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仲間

〈アルミド〉

 ↓

〈地国南〉


「出たは良いけど… どこに向かおうかな…?」


悩みながら自作の地図を開く、ノートの1ページを使った簡素なものだ

もちろん地図を買いたかったのだが

地図は意外と高く自分で作るしかなかったのだ

地図を見るとアルミドは地国の一番南にある都市だ

ここから一番近い都市は…


「冒険者さんかい?」


地図とにらめっこをしていると突然声をかけられた


「うひゃぁぁぁ! ど… どちら様ですか?」

「うわぁびっくりした~!

 ごめんごめ~ん! 急に声かけられたらびっくりするよね~」

「わ、私の方も驚きすぎました…! ごめんなさい…」

「あははっ! 僕はレムル、レムル・ランクだよ!

 職業は魔物ハンターでこの辺の魔物の管理をしてるんだ~

 なんだか旅慣れてないようだったから、少し心配で声かけちゃった~」


自己紹介してもらうと突然誰のものかわからない声が流れた

『閲覧可能ステータスに〈職業〉が追加されました』


――――――――――――――――――

〈名前〉レムル・ランク            

〈種族〉人族                  

〈属性〉地                   

〈レベル〉17                 

〈ミンラ〉地の初級魔法を操る          

〈職業〉魔物ハンター              

〈能力値〉…                  

――――――――――――――――――


「な… なにこれ!?」

「え、なにが?」

「あ、すいません! 私事なので気にしないでください」


突然よくわからない発言をしてしまったことで不信感を抱かれてしまった


「うんわかったよ…? そうだ貴方の名前は?」

「サタナ、サタナ・クライです! すぐそこのアルミド出身です!」

「そっか〜! まだ出発したてか〜」

「はい!」

「なら、この街道に沿って歩いた先にある

 ルッカっていう町にある冒険者協会に行くと良いよ〜」

「ご親切にありがとうございます! 向かってみます!」

「いえいえ~ いってらっしゃ~い」

「ありがとうございましたー!」


レムルさんに手を振り返しルッカに歩を進めた

それにしてもさっきの声は何だったのか

他人の自己紹介に含まれていた情報に対応するのかな?

と、自分の中で結論付けながら歩を進めた


〈地国南〉

 ↓アルミドールッカ街道

〈地国東〉


この辺は冒険者が多いからか街道沿いを歩いていても

モンスターと出会うことはなく順調に進んでいくと


ギャオオオ!!!


突如お腹を揺らされるような大きな鳴き声が聞こえた


「な、何事!?」


辺りを見渡すと街道沿いから少し離れたところで赤龍が罠に掛かっていた

あのドラゴンも運が悪いなぁと思いながら眺めていると


「そこの旅のお方助けていただけませんか?」

「へ? 誰!?」

「信じていただけないかもしれませんが、貴方の目の前の赤龍です」


突然人の言葉を話すはずがない赤龍が話しかけてきたのだ


「喋れるの!?」

「はい、私のミンラは

 『全ての生き物とコミュニケーションを取れる』というものなので」

「ほえぇ… すごいね! 今助けるからちょっと待ってて!」


お父さんに貰ったナイフを使って赤龍を縛っている紐を順々に切っていった


「ふぅ… これでどう? 動ける?」

「はい! 本当にありがとうございます」

「よかった!」


改めて向き合うと赤龍のステータスが目に入った


――――――――――――――――――

〈名前〉ナルディ・ロフ             

〈種族〉赤龍族                 

〈属性〉地                   

〈レベル〉37                 

〈ミンラ〉全ての生き物と

     コミュニケーションが取れる      

〈職業〉――                  

〈能力値〉体100・力140・守62・速73  

     知48・運48            

――――――――――――――――――


「私はサタナ! よろしく! えっと… ナルディ?」


名前を読んでみると目を真ん丸にして言った


「ど、どうして私の名前をご存じなのですか!?」

「ごめんね、ステータス見せてもらったよ」

「え…? これは私の記憶なのですが人族が持っている

 閲覧本というものは戦闘に必要な情報しか載らないはずでしたが…」

「え、そうなの?」


一応持たされた閲覧本をナルディに向けて読んでみると


――――――――――――――――――

〈名前〉???                 

