城壁
「さて… 常闇の丘まで戻ってきたわけなのでおさらいといきましょうか」
「そうだね、いろいろ起きすぎてあんまり覚えてないや」
「えぇと… レベルが足りないのでまずは常闇の森まで行って
金スライム狩りをして各レベルがかなり向上しましたね」
「次に儂がメガ金スライムを倒してまたレベルが上がったのじゃ」
「そして金スライムが大量発生したマナを回収したんだよね」
「そうしたらメギル様のレベルは上がり
サタナ様は魔導書の力が向上して天属性の上級魔法が使えるように」
「そのあとに常闇の川を訪れたんだけど
マナを蓄えているはずの宝珠は行方不明…」
「まぁガラべドロがちょうど回収した直後じゃったんだろうな
あの量のマナは数年で蓄えられるものじゃないからの」
怒涛の1日をみんなで振り返ってみると
本当によくわからない1日だったことを再認識させられた
「そういえば、私とナルディはあれからレベルが上がってないけど
2人は上がったよね? どれくらいまで上がったの?」
「儂は65から69になったのじゃ」
「僕は39から44です!」
「本当に一気に成長しましたね… 不正を疑われそうです」
「あはは… まぁそのおかげで堂々とレベルチェックを受けれるわけだし
早速向かおう!」
〈常闇の丘〉
↓
〈風鉄関所〉
「レベルチェックは数年前から行っていまへんで?」
風鉄関所に乗り込むや否やそんなことを言われた
「え?」
「なんじゃと!? 詳しく説明してくれないじゃろうか?」
「ええでっせ、現在の鉄国は鉄神が直接統治しぃ
天国より降りてくる魔物を殲滅しにかかる大軍国になりましてん」
「神様が直接統治してるんだ…」
「そのおかげで現在の風国より下はめっちゃ安全やねん」
「これで安全なんですね…」
「逆に言えば鉄国、炎国はただでさえ危険な他の国よりもさらに危険な状態…
そういうわけで鉄国から直接召集されるような軍人以外は
ここを通らんくなったさかい」
「なるほどの、じゃからレベルチェックなどせんくても問題ないわけじゃ」
「そういうことやねん
せやさかいここを通ろう てまちごても考えんとってくださいね」
「聞いてたら確かにここを通るのは愚かかもしれない…
けど私たちは通るよ、だってもうとっくに決心は済んでるから!」
「この話を聞いても物おじしぃひんて…
あんたには感心してん、レベルチェック次第進んでいいでっせ」
「ありがとうございます!」
「ほんなら… 33、51、69、44… 足して197やさけ
平均レベルは49、かまへんね!」
そう満足げに言うと門を開けに行った
「チェックも門番もあなたがしてるんだね?」
「こんな危険なところで仕事なんてわざわざやろうとする人もいまへんで…
ほんならお気いつけて!」
「ありがとう!」
〈風鉄関所〉
↓
〈鉄国東〉
「遂に鉄国… もう鉄国がどんな国かはっきり分かるね」
風鉄関所を出た直後に目の前に横一直線の壁が現れた
「これが第三の壁じゃな、通称最後の壁…」
「そういえば、本で鉄国について調べたときに
3つ都市があるのは分かったんだけど
どれにも名前がなかったんだよね」
「名前なんてありませんよ、これはあくまで戦いのために作られた壁です
だから個々を呼ぶときはそれぞれ第一、第二、第三の壁です」
「そうなんだ… 流石神様、風情も何もないね」
「来て早々守護神に喧嘩を売るのはやめてください!」
「とりあえず第三の壁に向かってみようか」
〈鉄国東〉
↓
〈第三の壁〉
内部は意外と平和そうで戦いに赴く人よりは一般市民の方が多そうだった
「案外平和そうだね?」
「ここは天国から一番離れておるからの
鉄国から離れることを嫌がった鉄国民が住んでおるのじゃ」
「なるほどね… あ、あれは! カルロッテさん!」
「やはりお前たちも来たか
風国で会ったばかりだからあまり久々に感じないな」
「じゃな、お主はどうしてここに来たのじゃ?」
「鉄神の招集だ、無視するわけにもいかなくてな…」
「儂は無視したがな!」
「はぁ… ガラべドロを殺す前に鉄神に殺されるぞ…」
「そういうこともあっての
儂らはとっととここを去って炎国に入っていくつもりじゃ」
「聞いてないんだけど!?」
「サリ様… 本当に大丈夫なのですか…?」
「まぁ普通に考えたら危険じゃろうな!」
「はぁ… お前たち、サリのことは改めて頼んだぞ」
「うん! カルロッテさんも頑張ってね!」
「あぁ!」
そろそろ夜になるのもあってカルロッテさんと別れた後は
壁内の市場をいろいろ物色することにした
〈第三の壁〉
↓
〈壁内中央市場〉
「それじゃあみんなお金持った?」
「はい!」
「持ちました!」
「持ったのじゃ!」
「じゃあ、買い終わったらまたここに集合ね!」
私は早速防具を見に行くことにした
「流石にダメージが大きすぎるんだよね…」
「あれ、サタナちゃんじゃないか!」
「ロッコさん!?」
―――――――――――――――――――――
〈名前〉ロッコ・スラン
〈種族〉人族
〈属性〉風
〈レベル〉23
〈ミンラ〉風の中級剣技を扱う
〈職業〉行商人
〈能力値〉…
―――――――――――――――――――――
「随分立派になったね! もうお父さんより強いんじゃないのかい?」
「えへへ… そうかも?」
「って、サタナちゃんが着てるのって…」
「もちろんロッコさんのところで買ったコートだよ!」
「そんなのずっと着ててくれてたのかい!?
