表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/57

虚龍

みんなに置き手紙を書いた後、私は天国を訪れていた


「想定よりだいぶ早くに復活しちゃった…

 まぁ、そんなことより… 5神にどうやって復讐しようかな…」


荒廃した天国を一人で歩きながら思案に暮れる


〈天国北〉

 ↓

〈天神の墓〉


自分の墓を訪れると墓石に龍が胴を巻き付けながら寝ていた

近くの瓦礫に座り虚龍の鼻を蹴ってたたき起こす


「ガラべドロ… あんたなにやってんの?」

「母様!? いつの間に復活されていたのですか!?」

「大嘘つき、私が復活したことなんてとっくに知ってたでしょ?」

「あはは… 流石にばれてしまいますよね…」

「私が死んでから派手にいろいろやったみたいだけど…

 全部1から聞かせてくれる?」

「は… はい…」


そう言うと人族のような姿に変わって話を始めた

久々に見た人族状態のガラべドロは髪がぼさぼさで

過去に見た好青年らしさは完全に失われていた


「随分と変わっちゃったね… ちゃんと自分のことにも時間使いなよ?」

「しかし、私は母様の復活が最優先です! それ以外のことなんて…」

「いつからあんたはそんなマザコンになっちゃったの…

 まぁいいや話を戻して」

「母様が逸らしたのでしょう…!?

 まぁいいです、まず母様が亡くなってからラキと大喧嘩をしまして…」

「喧嘩!? あれだけ妹とは仲良くって言ったでしょ!?」

「ご… ごめんなさい! しかし… あのくそ真面目は…

 『5神に復讐なんかする前に天国の安全を優先しなきゃ』と…

 しかし私は母様を殺した5神を八つ裂きにしたく…」

「完璧にあんたが悪いね」

「で… ですが…!」

「私が死ぬ間際にあなた達に願ったのは天国の平穏だけだよ」

「も… 申し訳ございませんでした…」

「でも、あんたのその気持ちもうれしいよ」

「母様…!」

「で、そのあとは?」

「喧嘩は結局私が勝ったのでラキを取り込んで…」

「ん? 待った」

「はい?」

「取り込んだ?」

「はい、私の力の一部にしました! そのことで私は…」

「なにやってんの!?」

「ひぃぃぃ… そんな怒らないでください…!」

「怒らずにはいられないよ! ほらとっとと分離しなさい…」


目の前の虚龍は冷や汗をかきながら分離を開始した

虚龍が光り輝いた後、目の前には虚龍と天龍が現れた


「母様!?」

「ラキ! よかった!

 もし失敗したらガラべドロを八つ裂きにするだけじゃ済まなかったよ」

「本当によかったです…」

「そういえばいつの間に母様は復活されていたんだね?」

「うん、まさかの怒りの力で復活しちゃった」

「怒りの力…?」

「この話はまた今度するね…

 それで、ガラべドロ? お仕置きされる準備はできた?」

「やっぱり怒るんですね…」

「当り前でしょ!」


ガラべドロの腹にむけて適当に魔法を連発する


「やめ… やめてください…!」

「兄様の自業自得だよ!」

「ラキの言う通り!」

「本当にいつも母様はラキには優しいですよね…」

「あんたがもう少ししっかりしてたら変わるかもね

 で? そのあとは?」

「ラキの力を取り込んだ後5神に復讐するために挑みに行ったのですが

結局5神には勝てなかったので大人しく天国に引き返しました」

「だっさ…」

「うるさいです! ただその戦いの途中にとある情報を得たのです」

「情報?」

「5神は母様が二度と復活できないように天国をつぶして

 母様の魂を完全に破壊しようとしていたのです」

「どういうこと…?」

「私たちは母様が死んじゃった後

 母様がすぐに復活できるように天国に母様の魂を繋いでいたんだ」

「そんなことやってたんだね…」

「ラキの言う通りなんです

 しかしその企みはいつの間にか5神にばれていたのです」

「本当にあいつらの情報網だけは本当に尊敬に値するわ…」

「ですから天国を潰されてしまったらそれは

 母様が二度と復活できないことに繋がってしまいます…」

「だから各所に母様の魂を少しずつ置いてその場所を

 天国の魔物に守らせていたの」

「なるほどね、それが闇地ってわけだ」

「そうです、しかし本当に苦労しました

 天属性の魔物だと5神に感づかれてしまうので私の力で…」

「その話は良いから続きを聞かせて」


長くなりそうなので一蹴するとガラべドロはしゅんとなって引き下がった


「うん、母様の魂を各所に移していって最後の炎国に移すときに

 天国が落下を始めてね…」

「そりゃそうでしょ、私の力で浮いてたんだもん

 私の魂がここからなくなったらそりゃ落下するよ」

「私はそれを完全に失念していたので炎国には魂を置けずに

 4国にしか置くことができませんでした」

「だから鉄国時点で私の力はほとんど戻ったんだ…」

「恐らくそういうことだと思います」

「あれ? でも私が常闇の丘を訪れたときは影鳥に襲われたんだけど…?

 あなた達が言うには彼も天国の魔物のはずだよね?」

「もちろんです、しかし…

 母様が各闇地を訪れていくことで力を取り戻していくと同時に

 5神が天神の復活に感づき母様の仮の姿、サタナに目を付けたのです」

「あぁ… その結果私の力が闇地で増大してることに気が付いたから

 先回りして影鳥に何かしたってこと… あいつらも本当に頭が回るね…」

「本当に腹が立つね…」

「ですね… さらに彼らは全く悪くない母様を悪者に仕立て上げることで

 自分たちの立場を確立させました…」

「それは別にいいよ、リウクスの守護を任せたのは私だからね」

「母様は優しすぎるよ… こんなにひどい目に合ったのに許すなんて…」

「別に全部許すとは言ってない、きちんと借りは返してもらうよ」

「だよね!」

「そういえば、お仲間は良かったのですか?」

「ナルディたちのこと?」

「そうです、あのような最期でよかったのでしょうか…」

「もちろん嫌だったよ… 私もナルディたちと旅を続けたかった

 けど… 彼女らには死んでほしくないからね」

「母様とお仲間の仲を引き裂くだなんて… やはり5神は死ぬべきですね!」

「そうだそうだ!」

「っていうか、サリさんから聞いたんだけど

 闇地を作るときは結構攻撃的にやったんだって?」

「はい、こればっかりは反論させてほしいのですが

 ここで大人しく行ったところで天神が悪者として確立している

 あの時期に大人しく土地を渡してくれるとは考えられないです」

「まぁそうだよね…」

「そういえば母様はこの後どうする予定なの?」

「そうだね… 今頃キャルが5神と合流してると思うから

 何もしなくてもあっちから勝手に来るんじゃないかな?」

「私もそう思います、しかし…

 このまま戦うことになれば前回と同じ結末を迎えてしまうかと…」

「それは私もわかってる! だから…」

「何か解決策があるんだね!?」

「ごめんね… 特にラキは…」

「何をするつもりですか…?」


目の前の漆黒の青年と純白の少女の頭に手をのせる


「まさか…!」

「本当にごめんね…」

「いいよ、母様になら…」

「私の時は嫌だったんですか…!」


目の前の2人が光り輝きその眩しすぎる光が収まった時

荒野には私しか立っていなかった


「これでよし… さぁ、始めようか?」


挿絵(By みてみん)


地図→https://www.pixiv.net/artworks/112920481

次回は10月29日です


・・・・・・


次回は四十六話:影龍後のナルディたちのお話です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