逆境
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〈名前〉メガ水スライム
〈種族〉スライム族
〈属性〉水
〈レベル〉16
〈ミンラ〉水の中級魔法を操る
〈職業〉――
〈能力〉体72・力31・守68
速21・知59・運37
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「とりあえずガメドイ! ルフト!」
『サタナの耐撃魔法!
サタナの周りにバリアが現れた』
『サタナの全風魔法!
サタナの周りのバリアは風を帯びた』
「サタナ様… どうかお気を付けて…」
『メガ水スライムの中水魔法!
弱点!抵抗!サタナに13ダメージ!』
今までの水スライムとは圧倒的に違うマナ量で繰り出される魔法
レベルもさながら実力も十分なのははっきりと見て取れた
『サタナの全風魔法!
弱点!メガ水スライムに17ダメージ!』
「全然入らない…!」
辛い相手であることは分かっているつもりだったが想像以上に硬い
私は次を喰らったら瀕死なのに対して相手はあと3回も耐えることができる
「どうしよう… えっ…!?」
絶望の最中、突然持っていた魔導書が輝きだした
それと同時に謎の単語が頭の中に流れてくる
「な… なにこれ…? 言えばいいのかな…? ミル… イルエ…!」
よく分からないままその単語を叫ぶと辺りを神々しい光が照らす
その神々しい光は辺りを照らしたかと思うと
突然矢のように鋭利になり一直線にメガ水スライムへと降り注いだ
『サタナの中天魔法!
弱点!メガ水スライムに53ダメージ!』
ミルイルエを喰らったメガ水スライムは見たことも喰らったこともない
魔法を喰らったからか明らかな動揺を見せた
しかしすぐに持ち直して攻撃態勢を取る
『メガ水スライムのトルケーム!
弱点!抵抗!サタナに9ダメージ!』
「危なかった… でもこれでおしまい! ミルイルエ!」
『サタナのミルイルエ!
弱点!メガ水スライムに49ダメージ!
メガ水スライムは倒れた!』
『サタナのレベルが上がった!』
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〈名前〉サタナ・クライ
〈種族〉人族
〈属性〉天
〈レベル〉9
〈ミンラ〉ステータスを閲覧できる
〈職業〉ドラゴンライダー
〈能力〉体31・力20・守22+8
速26・知69+31・運37
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「残り体力が残り少しであること以外は完璧な勝利…!」
「言うとる場合か、ほれイミル」
『サリの全癒魔法!
サタナの体力が52回復!』
「それにしてもあれが天の魔法ですか…」
「儂も記述自体は何度か目にしたことはあったが
本物を見るのは流石に初めてじゃ!」
「サリさんですら初めてなんだ…!?」
「そりゃもちろんじゃよ… 良い経験をさせてもらったのじゃ!
ありがとうなのじゃサタナ!」
「え、うん? どういたしまして…?」
「サタナは現在のリウクス地方の中で唯一の天魔法の使用者なんっすよ!?
なんでそんな冷静でいられるんっすか!?」
「そうですよ!」
「そうなんだ…?」
少し戸惑いながら魔導書に視線を落とす
そこでは天の魔石がキラキラと小さく光っていた
「チェックも済んだところで帰るかの」
「そうっすね、もうそろそろ太陽が沈むっす」
「うん、帰ろう!」
〈水国西〉
↓
〈ゴーボア工房〉
「この後はどうする予定っすか?」
「そうじゃな… クスロ洞窟の調査を任されておるから、そろそろ向かうかの」
「そうっすか… あそこでは魔物が大量発生してるって聞いたっす…
もう少し装備を整えるべきだと思うっす」
「そっか… となると次はナルディの武器探しかな?」
「じゃな、よう今まで素手魔法だけで旅をしておったの」
「私の武器ですか?
