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会合

「お待たせしました!」

「儂もさっき来たところじゃから気にするでない」


真戦が終わってから数日たったころ

突然サリからスランカフェに来るよう連絡がきた


「突然どうしたんですか?」


疑問に思いながらもサリの正面の席に座った


「いや、皆の顔をなんとなく見たくなってな」

「皆… ということは…」


その言葉に呼応するように扉がバンと大きな音を立てて開いた


「皆さん! 元気していましたか!?」

「メギルは聞かずとも元気そうじゃな」

「はい! 最近は遺跡探索で大忙しです!」


そう楽しそうに話しながらサリの隣に座る


「魔物研究はやめたんですね…」

「そりゃあ魔物自体がいなくなりましたからね…」

「そうだな、そのせいで私も商売あがったりだ」

「カルロッテ!」


カルロッテはいつの間にか私の隣の席に腰かけていた


「こんなにも平和なのにその大剣は持ったままなんですね?」

「持たなくていいのは分かっているんだがな」

「そういえばサタナ様には声をかけていないんですか?」

「かけようとは思ったんじゃが…」

「どうしたんだ?」

「かけかたがわからんのじゃよ…」


サリの発言を聞いて思い出した

サタナ様は真戦の後天国に残り天国の再建に勤しんでいる

そのおかげか天国は再び浮上し今も天国からは多量のマナが流れていた


「そもそも神ってどこにいるんでしょう?」

「儂が聞いたことある話では神の居場所はその神によって異なるそうじゃ

 地神のように国民と関わらずに地中に籠っている者もいれば

 鉄神のように自らが王となって国民を導く者もいるのじゃ」

「よく分からないが天国に行けばいいんじゃないのか?」

「そんなことしなくていいよ」


そんな聞き覚えのある声が耳元から聞こえた


「「「「サ… サタナ(様)!?」」」」

「あはは、楽しそうな話してるから来ちゃった!」


そうケラケラと笑いながら空いていた誕生日席に座った

サタナ様の姿は以前のような天神の姿ではなく「サタナ」の姿だった


「そんな気楽に来れるものなのか…」

「まぁ天国の再建もほとんど終わってたしね、暇してたんだ」

「まさかそっちから来てくれるとは思いもしなかったのじゃ…」

「私は天から皆を見てるからね今日集まるって話は聞こえてたよ」

「声をかける手間がかからなくて楽ですね」

「そんな言い方をしないでください…」

「あはは… なんというかみんな元気そうで本当によかった…」


一通り話した後サタナ様は心の底から安心したようにそう言った


「それは私たちのセリフでもありますよ

 真戦から全く音沙汰がなかったんですから…」

「それはごめんね、あんな荒れたい放題の天国を再建するのに

 結構時間かかっててさ…」

「そりゃそうじゃろうな、儂はまだ見てないんじゃが…」

「凄いなんて言葉では表しきれないぞ、あれは」

「カルロッテさんは既に来てたよね」

「そうだったんですか!? 私もつれて行ってくださいよ!」

「お前は1人で行けるだろう、なぜ私が連れていく必要がある…」

「そうじゃそうじゃ! 儂もつれて行け!」

「僕もつれて行ってください!」

「なんなんだお前たち!」

「なんかカルロッテさんもいつの間にか馴染んでたよね」

「ふふん、そうじゃぞ! 儂らは既にナルディとメギルから

 呼び捨てされているからな!」

「えぇ!? ずるいずるい! 私もそう呼んでよ!」


サタナ様は椅子から飛びあがってすごい勢いで捲し立てた


「その… サタナ様は…」

「流石に正体が分かってからは無理がありますって…」

「まぁそうだよね…」


そう言いながらもサタナ様の眉は八の字で不貞腐れているようだった


「そうじゃ、折角じゃし天国に今から行ってみるかの?」

「今からですか!?」

「僕は特に予定もないですし大丈夫ですよ」

「私も問題ない」

「ま… まぁ特段問題があるわけではありませんが…」

「それじゃあ行くとするかの!」

「あ、待って待って! 会わなくちゃいけない人がもう1人いるから

 その人たちに会ってからでいい?」

「もちろんじゃが、一体…?」

「私の育ての親にね」


〈スランカフェ〉

 ↓

〈クライ家〉


「ただいま!」


サタナ様がそう元気よく言って扉を開けると

奥の方からドタドタと足音を立てながら2人は現れた


「「おかえり!!!」」


ドンロ様とムミ様はそう言いながらサタナ様を抱きしめた


「うわぁ!? ど、どうしたの?」

「どうしたも何も… イルナちゃんやユラさんから色々聞いたぞ!」

「本当に… 本当によく頑張ったね…」

「うん… うん…」


見るとサタナ様もお二人も互いを抱きしめながら泣いていた

その姿を見て家族というものの偉大さを改めて思い知る


「悪かったな、見苦しいところを見せちまってな」

「いいえ、しばらくぶりの再開ですものね」

「それよりもまさかサタナがこんなに友達を連れてくるなんて…」

「私だって友達くらい作れるよ!」

「そうは言うが以前のお前の友達はイルナちゃんだけだったじゃねぇか!」

「うるさい!」

「ほらほら、そんなことしてないで私たちに紹介してくれないかい?」

「うん! 知ってると思うけど改めて、龍族のナルディ」

「お久しぶりです」

「魔女族のサリさん」

「こんにちはなのじゃ!」

「エルフ族のメギルさん」

「初めまして!」

「そして魔族のカルロッテさん」

「よろしく頼む」

「あぁよろしく、俺はドンロ・クライだ!」

「私はムミ・クライよろしくね」


お二人の挨拶も終わったかと思えばお二人は深々と頭を下げた


「「本当にありがとう!」」

「ドンロ様!? ムミ様!?」

「こんな程度の感謝じゃ足りないのは分かっているが…

 これだけ入っておかないと俺の気が済まない!」

「うんうん、本当にありがとうね!」

「それはこっちのセリフなのじゃ、サタナのおかげで儂らは

 自分たちが成し遂げたかったことを各々達成できたのじゃ」

「そうですよ!」

「そうだよ! 私だって役に立てるんだから!」

「分かった分かった! それで、サタナはこれからどうするんだい?」

「そうだねしばらくは天国にいることになるかな

 絶対にたまに顔出すから寂しく思わないでね!」

「おう! 元気にしておけよ!」

「うん! そっちもね!」

「誰かさんよりはずっと元気だよ!」


そうして私たちはクライ家を離れた

家に背を向けたときのサタナ様の顔はとても清々しかった


挿絵(By みてみん)


地図→https://www.pixiv.net/artworks/113507077

次回は11月19日です

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