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故郷

『サリのルフドイ!

 スムスドン国立図書館→鉄国西』


「あれ、鉄国西に降り立ったんですね?」

「もう鉄国でやることもないからの、炎国に近いここを選んだのじゃ」

「そうだな、サタナが今どうしているか分からんが

 早い方が良いことは確実だな」

「じゃが… 炎国を無事に乗り切れるかの…」

「まずは予定通り炎国城、その次にメヒデ火山

 そして常闇の火山を取りに行きましょう」


サタナ様が残した荷物の中に入っていた地図を取り出して作戦を振り返る


「ジギラ火山が先じゃなくていいのかの?」

「あそこはガラべドロが居座る天国が目と鼻の先です

 何が起こるか分からない状況であそこに近づくのは危険すぎます」

「ナルディの言う通りだな、まずは天国から離れているところから

 徐々に占領していくべきだ」

「それでは早速炎国城に向けて出発しましょう!」


〈鉄国西〉

 ↓

〈炎国城〉


恐る恐る近づいていくと最後に見た美しく力強さのあった炎国城が

今は見る影もなく無残に破壊されていた


「これがガラべドロら闇の魔物の力…」

「恐ろしい… それ以外の言葉が見つかりません…」

「妙だな… こんなところ魔物だらけのはずだが…」

「魔物の気配がしないですよね…?」

「やっぱりそうじゃよな? 儂の勘もいよいよ鈍ったのかと心配したのじゃ」


皆様が口々に言う通り強い魔物はおろか弱い魔物すらも見当たらなかった


「炎国は闇属性の魔物が占拠していると聞いたのですが…」

「そのはずなんじゃがの…?」

「なんにしたって警戒を怠るべきではない、気を付けて進め」

「ですね、慎重に行きましょう」

「とはいえカルロッテが先頭で歩いてくれるから

 さほど心配せんでもいいんじゃがな」

「本当にカルロッテさんは頼りになりますね」

「時にメギルにナルディ」

「はい?」

「どうかされましたか?」

「私を呼ぶときはカルロッテでいい、私はお前らの主でもなんでもない」

「せっかくじゃし儂もサリでいいんじゃぞ?」

「分かりました! カルロッテ! サリ!」

「うむ!」

「わ… 私は…」


あっさりと呼び名を変えたメギル様とは対照的に

慣れない呼び方をお願いされ言い淀んでしまった


「サリとカルロッテに言われて気づきましたが

 僕を様付けしていたらサタナさんに対する尊敬が薄れてしまいますよ」

「何を言っているんだお主は…?」

「良かった、意味が分からないのが私だけではないようだ」

「どうしてですか!」

「あはは… わかりました! メギル、サリ、カルロッテ!

 改めてよろしくお願いします!」

「結局、敬語は抜けないんじゃな」

「もう癖になっているな… でもそんなところもナルディらしいな」

「これは次にサタナさんが見たら羨ましがりますね!」

「それは楽しみじゃな!」


雑談しながら城の最上階まで来たが依然として魔物の姿は見えなかった


「本当にもぬけの殻じゃな…?」

「そういえば、影獣はどこに置いてきたんだ?」

「え? 私たちの後ろを…」


最後尾だった私の後ろは3匹ともついてきていなかった


「いなくなってます!」

「鳴き声が全く聞こえないとは思っていたが…」

「ここは魔物もいないようじゃし、そんなに心配することもないじゃろ」

「そうですね、ゆっくり探すとしましょう」


その瞬間リコラの遠吠えが城の中に木霊した

その遠吠えの力強さにただ事でないことを一瞬にして悟った


「何事ですか!?」

「下の階からだ、行くぞ!」


カルロッテさんの耳を頼りに声のする方に走って向かうと

影獣たちと共に大きな魔物が横たわっていた


「影蛇!?」

「謎の遺跡からしばらく見ていなかったがいったいどこに…」

「まずは回復が先です! ライミルロ!」


『ナルディの中癒魔法(ライミルロ)

