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影龍

「やっぱり故郷が心配なんだな?」

「当り前じゃ!」

「なんというか… 全てがとんとん拍子で怖いくらいですね…」

「ナルディの言うことも分かるな、順調な時ほど碌なことが起きない…

 ってあれは…」

「言ったそばからってやつじゃな…」


目の前の常闇の火山の上空では見たくもないようなものが飛んでいた


「あれは… ガラべドロ…!?」

「今度こそもうだめです…」

「儂もそう思ったんじゃが… あれはガラべドロじゃなさそうじゃよな?」

「あぁ同感だ」

「じゃああれは何だというのですか? 漆黒の龍族なんて他にいるはずが…」

「落ち着いてあいつの頭を見てみろ

 ガラべドロには5本の角が生えているがあいつは普通の龍族と同じ2本だ」

「加えればガラべドロの腹には謎の紋様が浮かんでいるはずじゃろ?」

「ないですね…」

「じゃああれはなんなんですか!?」

「落ち着けと言っているじゃろ…

 じゃがサタナのいない今、儂らに調べる手段はないからの…」

「骨の折れる相手になるだろうが戦うしかないな…」

「イデガラーム!」


そのカルロッテの言葉を聞くや否やサリは容赦なく魔法を放った

その火球はこちらに気づいていなかった影龍の横腹に直撃した


『サリのイデガラーム!

 影龍に159ダメージ!』


「な… なにやってるんですか!?」

「不意打ちじゃ!」

「そんな卑怯なことを堂々と言うな…」

「き… 来ますよ!」


当り前だがサリの攻撃を喰らった影龍は怒り狂いながらブレスを放った

そのブレスは常闇の火山から遠く離れた私たちが立っていた場所にも届いた


「危ない!」

「何てことしてくれたんですか…!」

「やっちまったのじゃ!」

「本当にお前は何をやってるんだ…」

「ナルディが僕たちを突き飛ばしてくれていなかったら

さっきまで立ってた地面と一緒に消し炭になっていたんですよ!?」

「悪かったのじゃ…」

「はぁ… とりあえず誰もけがを負っていないんだな?

 それならとっとと近づいて戦うぞ!」


そう言うや否やカルロッテは常闇の火山に向けた走り出した


「待ってください!」

「なんだナルディ、怪我でもしていたのか?」

「いいえ、そっちは問題ありません」

「それならどうしたというのじゃ?」

「影龍はおそらく影鳥よりも高く飛び早く飛びます…」

「そりゃそうじゃろうな、それがどうしたというんじゃ」

「さっきこそ影龍がこちらを見ていなかったから命中しましたが

 次の攻撃はなかなか当たらないでしょう」

「ナルディさんの言う通りですね…

 影鳥にすら攻撃を充てるのは一苦労でしたから…」

「さらに難しいということじゃな…」

「というわけで皆さんには私の上に乗って戦ってほしいのです

 炎国には生物がほとんどいないので私が飛んでも影響はないと思います!」

「なるほどの… 龍族の速に打ち勝つには龍族ってことじゃな…

 うむ、頼んだのじゃ!」

「任されました!」


その場で龍族の姿に変わって3人を乗せて影龍に向かって進んでいった

影龍も私の姿を見て危機感が増したのか容赦なくブレスを浴びせて来た


『サリのガメドイ!

