちはここでなにをやってるの?」
「えっとね鉄神に会いに来たんだ」
「鉄神様なら今はあそこにいるよ」
イルナ様が指さす先は鉄国の中央に聳えるムラクア山を指さした
「なっ… ムラクア山はとっくの昔に崩されたはずじゃ…」
「フティちゃんの助けを借りたんだ!」
後ろからそう言う声が聞こえた
声のしたほうを向くと鉄神が手を振りながら笑っていた
「キャル!?」
「やっほー母さん! ここに何しに来たの?」
「今はみんなと一緒に5神のみんなの様子を見て回ってるの」
「ふーん、みんなどうしてた?」
「ランにはまだあってないからわからないけど
それ以外のみんなは普通に元気にしてたよ」
「そっか…」
「なんか元気ないね?」
「だって思う存分戦えなくなっちゃったからね…
今本気で戦ったらせっかく復興が進んだ国を壊すことになるし…」
「相変わらず戦闘狂は変わらないんだね…」
「そりゃあね、むしろなんでみんな戦わずにいられるのかわからない!
だって僕たちは生まれた時から戦ってたんだよ?」
「分かった分かった、今度私の神殿に来たら戦ってあげるから!」
「言ったね!? やった!」
そういいながら鉄神はスキップしながらムラクア山に戻っていった
「なんというか鉄神はいつになっても変わらなさそうじゃな…」
「まぁ別称が軍神ってくらいだからな…」
〈鉄国東〉
↓
〈ジギラ火山〉
サタナ様のご厚意により私たちはジギラ火山を訪れていた
「ここがナルディの故郷…」
「最近は炎龍様の協力もあってだいぶ復興してきました」
実際その言葉通り荒れ果て溶岩の出も止まっていた山は
龍族の姿が少しずつ増え溶岩も力強く噴き出すほどまでになっていた
「ここです!」
たどり着いた場所には私たちが過去に置いた石5つとお花が咲いていた
「花…? 火山に咲くんですね…」
「咲かないこともないんじゃがまぁ稀じゃな」
「この花は…!」
「私が蒔かせてもらった、気に入らなかったら申し訳ない
ただ、この花は龍族が好んだ花だと旅商人から聞いてな」
「その通りです… この花はお爺様が好きだった花です…!」
「カルロッテにしてはやるの! まさかお主のことを花の件で
見直すことになるとはの!」
「おい!」
そうして私たちはお爺様のお墓に手を合わせてその場を後にした
〈ジギラ火山〉
↓
〈炎国城〉
「サリさんはオドロ火山に行かなくてよかったの?」
「未練がないわけではないんじゃが、儂に肉親の記憶はほとんどないからの」
「そうなんだ…」
「お前ら止まれ! この先は炎神様がいらっしゃる場だぞ!」
話しながら炎神がいる部屋に入ろうとすると
扉の近くに立っていた兵士にそう怒られてしまった
「あやつ儂らのことを知らぬのか…」
「なかなか命知らずですね、一発殴りますか」
「その気持ちはわからなくもない」
「待って待って! 私が姿を変えてなかったら当たり前の反応だよっと!」
そうみんなを宥めながらサタナ様はその場で翻って「天神」の姿になった
「え… え…?」
それを見た兵士は驚きすぎたのか腰が完全に抜け立てなくなっていた
「というわけだからここを通らせてもらうね」
「は… はははいぃぃ…」
そうして大きな扉を開けて部屋に入った
「脅かしすぎちゃったかな…」
「母君、来るなら来ると言っていただきたい」
「ごめんごめん、本当に突然来ることになっちゃってさ」
「まぁ今は不問としよう、それで何故ここに?」
「相変わらず話し方固いなぁ…
まぁいいや今はただただみんなの様子を見て回ってるの
それで、炎国の様子はどう?」
「そうだな、状況は最悪だった
だが元からそこまで豊かな場所でもなかったのもあって復興は楽だった」
「そっかでも貴方は結構疲れてそうだからちゃんと休んでね」
「母君こそ、様子を見るに天国の復興を急ぎすぎたからか
体から大幅にマナを失っているようだ」
「うっ… わかったよ、ありがとうね」
「別に感謝されるようなことは言ってないはずだが?」
「あぁもう! じゃあね!」
「あぁ」
〈炎国城〉
↓
〈天国北〉
そうしてやっとのことで天国にたどり着く
「天国… 本来の姿はこれほど美しいものだったんですね…」
「そうじゃな…」
「なんかいろんなもの全部ひっくるめてようやくですね」
「これで終わりか…」
「じゃあ改めて…」
サタナ様は私たちの前に立ち手を広げてこう言った
「ようこそ天国へ!」
地図→https://www.pixiv.net/artworks/113700801
次回は11月26日です
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遂に地天旅が最終話を迎えました!
今まで読んでいただいて本当にありがとうございました!
明日と来週の土曜日には感想と解説を投稿する予定です!