戦友
〈炎国南〉
↓
〈天国北〉
「あれって…!?」
指さす先では壁画そのもののように白い光と4色の光が相対していた
「茶、青、緑、灰… どうして赤色、炎神がいないんですかね…」
「確かにいないのじゃ…?」
どう動こうか迷っていると赤色の光がサタナ様の背後から襲い掛かった
「サタナ様!」
赤色の光、炎神を含んだ5神に向かって行こうとすると
目の前を影獣たちに塞がれた
「お待ちくださいナルディ様!」
「リコラ…?」
「5神は私たちにお任せください! ナルディさんは天神様を!」
「わ、わかりました!」
「サリ様、メギル様、カルロッテ様! 手を貸してください!」
「任せるのじゃ!」
「はい!」
「行くぞ!」
こちらの存在に気づいた5神が攻撃を始めた
相手から確実に感じる敵意に押しつぶされそうになりながら
落下するサタナ様目掛けて全速力で走る
「間に合って…!」
落下するサタナ様の体の下に手を滑り込ませることに成功した
・・・・・・
「サタナ様! サタナ様…!」
意識が戻ると私はナルディに抱えられていた
「ナル… ディ…?」
「はい! ナルディです!」
「どうして… どうして来ちゃったの…?」
「どうしてとは連れないな、お前にすべてを任せるわけないだろう?」
「そうじゃそうじゃ! 儂らを舐めるでないぞ!」
「とは言っても影獣らの助けが無かったら
今頃、塵一つ残っていないんでしょうがね!」
声がする方を向くとサリさん、メギルさん、カルロッテさんは
純白に染まった影獣と共に5神ら相対していた
「私がガラべドロを取り込んだから…」
「天神様ご無事ですか!?」
「うん大丈夫! 貴方たちもありがとうね!」
「サタナ様はしばらくお休みください、しばらくは私たちでなんとかします!」
「だけど…」
「任せておくのじゃ!」
サリさんは私に向けて親指を立てて二かッと笑ってそう言った
メギルさんとカルロッテさんも戦いながらこちらを見て微笑んだ
「母様!」
「え!? ラキ!?」
ナルディに連れられ戦火から離れると突然ラキの声が聞こえた
「兄様! 母様に届いたよ!」
「それは良かったです」
「2人とも、突然どうしたの?」
「あのね、母様に伝え忘れてたことがあるの!」
「伝え忘れてたこと?」
「はい、母様の魂を4つに分離する際
戦闘に関する力は別に保管していたのです」
「またどうして…? 道理で戦いにくかったわけだよ」
「本当はそれらも4つに分ける予定だったんだけど
万が一5神がそれらの力を得ちゃったら…」
「なるほど…」
「それでその場所なんですが、クスロ平原をご存じですか?」
「もちろん… ってまさか!?」
「もしかして見たことある?」
「クスロ遺跡の最奥の扉!?」
「その通りです、早速向かいましょう」
「でも… ここを離れるなんて…」
「私たちにお任せください天神様!」
出発しようと立ち上がると目の前を5神に阻まれる
「どこへ行こうというんだい? 僕たちの戦いはまだ始まったばかりだよ?」
「そうやそうや、ウチらをのけ者にせんといてくださいな」
「いいえ、貴方たちの相手は私たちです!」
そう言ってナルディたちは5神たちの前に立ちふさがる
「サタナ! 早く行くんじゃ!」
「最後にまとめて説明してくれればいい、今はさっさと行け!」
「サタナさん! 僕たちは大丈夫です!」
「みんな…」
「サタナ様、貴方様の仲間は最強なんです!」
そう言ってナルディは親指を立てて二ッと笑った
「うん… お願いね!」
そうして地国目指して全速力で飛んで行った
〈天神の墓〉
↓
〈鉄国西〉
「まさかルフドイが使えないだなんて…」
「おそらく母様含め神々にマナが集中しているせいでしょう
あたりのマナがほぼ枯渇しています」
「なるほどね…」
「サタナ!」
遠くから聞き覚えのある声が聞こえて来た
「カツキ!」
「ナルディからお前がいなくなったと…
というかサタナであってるよな?
