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旅路

〈クライ家〉

 ↓

〈地国東〉


「そういえば天国にはどうやって行く予定なんですか?」

「普通にルフドイじゃないの?」

「それも考えたんじゃが折角なら復興した各地を見て回りたいと思っての」

「確かに各国も大きさは違えど被害は受けていますからね」

「それじゃあ早速フティちゃんに会いに行こうか!」


そう言うとサタナ様は身を翻して「天神」の姿に変わった


〈地国東〉

 ↓

〈地の神殿〉


ここはアヤク湖の底から繋がっている洞窟の中

サタナ様が突然湖に飛び込むから何事かと思えばここが神殿の在りかとは


「まさかこんな所にあるとは思わなかったのじゃ…」

「やっほー! フティちゃん!」

「だからその名前で呼ぶなっつってるだろうが! お袋!」

「相変わらず何でこんな所に住んでるの…?」

「そんなの俺の勝手だろうが!」

「まぁ無理に人と関われとは言わないけどさ」

「それで、何の用だよ?」

「元気でやってるかの確認!」

「じゃあその心配は地国にはいらないな、ここは天国から離れてるだけあって

 被害もほとんどなかったしな」

「そっか、それならよかった… ありがとうね!」

「俺は別に何もしてねぇよ」

「そっか…!」


そう端的に済ませてサタナ様は私たちの元に戻ってきた


「よかったんですか?」

「うん、あれでも十分丸くなったよ」


〈地の神殿〉

 ↓

〈水国西〉


「ここもほとんど被害はないですね」

「というよりも被害は炎国と鉄国がほとんどだからの

 そうじゃ、図書館によってもいいかの?」

「もちろん」


〈水国西〉

 ↓

〈スムスドン国立図書館〉


「ここも久しぶりな気がする…」

「私たちは久々でもないですよね」

「そうだな」

「そういえばサリさんの用事って何なの?」

「奴らに会いに行くだけじゃ」


そう言いながらサリはこちらに手招きする

サリを追いかけながら図書館の裏手に回ると

そこでは影獣たちがのんびりと暮らしていた


「中庭から裏庭に移したんですね」

「カルロッテから何とかしてくれないかと言われたもんじゃからな」

「それは言わなくてよかっただろう!」

「天国再建の時に手伝ってもらおうと思った時姿が見えないと思ってたら…

 あなた達ここにいたんだね!」


サタナ様が怒り交じりにそういうとリコラが率先して弁明しに来た


「天神様! 我々は決してサボっていたわけでは…」

「黙りなさい! さっきまでお昼寝してたじゃん!」

「ご… ごめんなさい…!」

「これでも喰らって反省なさい!」


そう言いながらサタナ様は影獣たちに向けて魔法を連発した


「やめるのじゃ! 外壁を壊す気か!」

「あはは…」


未だに怒りを抑えられない様子のサタナ様を担ぎ上げて水神の元へ走った


〈スムスドン国立図書館〉

 ↓

〈水の神殿〉


ここはケミラル河の中、地の神殿に比べてかなり分かりやすい位置に存在した

そんな神殿の中は金銀財宝で溢れており光り輝いていた


「なんというか、派手な場所ですね…」

「そうじゃな…」


水神は神殿の中央で何か問題ごとでもあったのかうんうんと唸っていた


「やっほー! モカちゃん!」


そうサタナ様が声をかけると水神の顔は途端に明るくなった


「ママ! いつの間に来てたの?」

「さっき着いたばっかりだよ、みんなの様子を見て回ってるんだ!」

「いいなぁ… 私も着いていけたら良かったな…」

「何か忙しくしてる感じ?」

「そうなの、ここってリウクス中の水が集まる場所じゃん?

