経験
『銀スライムが現れた!』
『銀スライムの初風魔法!
弱点!抵抗!サタナに9のダメージ!』
「強い! 強すぎるよ! ガメドイ使ってるはずなのに!」
「サタナ様! 嘆きたくなるのはわかりますが回復が先です!」
「そうだね… イミル!」
『サタナの初癒魔法!
サタナの体力が10回復!』
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〈名前〉銀スライム
〈種族〉スライム族
〈属性〉風
〈レベル〉8
〈ミンラ〉風の初級魔法を操る
〈職業〉――
〈能力値〉体19・力3・守11・速8
知34・運18
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「流石危険地帯の魔物なだけあって強いですね…」
「いい加減倒れてー! ガメル!」
『サタナの全鉄魔法!
弱点!銀スライムに9のダメージ!』
『銀スライムの初風魔法!
弱点!抵抗!サタナに8のダメージ!』
「いける! ガメル!」
『サタナの全鉄魔法!
弱点!銀スライムに12のダメージ!』
銀スライムは倒れた!』
『サタナのレベルが上がった!』
「お、レベルが上がった! ってえぇ!?」
「何事ですか!?」
「5レベルも上がってる…!」
「流石は銀スライムと言った所でしょうか…」
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〈名前〉サタナ・クライ
〈種族〉人族
〈属性〉天
〈レベル〉7
〈ミンラ〉ステータスを閲覧できる
〈職業〉ドラゴンライダー
〈能力値〉体23・力18+8・守14+8
速15・知52・運21
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「そういえば何で金・銀スライムって落とす経験値量が多いの?」
「そうですね… 一般的に言われている話では
彼らは他の生物を倒した際に得た経験値をため込むという
習性がによるものだそうですが、実際のところよく分かってないみたいです」
「そうなんだ…?」
「それにしてもすごい伸び具合ですね…!
これなら12レベルも遠くないですよ!」
「やった! 後でユラさんに感謝しに行かないと!」
その後のレベル上げは全く苦戦することがなく全てが順調だと思っていた
しかし森の奥に進みすぎてしまったようだった
「ナルディ… あれって…!」
「はい… 常闇の森の主… 影虎です…!」
影虎の体毛は黒く逆立ち、金色の眼と牙はギラリと光っている
影虎が戦闘態勢を取っているのは火を見るよりも明らかだった
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〈名前〉影虎
〈種族〉虎族
〈属性〉闇
〈レベル〉40
〈ミンラ〉闇属性の上級牙技を扱う
〈職業〉――
〈能力値〉体210・力171・守118
速99・知33・運41
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ステータスを見てみると知以外のすべての能力値においてナルディ以上だった
そのステータスの中で1つ目を引くところがあった
「や… 闇?」
「ど、どうかしましたか?」
「影虎の属性が闇になってるんだけど… 闇なんて属性あったっけ?」
「闇…? 聞いたことないです…」
影虎の持つ謎の属性の困惑しながらも
とりあえず距離を取ろうと少しずつ後ずさりすると
影虎は細めていた目をカッと開き襲い掛かってきた
私はただ目を閉じながら叫ぶことしかできなかった
「きゃぁぁぁ!!!」
「サタナ様から離れなさ… い…?」
もうだめだ、そう思ったのだがしばらくしても特に痛みを感じない
「え…?」
目を恐る恐る開くと影虎は私の足に擦り寄っていた
さっきまでの恐ろしさは何処へやら完全に私に懐いてる様子だった
「サタナ様… もしかして昔飼ってたんですか!?」
「え!? そんなことあるわけなくない!?」
「しかし…! これは明らかに動物が飼い主に取る行動ですよ!?」
「もしかして貴方は私の事を知っているの?」
影虎に質問したが私の質問の意味が分からないのか答える気がないのか
完全にスルーして私の両足の間を8の字にぐるぐると回っていた
「人語はわからなさそうですね…」
「あ! ナルディのミンラなら話せるんじゃない!?」
「そうですね! 試してみますね!」
ナルディが影虎に同じように質問すると影虎が何か鳴き声を発し始めた
「ふむふむ…? ん…?」
「何か分かった…?」
「何と言いましょうか、言葉に終始ノイズがかかっているような感じで
はっきりと聞くことが出来ませんが… 聞こえた単語をお伝えしますね…」
「うん、お願い」
「神、戦、闇、天、力の5つです」
「多分… 神と戦は神戦の事で間違いないよね…」
「神戦」とは天神が5つの国の守護神ら(5神)に反乱を起こし
5神が束になって止めた戦いのことである
その戦いは天神が潰えたことで終わりを迎えることになり
5神はこの日を旧暦の初めとしたのだった
「おそらくそうでしょうね… サタナ様よく覚えていますね!」
「まぁ… ほぼ全ての歴史本がこの『神戦』の話から始めるから
嫌でも覚えたよ…」
「そうでしたか、他の単語だと天は『神戦』から繋がるのですが…
闇と力が良く分からないんですよね…」
「うーん… 私たちだけで悩んでも仕方ないから
一旦ユラさんに相談してみない?」
「そうですね、一旦ルッカまで戻ってみましょう」
「あなたも来る?」
そう影虎に問うとなんとなく意味が分かったのか元気よく吠えた
流石は影虎だけあって吠えるだけであたりの空気はビリビリと震わせた
「よし! じゃあよろしくね!」
「では、戻りましょう!」
〈常闇の森〉
↓
〈ルッカ〉
↓
〈冒険者協会〉
「ユラさーん!」
「サタナさん、ナルディさん! ケガなどはされてませんか!?」
私たちの姿を見るなりユラさんは大きな声をあげて駆け寄ってきた
「うん、大丈夫! なんともないよ!」
「それは良かったです、レベル上げが終わった後はそのまま水国に行くのかと
思っていましたが… 何か御用があるのですか?」
「うん、この子なんだけど…」
「虎族ですか… ってこの虎族… 影虎じゃないですか!?」
私が抱えている虎族が影虎であると気づきまたまた大きな声をあげるユラさん
そんなユラさんの様子に辺りにいた人の視線がユラさんに集まる
「こ… こほん… なんで影虎がここに…?」
「なんか懐いちゃった!」
「えぇ…?」
「まぁそんなことは置いておいて、相談があるんだ」
「そんなことじゃないような気が…?」
「この子の属性が闇ってなってるんだ」
「闇…!? そんな属性は聞いたことがないです…」
「カードを作ってみればユラ様にもわかるのではないでしょうか?」
「あ、確かに!」
「分かりました! 急いで持ってきますね!」
ユラさんはバタバタと奥の部屋に消えていき水晶玉を持って戻ってきた
影虎の手を持って水晶玉に手を乗っけさせるとユラさんが内容を読み上げ始めた
「名前は影虎、種族は虎族、属性は… えぇ!?」
「何事!?」
「度々大きな声を上げてすみません…!