〈種族〉赤龍族                 

〈レベル〉37                 

〈ミンラ〉???                

〈職業〉――                  

〈能力値〉体100・力140・守62・速73  

     知48・運48            

――――――――――――――――――


確かに種族、レベル、能力値以外には何も書かれていなかった

ナルディの言う通り戦う上で必要なものしか載らないようだ


「へぇ意外と私の能力も捨てたもんじゃないなぁ…」


そんなことを考えて暗くなっていた気持ちが少しだけ晴れた


「あの!」


突然ナルディが大きな声を出してまくしたてるように話し始めた


「ど、どうしたの!?」

「旅のお方… どうか、私の主人になってください!」

「えぇぇぇ!? なんでそんな急に!?」

「龍族は古来より人に使えることが一番の誇りなのです!

 私も主人を探す旅に出ていたのですがこの有様でして…」

「それで… 私に仕えたいってこと?」

「はい! 助けてもらった御恩も返したいですし

 私が今まで見てきた人族は私を見つけるなり売りさばくことしか考えていない中

 貴方様は違い、親切に私を助けてくださいました!

 こんな人族と出会ったのは初めてです!

 どうか私めが仕えることを許して下さい!

 それに… いい加減に主人を見つけないと… 

 その… 御爺様にも怒られてしまいます…」


なんか本音が聞こえた様な気がするが今は置いておこう

私としては心強い仲間ができることになるから断る理由もない


「うん、いいよ! でも私はあまり強くないから

 主人としてダメダメだと思うけど… それでも大丈夫…?」

「はい! 問題ありません!

 それよりも私はご主人様が他のどの人族よりも優れていると思います!」

「褒めすぎだよ! よし… 改めてこれからよろしくね! ナルディ!」

「はい!」

「ただ… 一つ問題があるよね…」

「な… 何でしょう?」

「ナルディって物凄く大きいよなーって思って」


ナルディは話していると忘れてしまいそうだが軽く10mはある龍族なのだ


「この大きさじゃ街とかに入れないよねって…」

「それなら心配しないでください!」


そう言いながらナルディが身を翻すとナルディの体は光に包まれた

光が収まった後ナルディの姿は角と羽以外は人族のようだった

のだが…


「こ… これを羽織りなさい…!」


服を着ていなかったのだ、慌てて視線をそらした私とは裏腹に


「この様に姿を変えることができるので問題ありません!」


とドヤ顔で言われた


「分かった! 分かったからこれだけ着ておいて!」


自分の着替えをバックから取り出して渡す


「ありがとうございます、ご主人様」

「うーん… それもやめてほしいな!

 もう少し気楽に呼んで欲しい! サタナって呼んで!」

「そんなことできないです! せめてサタナ様で良いですか…?」

「むぅ… まぁまだ知り合ったばっかりだしね!

 まずはそれくらいにしておこうか1」

「ありがとうございます! では改めてサタナ様よろしくお願いします」

「うんよろしくねナルディ!」


とりあえず一通り自己紹介を済ませた後

既に辺りが真っ暗なことに気が付き

私たちはルッカで宿を取り一息つくことにした


〈地国東〉

 ↓

〈ルッカ〉

 ↓

〈宿屋ラミラ〉


【80ケル→70ケル】


「改めて見るとナルディのステータス凄いねー」


――――――――――――――――――

〈名前〉ナルディ・ロフ             

〈種族〉赤龍族                 

〈属性〉地                   

〈レベル〉37                 

〈ミンラ〉全ての生き物と            

     コミュニケーションがとれる      

〈職業〉――                  

〈能力値〉体100・力140・守62・速73  

     知48・運48            

――――――――――――――――――


「そうでしょうか…?」

「うん、特に力140!」

「褒めていただいたところ大変恐縮ですが

 龍族の平均力は160ですので…」

 ミンラも戦い向きではないですし…」

「えー? 良いミンラだと思うけどな…

 そのミンラのおかげでこうやってコミュニケーション取れてるわけだし!」

「そうですね…! ありがとうございます!」


そんな感じで互いに色んなことを話していたら寝落ちしてしまったらしく

意識が戻った時、既に太陽は高く昇っていた


挿絵(By みてみん)

地図→https://www.pixiv.net/artworks/108508858

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