 影蛇の体力が173回復!』


「いつの間にライミルロまで習得したんじゃな…」

「前に皆さんのレベルが大幅に上がった時に

 ライミルだけでは足りないような体力の持ち主が増えたので…」

「なるほどの… それはそうとこやつの声は聞こえるかの?」

「そうですね、聞いてみます」


少しだけ元気を取り戻した影蛇に改めて近づいて声をかける


「『何があったのですか?』」

「『鉄神… 逃げて来た… 仲間… 声… 聞こえ…』」


そこまで言って影蛇は再び気絶してしまった


「大丈夫か! しっかりしろ!」

「大丈夫ですカルロッテ、ただ気絶しているだけです」

「ならよかった…」

「お主が魔物を心配するだなんて… 明日は槍でも降るのかの…?」

「ぶっ飛ばすぞ…」

「落ち着くのじゃ! それで、なんと言っていたのじゃ?」

「鉄神から逃げていたら仲間たちの声が聞こえてここに来たと」

「なるほど、こやつらを連れて来たのは正解じゃったか」

「影蛇が復活したらかなりの戦力強化になりますね!」

「じゃな、まずは復活するまでここで待つかの」

「そうだな、夜も近いし朝まではここにいるか」

「夜が明けるまでしばらく時間がありますし

 影蛇にも名前を付けてあげてはどうですか?」

「影蛇の名前はサタナ様から預かってないですね…」

「ならナルディが決めてしまえばいい」

「そうですね… そうだ! ネユンはいかがでしょうか!?」


結構良い名前が思いついたと思い意気揚々とそう告げたが

皆さんの反応は私の思っていたものとは真逆だった


「お主… サタナのセンスを馬鹿にはできないのじゃ…」

「あまりこういうのが得意な私でもわかるぞ…」

「ぼ… 僕もそう思います…」

「え… えぇぇぇ!?」


・・・・・・


辺りもすっかり明るくなってネユンの様子もかなり良さそうだったので

次はメヒデ火山に歩を進めることになった


「寝不足です…」

「なんじゃナルディ、ちゃんと寝なかったのかの?」

「ネユンが一向に名前と認識してくれなかったのを見ていたでしょう!」


昨晩、結局3人はあまり納得していないようだったが

影蛇の名前はネユンで決まったのだった

しかし、ネユンが全くそれを名前と認識してくれずに

ナンドも言い聞かせているうちに日をまたいでしまう始末だったのだ


「サタナ様はどうしてあんなに簡単に…」

「そりゃ神だからじゃろ」

「なんですかその頭の悪そうな回答は…」

「メギルも言うようになったの!」

「私もメギルと同意見だ」

「カルロッテ!」

「あはは… そういえばあそこで一夜明かしましたが

 本当に魔物1匹も見かけませんでしたね…」

「このまま他の砦ももぬけの殻だと助かるんじゃがな…」

「そんなわけ…」

「いや、意外とそうなりそうだな」


眼前にそびえる高い山を見上げながらカルロッテはそう言った


「私は普通よりかなり視力がいいんだが…

 少なくとも山肌には生き物1匹いないぞ」

「視力以外も化け物級じゃろ…」

「本当ですね… ここはエルフの火山なので洞窟もないはず…」

「なら本当に空っぽなんですかね…?」

「いったい何が起こっているんじゃ…?」

「分からないですが… 天国からあふれ出るのマナの量が

 徐々に増えていっている気がするのは私だけでしょうか…?」

「それは私も気になっていた、でもなぜだか嫌な感じはしないな」

「儂も気になるが今は後じゃ! ここも問題なく占拠できそうじゃし

 ここも魔物除けの魔法だけ張ってとっとと常闇の火山に向かうのじゃ!」


やはり次が自分の故郷なのも相まってかサリは少し興奮気味にそう急かした


挿絵(By みてみん)


地図→https://www.pixiv.net/artworks/112732890

次回は10月22日です


・・・・・・


遂に炎国・天国編に突入です!

残り話数も予定通りいけば10話を切ってしまいました…

最後まで頑張って走り抜けていくので応援よろしくお願いします!

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