ただ、これを見てほしいのですが…」
渡された影虎のカードを見ると
―――――――――――――――――――――
〈名前〉影虎
〈種族〉虎族
〈属性〉――
〈レベル〉40
〈ミンラ〉――属性の上級牙技を扱う
〈職業〉――
〈能力値〉体210・力171・守118
速99・知33・運41
―――――――――――――――――――――
「無い…!?」
「本当ですね…」
「どうしたものでしょうか… あっ!」
ユラさんは何かを思いついたらしく手をポンッと叩く
「どうかしましたか?」
「スムスドン国立図書館に行かれてみてはいかがでしょう?」
「スムス… なんて?」
「サタナ様、スムスドン国立図書館は水国が誇るリウクス最大の図書館ですよ!」
「図書館… もしかして!」
「はい! 情報があるかもしれません!」
「ユラさんありがとう! 行ってみるね!」
「いってらっしゃいませ!」
ユラさんに手を振って私たちは水地関所に向けて歩を進めた
〈冒険者協会〉
↓
〈水地関所〉
「レベルチェックを行う」
関所に着くなり大柄の男性が冒険者カードを渡すように要求してきた
「サタナ・クライ12レベル、ナルディ・ロフ38レベル
影虎40レベル、よって平均レベルは30! 合格だ、通れ」
「やった!」
レベルチェックを行った人が指示を出すと門の近くにいた2人の兵士が門を開ける
〈水地関所〉
↓
〈水国西〉
門が開くと目に飛び込んできたのはケミラル河だった
水上には多くの船が行き交っていてとても賑やかだった
「おぉ…! これがケミラル河だよね?」
「そうですね、これはリウクス海まで繋がっているのですよ」
「へぇ… だけど… 水国ってリウクス地方を登ったところにあるから
海に出るところは滝になってるんじゃないの?」
「そうですね、両端は滝になっているのにも関わらず
水が尽きないという面白い河です」
「え!? じゃあ水は何処から…」
「水神の力なのでしょうけどあまりどうなっているのかわかっていないそうです」
「神…」
ケミラル河が作り出す幻想的な景色を眺めていると
影虎が突然吠え出した
「な、なになに!」
「サタナ様! 敵です!」
攻撃態勢を取るが私たちの出番が回ってくることは無かった
『水スライムが現れた!』
『水スライムの攻撃!
影虎に5ダメージ!』
『影虎の上闇牙技!
水スライムに61のダメージ!
水スライムは倒れた!』
「おぉ! ありがとー! よーしよしよし!」
影虎を撫でてやると尻尾を振って喜んでいるようだった
「ステータスを見た時からうすうす気づいてはいましたが強いですね…」
「だね、そういえばこの子に名前つけたいなって思ってたんだけど
ナルディ何かいい案ない?」
「サタナ様に懐いてるのですからサタナ様が付けるべきでは?」
「そっか… じゃあ、貴方の名前はリコラ! よろしくねリコラ!」
名前を呼んでやるがあまり分かってはいなさそうだった
これから呼んでいけばわかってもらえるのだろうか
「あんまり反応がないなぁ…」
「まぁそれが普通だと思いますよ?」
「そっか」
「では、名前も決まったことですし本題に戻りましょうか」
「だね! 事前に水国のマップはざっくり見たけど水国の都市は2つだよね?」
「はいその通りです、水国には北にネラル南にケミシラがあります」
「そういえばマップで見た時都市の形が真四角だったからビックリしたんだよね」
「この2つの都市は計画的に作られた城塞都市なのでこのような形をしています」
「城塞!? 戦争でも… あっ!」
「思い出しましたか?」
「うん、水国内戦… だよね?」
「正解です!」
「なるほどね、国によっていろいろ違うんだね」
「そうですね、これから訪れる国々も全然違いますよ」
「なるほど… とりあえず話を戻そう
それでスムスドン国立図書館はどっちの都市にあるの?」
「そこまでは調べていなかったんですね?」
「う… はい…」
地図→https://www.pixiv.net/artworks/109535013
次回は7月8日です