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「さて、いい加減現実に向き合わなくてはなりませんね」

「現実って…」

「レベル不足のことじゃな…」

「うぅ…」


初めての作戦が大成功を収めたことで完全に浮かれ切っていたところに

真正面から容赦なく現実を叩きつきられる


「ええと… 今皆さんは何レベルでしたっけ?」

「私は16!」

「私は43です」

「儂は52じゃ」

「それで僕が24なので… 135となるから平均は33程…」

「ん…? 必要レベルってどれくらいだったっけ?」

「45じゃな」

「無理じゃん!」

「ここまで離れていると絶望的ですね…」

「ふぅむ… レベルチェックは違反するわけにもいかんしの…」

「どうしよう…」

「ナルディィィィ! 会いたかったよぉぉぉ!」


皆で額を集めてこの後のことを考えていると

何かが上空からナルディに向かって急降下した


「いやぁぁぁ!?」

「な… 何事!?」

「はぁ… どうしてお前はいっつもこうなんだ…」


ため息をつきながら誰かがこちらにむかって走ってきた


―――――――――――――――――――――

〈名前〉カツキ・クハラ

〈種族〉人族 

〈属性〉水

〈レベル〉12

〈ミンラ〉速く長い時間歩くことが出来る

〈職業〉ドラゴンライダー

〈能力値〉――

―――――――――――――――――――――


「カツキ! 久しぶり!」

「久しぶりだなサタナ、元気していたか?」

「うん… 私は元気だよ、ナルディもさっきまでは…」

「あぁ… ほらとっとと離れ…」


そういいながらカツキはナルディからリアンをはがそうとすると


「いい加減… 離しなさい!!!」


『ナルディの攻撃!

 リアンに81ダメージ!』


突撃された衝撃が薄れて正気になったと同時に怒りが湧いて来たのか

ナルディは容赦ないパンチをリアンのお腹に喰らわせていた


「ぐぁっ…!? ちょっとなんてことするの!?」


―――――――――――――――――――――

〈名前〉リアン・クハラ  

〈種族〉青龍族  

〈属性〉風     

〈レベル〉38 

〈ミンラ〉風の中級魔法を操る 

〈職業〉――   

〈能力値〉――   

―――――――――――――――――――――


「あなたがいきなり突撃してきたせいですよ!」

「リアンも元気そうでよかった…?」

「ふん… あなたもね」


未だに私のことが嫌いなのか端的にそう言って顔を背けられてしまった


「何でサタナ様をそんなに嫌うんですかね…」

「ナルディとここまで長く関係が続いているのが腹立つだけ!

 私ですら5年も持たなかったのに!」

「まだサタナ様とあってから半年もたっていませんし

 あなただから5年程度なんですが!?」

「お… 落ち着いてナルディ!」

「リアンも落ち着け… それで、サタナたちは何でこんなところにいたんだ?

 ここは常闇の丘のはずだが…?」

「ちょっと影鳥に用があってね」

「はぁ… それで…?」

「影鳥を討伐したところまでは良かったんだけど

 風鉄関所のレベルチェックをどうしようか悩んでたんだ」

「レベルチェックか… なら旧関所から行けばいいんじゃないか?」

「旧関所… あれのことじゃな」


サリさんが指さす先には完全に廃れてしまっている関所が見えた


「あれ… 動いてるの?」

「動いていないから旧関所なんじゃろて

 危険な常闇の丘に近すぎたあそこは使われなくなって

 少し東のほうに新しいのが作られたんじゃよ」

「そうそう、ってあんたは一体…」

「紹介が遅れたのじゃ、儂はサリ・ドランじゃ!

 よろしく頼む!」

「カツキ・クハラだ、それと… 君は?」

「僕はメギル・カニスです、よろしくカツキさん」

「遂にナルディの近くに男まで… あでっ!?」


さらに威嚇するリアンにカツキは手刀を喰らわせた

リアンはカツキをにらむだけでそれ以上はちょっかいをかけてこなかった


「あはは… それで、旧関所を使えばいいって話だったっけ?