せいぜい水国までだと思ってたよ…!」
「言いにくいけど…
今まさに守不足だから買い替えを考えてたところだったんだよね」
「そりゃそうだろうよ、それは地国~水国用の防具だからな」
「場所によって売るもの変えるの?」
「そりゃそうだ、地国で守が高い防具なんて売れないだろう?」
「まぁそうだよね、じゃあ今は鉄国辺りで使えるものを売ってるの?」
「そういうことだ、よかったらまたここで買っていくといい!」
「うん! どれがおすすめとかある?」
「サタナちゃんは確か炎国… 何なら天国まで行く気だったよな?」
「あれ、ばれてるの?」
「まぁなんとなくわかるよ、それじゃあ… こいつかな?」
―――――――――――――――――――――
〈名前〉グラウンドバードのマント
〈防具種〉胴体
〈属性〉地
〈品質〉特
〈能力値〉+体38 +守49
〈効果〉魔法の威力上昇・小
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「羽毛のマントだ! 能力値も効果も申し分ないね! 買うよ!」
「まいどあり! 110ケルだ!」
「前にも言おうと思ってたけど… お店つぶれちゃうよ!」
「子供が気にすることじゃない! ほら払いな!」
「ありがとう!」
【3329ケル→3219ケル】
「それじゃあ、そっちのコートは預かっちまおうか」
「大丈夫! 錬金の素材にさせてもらうね!」
「錬金か… 本当に地国にいたころとはすっかり変わったな」
「でしょ! お父さんに会ったら元気だったって言っておいて!」
「任せときな!」
ロッコさんと別れて来た道を戻って広場に帰ることにした
・・・・・・
「さて… どうしましょうか」
皆様と別れて広場から八方面に伸びている道のどれに進もうか悩んでいた
「そうでした、鉄国にも炎国にもこれから先市場や食事処はないはず…
食料を買い足しに行きましょうか」
8本の道の中の食料品通路を進んでいくと早々に見慣れた人を見かけた
「リアン、カツキ様、また会いましたね」
―――――――――――――――――――――
〈名前〉カツキ・クハラ
〈種族〉人族
〈属性〉水
〈レベル〉15
〈ミンラ〉速く長い時間歩くことが出来る
〈職業〉ドラゴンライダー
〈能力値〉――
―――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――
〈名前〉リアン・クハラ
〈種族〉青龍族
〈属性〉風
〈レベル〉40
〈ミンラ〉風の中級魔法を操る
〈職業〉――
〈能力値〉――
―――――――――――――――――――――
「ナルディか、サタナやほかの皆は?」
「ナルディィィィ!!! うわぁぁぁ!?!?」
まっすぐに突っ込んできたリアンをひょいと避けてカツキ様と話を進める
「今は皆でばらばらになって買い物中です
私は食料が足りなくなりそうだったのでここに来たのです」
「なるほどな、俺たちは地国や水国の食料をここで売ってるんだ
遠ければ遠いだけ高く売れるからな」
「でもカツキ様は職につかれているはずでは?」
「そもそも仕事が回ってこないんだ
わざわざ他国に用事があるやつの方が少ないからな…」
「なるほど…」
「というわけでナルディ買って行ってよ!
最近収入も少ないからご飯もあまり食べれてないんだ!」
「もう少しくたばっておけばよかったですのに…
じゃなくて、そうですね買って行きます」
「助かる!」
結局リアンとカツキ様の圧に勝てずに紙袋4つ満タンになるまで買わされた
【3219ケル→3050ケル】
「そういえばお前たちは本当に天国まで行くのか?」
「その予定です」
「くれぐれも気をつけてな、サタナにもそう言っておいてくれ」
「はい!」
「ナルディィィィ!!!」
「お前は引っ込んでおけ」
そう怒られて首根っこをつかまれているリアンを横目に
カツキ様に別れを告げてもとの広場に戻っていった
地図→https://www.pixiv.net/artworks/112156323
次回は10月1日です