なんとなく雰囲気が近かったから思わず声をかけてしまったんだが…」
「そっか… うん、サタナであってるよ」
「そうか、お前には聞きたいことばかりだが…」
「ごめん、今は後! それよりもリアンに乗せてもらいたいんだ!」
我ながら急すぎる話にカツキは一瞬怪訝そうな顔をした
「別に構わないが… 後で全部話してもらうからな!」
「うん!」
相変わらず私を乗せることが気に食わないリアンに無理やり跨って
鉄国、風国を順調に下っていった
〈鉄国西〉
↓
〈風国南〉
そろそろ水国にたどり着くという時にリアンが突然高度を下げ始めた
「リアン!? いったいどうした!?」
「マナ不足… なんか知らないけど下に行けば行くほどマナが薄い…」
「われら龍族はマナを頼りに生きている生物…
リアン殿がこうなるのも無理はないです…」
「そうか、悪いサタナ… 俺たちが助けになれるのはここまでのようだ」
「気にしないで! むしろ本当にありがとう!」
「でもどうしよう… ここから歩くのは結構あるよ?」
「だね… あれって!」
こちらに向かってくる隊商には見覚えがあった
「おーい! イルナ!」
「サタナ…!? どうしてこんなところに?」
「凄いですね、このお嬢さんは一目で母様だと気づきました…」
「呼び止めてごめん! 説明は後でするから今からどこに行くか教えて?」
「う… うん…? 今は地国まで戻…」
「地国!? 本当にいいタイミング! 乗せてってくれない?」
「別に問題ないけど… もしかして急ぎの用事?」
「うん、なるべく急いでもらうことできる?
厚かましくて本当にごめん…」
「気にしないで、ただ後でちゃんと説明してね!」
「もちろん!」
イルナの率いる隊商の1つに乗せてもらい地国まで帰ってくることができた
「本当にありがとう!」
「本当にこんなところでいいの?」
「うん!」
〈風国南〉
↓
〈クスロ平原〉
数週間ぶりにこの何もなくただただ平和な平原にたどり着いた
「本当に平和だね…」
「余韻に浸るのもいいけど急がなきゃ!」
「もちろん!」
〈クスロ平原〉
↓
〈クスロ遺跡〉
遺跡を慎重に進んでいくと閉ざされた扉が再び姿を現した
「前はここで引き返す羽目になったんだよね…」
『汝、――であることを示せ。条件は次の通りだ。
白黒の龍、神級術5色。』
「その石碑の隣の壁に手形のくぼみを置いたはずなんだけど…
どこ行っちゃったのかな?」
「粗方砂などが積もったのでしょう、そのあたりを掃ってみてください」
言われた通り文字の書かれた石碑の隣にある壁を
少し手で掃ってみると手形の窪みが2つ現れた
「これだね… よし…!」
窪みに手を当てると突然目の前の扉が開いた
「あ… あれ? 魔法を打つ準備してたんだけど…」
「マナからその所有者がこの2つの条件を満たすか否かなど分かります」
「じゃあ扉が開くのが少し遅かったら遺跡ごと破壊してたかも…」
〈クスロ遺跡〉
↓
〈天の間〉
扉の先は常闇の洞窟などで見たような立派な遺跡ではなく
ただただ洞窟をくりぬいて作ったような部屋だった
「思ってたよりも質素だね…」
「当時は5神が感づくだなんて思ってもいなかったですから…」
「焦って適当に掘っただけなんだよね!」
「黙っていてください!」
「まぁいいや、それで最後の力がこの宝玉に入ってるってわけね?」
「その通り!」
「それじゃあこれを得てさっさとみんなを助けに行きますかねっと!」
部屋にぽつんと置かれた宝玉を両手でつかんで中のマナを引き出す
「あれ…?」
しかし宝玉に込められていたのは1つの記憶だけだった
『天は仲間と共にあり』
たったその1文ですべてを思い出した
なぜ創造主の自分が5神に負けたのかを
なぜ自分が5神を作ったのかを
「そっか、私は1人では戦えなかったんだ…」
その時だったバタンと大きな音を立てて扉が閉まったのは
地図→https://www.pixiv.net/artworks/113154314
次回は11月11日です
・・・・・・
四十八話のナルディ達とサタナが遂に合流しました!
最終話まであと数話お付き合いの程よろしくお願いします!