 そのせいで天、炎、鉄国で闇属性に汚染された水の処理に困ってるの…」

「あぁ… それはごめん…」

「別にママが謝る必要ないでしょ! 私は大丈夫だから!」

「うん!」


そうして水神と別れた後風国に向けて歩を進めた


〈水の神殿〉

 ↓

〈風国南〉


「さてと、あの老いぼれに会ってやるかの」

「そういえばサリとお爺様はどのような関係なんですか?」

「そうじゃな… 儂らはもとより…」

「旅仲間ですよ」


いつの間にか背後に立っていたロイト様がそう言った


「うわぁぁぁ!? お爺様!?」

「なんでここにいるの?」

「風の峠を訪れていたのですよ

 最近になって再び良い風が吹くようになりましてね」

「なるほど、そういえば常闇の丘もとい風の峠を訪れた時に

 メギルがそのようなことを言ってましたね」

「風の峠から吹く風は風国の風の源といっても差し支えないですからね

 風国民が重要視するのは当たり前です!」

「そういえば、皆様はどうしてこちらまで?」

「今は各国を訪れながら天国に向かってるんだ!」

「なるほど、それならもう鉄国に?」

「いや、これから風神に会いに行くんじゃよ」

「風神様ですか!?」

「うん、まぁいろいろあってね」

「僕からまたの機会にお話しますね!」

「わかりました、その時に聞かせてもらいましょう」


そうしてロイト様と別れた後その足でマーレに向かった


〈風国南〉

 ↓

〈マーレ〉


「風の神殿に向かうものじゃと思っておったが…」

「何か用事でもあるのか?」

「ちょっとね…」


〈マーレ〉

 ↓

〈宿屋イスカ〉


「サタナさん! いつこちらに来たんでっか?」

「こんにちはハツキさん」


そう言うや否やサタナさまはハツキ様に掴みかかった


「サタナさん!? いったいウチが何をしたっていうんでっか?」

「さっさと化けの皮を剝がしなさいヨロウ!」

「ヨロ… え…?」

「ハツキが風神じゃと!?」

「流石に母上の目は誤魔化せませんでしたか…」


目の前にいたはずのキモノ姿の女性はいつの間にか風神の姿になっていた


「ここで話もなんやし、一旦風の神殿まで来てもろてもええの?」

「もちろん、周りの人たちがすごい形相してるよ…」

「そら母上がここでそないなこと言うさかいにやろ」

「私のせいではなくない!?」


〈宿屋イスカ〉

 ↓

〈風の神殿〉


ここは風の峠の上空に位置する雲の上、風神は既に怒られる側の体制である

膝をつき頭を下げる準備をとって私たちを出迎えた


「どうしてサタナ様はハツキ様が風神だと…?」

「簡単な話、気付いた理由はワーフル弁だよ」

「つまりどういうことじゃ」

「サリさん達は長いこと風国に来てなかったから忘れてたんだと思うけど

 風国でワーフル弁が流行ったのなんて凄い昔、それも100年単位のね」

「確かにそうじゃった… つまり今の時代に風国でワーフル弁を話す人は…」

「でもそれだけですか?」

「流石にそれだけで掴みかかったりしないよ

 最後は目の前に立ってみて神の雰囲気を感じたからさ」

「結局はそういうことだったんですね母上」

「それで? いったいどうしてこんな真似を?」

「ご飯…」

「え?」

「人間界のご飯があまりに美味しうて…!」

「それだけ…?」

「もちろんですねん! それ以外の理由なんてまへん!」

「もしかして突然現れたと語られている人物ワーフルは…」

「ウチのことやね」

「なるほど、なんとなく風国の成り立ちが分かった気がする…」

「最初は自分も人間のようにふるまって国づくりを進めとったら

 あまりに美味しい食事を作ってくれまして… 完全に虜となりましてん!」

「虜となりましてん! じゃないんだよ!」

「だが私の記憶が正しければ風国の食事が美味いのは

 風神が横暴だからだと聞いていたのだが…?」

「確かにナルディが言っておったの

 『風神は食に煩く、供え物が不味いと祟りを起こす』とな」

「そら少しだけ語弊があるといいまっかなんといいまっか…」


そんな風神の言い訳も空しくサタナ様は魔法を放った


挿絵(By みてみん)


地図→https://www.pixiv.net/artworks/113526980

次回は11月25日です


・・・・・・


遂に次回が最終回です!

最終回後は小説の解説と私の感想を書きたいと思っています

最後までお付き合いいただけたら嬉しいです!

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