 ナルディの周りにバリアが現れた』


「儂はサタナほど支援魔法は得意ではないんじゃが… どうじゃ?」

「十分です! ありがとうございます!」

「よし、それじゃあざっくりとした作戦を言う

 今回はメギルはサリの支援をしてくれ、サリはもちろん攻撃を頼む」

「カルロッテさんは…」

「私は影龍に直接乗り込んで影龍を翻弄させる

 そのくらいはしないと私たちの攻撃が命中することはないと思っている」

「お主… 捨て身をする気なのか!?」

「断じて違う、だがメギルに頼むのは酷ってものだろう?」

「確かにそうじゃが…」

「ぼ… 僕が行きます!」

「え!?」

「お前が何を言っているのかわかってるのか!?」

「はい… しかし僕にも考えがあります」

「ふむ、話してみるのじゃ」

「カルロッテは飛剣術が使えるとサタナさんから聞きました」

「確かに使えるが…」

「それならカルロッテはナルディの上から攻撃をした方が安定します

 なので僕が影龍を翻弄する側に回る方がいいと思います!」

「確かにそうじゃが…」

「私の上ならまだましもそんなところに行ってしまったら

 本当に命の保証は出来ませんよ!」

「分かっています、でも僕にやらせてください!」

「わかった… 任せたぞ」

「カルロッテ! お主…」

「気づいていたかもしれないが私はしばらくの間こいつに剣を教えていた

 それを見る限りこいつに任せても確かに問題はない

 心配は残るが… 任せることができる」

「メギルよ、作戦を伝えるのじゃ

 まずナルディから影龍に飛び乗った後、首を目指すのじゃ」

「首ですか?」

「そうですね、龍族は首の上をほとんど見ることができませんし

 首はなかなか降ることもできないので潜伏するには良い場所かと」

「ナルディのお墨付きならより安心じゃな

 というわけじゃから首を目指すのじゃ、その後儂らに合図をするんじゃ」

「合図ですか… 声はおそらく影龍の声に遮られてしまいますし…」

「そのまま首を切れ、それが合図でいいだろう」

「随分雑じゃな… じゃが確実じゃな」

「分かりました、それで行きましょう!」

「では私は一旦影龍から離れた後に急降下をしながら近づきます

 その瞬間に影龍の背中に飛び乗ってください!」

「分かりました! ナルディ、頼みましたよ!」


一旦、影龍と距離をとり頭を下げて一気に影龍に向かって突っ込んでいった

そうして影龍とすれ違う瞬間にメギルが影龍に飛び乗ったのを確認して

再度影龍から距離をとって様子をうかがう


「上手くいったようじゃな」

「とりあえず初手は上々だな」

「問題は次じゃがな…」

「あぁ… 次は翻弄に移る、あいつは私たちが放つ攻撃をきにしながら

 暴れ狂う影龍にしがみつきながら影龍を攻撃しなくてはならない」

「本当に言ってることめちゃくちゃじゃな…」

「ですがカルロッテの言っていることに間違いはありませんね…」

「その落ち着いている様子をみると

 既に龍族の上での戦い方を教えているのじゃな?」

「そんなわけないだろう、私は最近初乗龍を経験したばかりなんだぞ?」

「そうじゃったな… じゃあなんでそんな落ち着いてられるんじゃ?」

「サリ、彼女は全く落ち着いていませんよ

 背中からすごい速度の揺れを感じます…」

「これは… 武者震いだ!」

「自分の教え子なだけあって怖いんじゃな…」

「当り前だろう!」

「開き直りやがったのじゃ…」


しばらく辺りにブレスを巻き続けていた影龍だったが

突然そのブレスが止み自身の体を攻撃しようとしていた


「上手くいったようじゃな、儂らも加勢するのじゃ!」

「あぁ言われなくてもそのつもりだ!」

「私も行きます!」


『サリの上炎魔法(イデガラーム)

 影龍に203ダメージ!』

『カルロッテの上鉄剣技(ガメグランド斬)

 影龍に174ダメージ!』

『ナルディの全地吐息(ケドイブレス)

 影龍に58ダメージ!』


「まだ倒れないじゃと!?」

「とはいえ流石に私たちの攻撃をもろ喰らったんだ

 あと一押しのはずだが…」


サリとカルロッテがもう一撃加えようと攻撃を構えると

影龍は口を大きく開きこちらに向けた


「あれは…!?」


大きく開かれた口からは禍々しいマナの塊が嫌というほどあふれ出ていた


「あれは流石にまずいのじゃ!」


『影龍の神闇吐(オログログラムブレ)…』


「させませんよ! はぁぁぁ!!!」


『メギルの中風剣技(ルフトロラ斬)

 影龍に93ダメージ!

 影龍は倒れた!』


「た… 助かったのじゃ…!」

「その前にメギルを助けなくては!」

「私に任せろ!」


そう言うや否やカルロッテは徐々に落下していく影龍の体に飛び乗った


「カルロッテ!?」

「よくやった、それでこそ私の弟子だ!」

「弟子…! ありがとう… ございます!」

「よし、しっかりつかまっているんだぞ!」


カルロッテはメギルを抱えて落ちていく影龍を足場に

私の背中まで飛び上がってきた


「私が高度を下げていたとはいえよく届きましたね…」

「言ったじゃろ? こやつは全てがおかしいとな」

「うるさい!」


影龍が地面に落ちたその瞬間だった突如影龍の体が輝きだし

倒れていたはずの真っ黒な影龍は純白の龍に変わっていた


「は… え…?」

「何が…」

「何が起こっているんじゃ…!?」

「ガラべドロ・オルグログラム様がいなくなったんですよ」


そんな聞き覚えのない声が後ろから聞こえた


挿絵(By みてみん)


地図→https://www.pixiv.net/artworks/112753069

次回は10月28日です


・・・・・・


次回は「第四十三話:離別」後のサタナのお話です!

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