 でもそれって犯罪じゃないの?」

「確かにそうなりますが、そうなりませんね」

「ん?」

「ナルディの言うまんまじゃ、犯罪になるしならん」

「く… 詳しく!」

「そもそも、レベルチェック自体は全種族間で行われてるわけじゃないんじゃ

 あくまで人族と人族語を理解する数種族が行ってるだけのものなんじゃよ」

「身も蓋もないこと言うね… って、それなら別に普通の関所から行っても

 問題ないんじゃないの?」

「アホなのかお主は… 先にも言うたとおり数種族内では

 破ってはならん決まり事じゃ、捕まるに決まっておろう」

「そっか… なんだか面倒くさいね…」

「その通りだが… レベルチェックはさぼらない方がいいと思うぞ

 最近炎国に配達に行くことがあったんだが

 魔物らのレベルが尋常じゃないことになっていた…」

「具体的にどれくらい?」

「80ほどだ」

「80!? 今80って言ったかお主!?」

「あぁ」

「なんてことじゃ… 儂らの力では足搔けてレベル60…

 儂らは確かにレベル以上の力を持った者が多いが

 流石にレベル差が響いてくるじゃろうな…」

「カツキカツキ!」


遠くから今日見なさそうに眺めていただけのはずだったリアンが

いつのまにやら話の輪の中にやってきていた


「なんだリアン、無駄話なら後にしてくれ」

「無駄話とは失礼だね!

 少し思い出したんだけど… 前に地国に行ったときに

 常闇の森で金スライムが大量発生してなかった?」

「その話本当!?」

「今はどうなのか知らないけど確かにそんな話を聞いたよ

 言わなきゃよかったかな…」

「お前はいい加減諦めろ… お人よしが隠せてないぞ…」

「うるさい!」

「というわけだ、俺もその話には聞き覚えがあるし嘘ではないはずだ」

「ありがとう! 行ってみる! ナルディお願い!」

「はい! 皆さん行きましょう!」


〈常闇の丘〉

 ↓

〈冒険者協会:地〉


「久しぶりユラさん!」

「お久しぶりですサタナさん!

 随分とお仲間も増えて… 立派な冒険者になりましたね!」

「うん! 積もる話もあるんだけど… 本題に行くね」

「わかりました、なにやらお急ぎのご様子ですね?」

「うん、それで… 常闇の森で金スライムが大量発生してるって

リアンとカツキから聞いたんだけど本当?」

「その話でしたか、その通り影虎が謎の失踪…

 まぁサタナさんが連れて行ったのですが…」


呆れたような乾いた笑い声をあげながらそう言った


「あはは…」

「なんにしたって影虎がいなくなってから森にマナが溢れかえったのです」

「おそらく影虎がガラべドロに献上する分のマナじゃな…」

「ガラべドロが回収しに来ていないのでしょうか…?」

「詳しくは分からんが、影虎がいなくなったのを死んだと勘違いして

 しばらく地国に来ていないんじゃろ」

「なるほど… その可能性はありそうですね」

「結果その溢れかえったマナはもとより森に住処を置いていた

 金・銀スライム達の良き餌となって大量発生につながったわけです」

「でも、そんなおいしい話だったら既に他の冒険者たちが

 狩っちゃってるよね…?」

「それがそうもいかなくて…」

「あれ? そうなの?」

「はい、大量発生した金スライムはかなり強く中にはメガ個体もいまして…

 地国の冒険者レベルでは勝てないのです」

「他国に応援は出していないのですか?」

「はい、他国も厳しい状態であるのでなかなか応援を頼めていないのです」

「なるほど、随分と運の良いタイミングでこれたの」

「だね! よし、常闇の森に出発!」

「気を付けてくださいね!」

「うん!」


〈冒険者協会:地〉

 ↓

〈常闇の森〉


久々に訪れた常闇の森は常闇要素はどこへやら普通の森になっていた


「そういえば、サリさんとユラさんって知り合いだったんじゃないの?」

「流石に覚えてないじゃろ、儂が旅をしておったのは何百年も前じゃからの」

「そっか… そういえば森の中なのに随分と明るくなってるね」

「そうですね、やはり闇の力の根源となる影虎がいなくなったからですかね」

「というよりガラべドロが来なくなったからじゃないですか?