武器を持つ龍族なんて見たことも聞いたこともありませんが…」
「それは龍族は基本己の爪や牙つまり『力』で戦うからじゃ
じゃから魔法主体のナルディは武器を持って戦う方が良いと思うわけじゃ」
「なるほど… ゴーボアさんも同意見?」
「そうっすね、サリの姉貴の考えはあってると思うっす、思うっすが…」
辺りの武器を見回して少し困った顔を浮かべながら言い淀む
「どうしたの?」
「ナルディは基本人族のような姿で戦うからその分の武器は問題ないっす」
そこまでゴーボアさんが言った所ゴーボアさんが困っている理由が分かった
「あっ…!」
「どうしたのじゃサタナ?」
「ナルディが龍族の姿の時に持つ武器がないってことだよね?」
「そうっす、ナルディが言った通り武器を持つ龍族はほぼいないっす
だから龍族の状態で扱える武器は過去にほぼ作られていないっす」
「なるほどの、つまり龍族の状態でも扱える武器を探せばよいのじゃな?」
「そういうことっす」
「サリ様の図書館になら何か書籍などがあったりしないですか?」
「おぉ名案じゃ! よし行くのじゃ! ルフドイ!」
『サリのルフドイ!
ゴーボア工房→スムスドン国立図書館』
「もう行っちゃったっす… あっしも調べたかったっす!」
〈ゴーボア工房〉
↓
〈スムスドン国立図書館〉
サリさんのルフドイで私たちはスムスドン国立図書館の受付前に降り立った
「わぁびっくりした! サリさん! いくらなんでも急すぎだよ!」
「まぁ善は急げと言うからの、武器関連の書物は1階のこの辺じゃ」
サリさんは私の言葉を完全に無視して
受付近くにある大きな案内図を見ながら話を進めた
「それじゃ、行くかの」
そう言って歩を進めようとしたところに1匹の悪魔が降り立った
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〈名前〉コワグ・キョウラ
〈種族〉悪魔族
〈属性〉水
〈レベル〉14
〈ミンラ〉小さな空間を操る
〈職業〉図書館司書代理
〈能力値〉――
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「サリ様、いらしていたのですね」
「コワグ! ただいまなのじゃ!」
「お帰りなさいませ、本日は一体何用で?」
「ナルディの武器を作りたくての…」
「龍族の武器ですか… それならこの辺はいかかでしょう?」
コワグさんは何もないところに手を伸ばしたかと思うと
3冊の本を取り出して私たちに手渡した
「え? え!?」
「どうしたんじゃサタナ?」
「今なにもないところから本が…!」
「それは私のミンラですサタナ様、『小さな空間を操る』は
自分の周りのものなら何でも取ってこられるというものです」
「とは言ってもこの図書館内がぎりぎりじゃがな!」
「黙っておいてくださいサリ様」
「もしかしてですが、サリ様のローブは…」
「そうじゃ、こやつのミンラを模倣した代物じゃ!」
「なるほど…」
「じゃなくて、この本を読んでいくのじゃ!」
そう言ってコワグさんに手渡された本を各々読んで
良さそうなものを最後に持ち寄ることにした
「サタナ―? まだかの?」
「待って…! 1つに絞れないよ!」
「早くするのじゃ、完全に火が落ちればこの後日が昇るまで何もできんのじゃ」
「決めた! 決めたから!」
そうして各々選んだ武器種は
サリさんが冠、ナルディが腕輪、私が首飾りとなった
「ナルディ的にはどれがいいとかある?」
「そうですね、冠は飛行中に落ちてしまう危険性が高いと思います」
「むぅ… それはそうじゃの… 似合うと思ったのじゃが…」
「なので… あと2つはさほど優劣がないのですが…
サタナ様が提案してくれた首飾りにしようと思います!」
「え!? そんな決め方でいいの!?」
「良いんです!」
「そっか… ってそういえばとりあえず武器種は決まったけど…
この後はどうするの? 昔の武器種だからその辺じゃ売ってないよね?」
「良い忘れておったの、作るんじゃよ」
「「えぇ!?」」
サリさんの驚きの発言に私とナルディは揃って大きな声を上げた
地図→https://www.pixiv.net/artworks/110552859
次回は8月6日です