 サリさんから闇地について学びましたが

 闇地の魔物はガラべドロにマナを献上していたのですよね?」

「そうじゃな」

「それなら献上する魔物がいなくなればガラべドロは来なくなり

 闇地の汚染も少しずつ消えていく… ということじゃないでしょうか?」

「それなら常闇の川もそうなってるのかな…」

「帰りがけに見ていきましょうか!」

「だね! そういえば… サリさんを師匠呼びするのはやめたんだね?」

「はい… 本当は続けたかったのですが、サリさんが…

 『次そう呼んだら、顔面にイデガラームじゃからな?』と…」

「ひぇ…」

「嫌なもんは嫌じゃ! んぐっ… 」


照れたような困ったような声でそう叫ぶ

サリさんの口を慌ててナルディが抑えた


「サリ様! そんなに大きな声を出すと彼らにばれてしまいます!」

「彼らって…?」


そう問うとナルディが奥に広がる広場の方を指さした


「あっ! 銀スライム… 金スライムもいる!」

「サタナさん!」

「あっ…」

「まさかあんな数いるとは思わなかったのじゃ…

 サタナ、あやつらのレベルはいくつほどじゃ?」

「えっとね…」


―――――――――――――――――――――

〈名前〉金スライム

〈種族〉スライム族

〈属性〉地

〈レベル〉38

〈ミンラ〉地属性の中級魔法を操る

〈職業〉――

〈能力値〉体63・力31・守119

     速81・知177・運99

―――――――――――――――――――――


「大体30後半!」

「よし、なら… 

 儂とメギル、サタナとナルディでペアを組んでレベル上げをするのじゃ

 4人でまとまって戦う必要はないと思うからの」

「ふむふむ…」

「場所をどうするかじゃが…」

「僕に提案があるのですが、この広場からは東と西に道が伸びていますよね」

「そうだね」


メギルさんの言う通り広場は私たちが通ってきた道に加えて

東西を横断するように道が2本伸びていた


「ここの広場の東側と東側の道をサタナさんペア

 西側と西側の道を僕たちで倒していけば

 スライムに背をとられることもないので安全に倒せると思うのですが…」

「ふむ、いい案だと思うのじゃ」

「だね! よーし、それで行こう!」


メギルさんの作戦通りに2手に分かれ私たちは順調に東に進んでいった

苦戦を強いられることもあったが順調に討伐し、何事もなく広場に戻ってきた


「意外と苦戦しなかったね…?」

「それだけ強くなったということですよ

 そういえばサタナ様のレベルはどれくらい上がりましたか?」

「2人が戻ってきたらみんなで見ようと思ってるんだ!」

「それはいいですね! それにしてもお二人とも遅いですね…?」

「大丈夫かな…?」

「戻ったのじゃ!」

「噂をすればなんとやらだね」


こえが聞こえた方を見るとメギルさんは今にも倒れそうな様子だった


「メギルさん大丈夫!?」

「なんとか… 大丈夫です…」

「こやつの運が低すぎるからの、多めに倒す必要があったからの

 ハイペースに借りを進めていたら疲れたのじゃ」

「そうはいってもサリさんはあんまり疲れてなさそうだね…」

「お… おかしいですよ…」


挿絵(By みてみん)

地図→https://www.pixiv.net/artworks/111967109

次回は9月24日です

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