突破
私たちがレムルさんの元へと戻るとカツキとリアンの姿はなかった
「あれ? カツキとリアンは?」
「多分今は水国側を飛んでるんじゃないかな? お、噂をすれば~」
レムルさんが指をさす先を見るとリアンたちが薄っすらと見えた
「それじゃあ問題は解決したみたいだし? サタナ達もやってみようか?」
「はい!」
「ただ、飛行が許可されている時間まであと少しなんだよね~
だから… 試験3やろう!」
「わ、わかりました!」
「内容の確認するね
まずはあそこに見えている茶色の玉まで飛ぶ
次にもう一つの茶色の玉を触る
その後は水国側の青色の玉を2つ触って
最後に最初の玉に戻ってくればおしまい!
どう? そんなに複雑でもないでしょ?」
「はい!」
「よし!」
ナルディに乗り、まずは浮いている茶色の玉を目指す
「スタート地点はクスロ平原の北西なんだね」
「つまり、北西、南西、南東、北東と回っていく感じですね」
「あ! 茶色と青色の色分けの意味って地国と水国ってことだったんだ!」
「そのようですね、サタナ様ご覧ください!
あそこに見えているのが水国が誇るリウクス最長のケミラル河です!」
ナルディが指し示す先には雄大な河川が南北に広がっていた
「10000mまで飛ぶと遠くまでよく見えるね」
「ですね! ただ… ここだとあまり大きいように見えませんね…」
「十分理解できるよ!? じゃなくて… 今はこっち!」
「はい! 頑張りましょう」
ナルディがそう言い終わると花火のパンッという音が鳴り響いた
「行くよ!」
そう言い終わらない内にレムルさんの物であろう魔法が飛んできた
「あれは… ガメグル! 鉄魔法には… 炎! イデガ!」
『サタナの全炎魔法!
ナルディの周りのバリアは炎を帯びた』
『レムルの初鉄魔法!
抵抗!ナルディに6のダメージ!』
「いい調子です! サタナ様!」
「よかった!」
「お、バリアかぁ… じゃあ…」
再び攻撃が飛んできたのを確認し、飛んできている魔法を見ると
「イデガとトルケ!? えっと…炎と水だから 地? 風? どっち!?
いや、ナルディは元々地だから炎はあんまり通さないはず…!
だから… 風だ!」
『サタナの全風魔法!
ナルディの周りのバリアは風を帯びた』
『レムルの全炎魔法!
抵抗!ナルディに2のダメージ!』
『ユラの全水魔法!
弱点!抵抗!ナルディに3のダメージ!』
「サタナ様! 水国の玉1つ目です!」
魔法の相手をしていて全く気付かなかったがいつのまにか
水国の1つ目の玉まで来ていた
「よし、順調! あっナルディ今回復するね!」
「大丈夫です! それより次の攻撃が来てます!」
「ガメルとルフト… ケドイも!? 鉄と風と地!? どうすればいいの!?」
「サタナ様! 鉄です!」
「え!? わかった!」
『サタナの全鉄魔法!
ナルディの周りのバリアは鉄を帯びた』
『レムルの全鉄魔法!
ナルディに5のダメージ!』
『ユラの全風魔法!
抵抗!ナルディに2のダメージ!』
『カツキの全地魔法!
ナルディに3のダメージ!』
「そっか… 他の属性にしちゃうとどれかが2倍のダメージになっちゃうけど
鉄なら全部普通以下のダメージに出来るんだ…
って! しれっとカツキ攻撃側に回ってるんだけど!?
じゃなくて… イミル!」
『サタナの全癒魔法!
サタナの体力が10回復!』
「サタナ様! 最後の玉です!」
ナルディの体力を回復させている間に水国側最後の玉に触れる
「終わった…?」
「まだです! 最初の玉まで戻ったらおしまいです!」
「えぇ… もう疲れたよ…!」
「頑張ってください!」
しかし、最後の方は同時攻撃がほとんど飛んでこなかったため問題はなかった
その後私たちはレムルさんたちの元へと戻っていった
「出来た! 出来たよナルディ!」
「はい! とてもお上手でしたよ!」
「お疲れ様2人とも! これで明日は心配ないね!」
「ありがとうございます! ってあれ? カツキたちは?」
「2人ならとっくに帰られましたよ?」
「えぇ!? 文句言ってやろうと思ったのに!」
「もしかしなくてもさっきの攻撃の件?
あれは僕が頼んだから怒らないで上げて~!」
「むぅ… 分かりました…」
もう辺りは真っ暗になってしまっていたため
レムルさんたちと別れ宿屋クスロに戻った
〈クスロ平原〉
↓
〈宿屋クスロ〉
【86ケル→76ケル】
「さっきはごめんねナルディ…」
「何で謝っているのですか!?」
私の突然の謝罪に素っ頓狂な声をあげるナルディ
「だって… 龍の安全はドラゴンライダーにかかってるのにあんなに慌てて…
しかも最終的にはナルディに頼ることになっちゃったし…」
「確かにそうかもしれませんが、私はサタナ様が乗っているというだけで
楽に飛ぶことが出来るんですよ? 何と言いましょうか…
サタナ様から元気を貰えると言うんですかね?
ただ、力を貰えていることは紛れもない事実です!」
「本当…?」
「はい、本当です!」
力強くそう言ってまっすぐ私を見つめる
その力強さに自信を失っていた私は元気づけられる
「そっか、よかったぁ…」
「それでも心配ならトレーニングしましょう!」
「トレーニング?」
「私が攻撃名を読み上げていきます
そしたらサタナ様は瞬時に張るべきバリアの属性を言う
というとても簡単なものです!」
「なるほどね! やろう!」
そうして日付が変わる直前までナルディが提案してくれたトレーニングを続けると
最後の方には出された直後に言えるようになるくらいには鍛えられた
・・・・・・
〈宿屋クスロ〉
↓
〈クスロ平原〉
「本日はドラゴンライダー免許取得試験、二次試験を行います
試験監督のユラ・クハラです
サタナ様とカツキ様で間違いないですね?」
「はい!」
「あぁ」
「では改めて試験内容をお伝えします
1 高度10000ⅿでクスロ平原西を1周
2 高度15000mでクスロ平原西を1周
3 高度15000mでクスロ平原西・東を1周
また、攻撃者は地上に10名空中に2名です
何か質問はありますか?」
「大丈夫です!」
「同じく」
「では、1の試験始め!」
ユラさんがそういうと同時に私たちは飛び上がる
最初はものすごく意気込んでいた私だったが
「簡単すぎない?」
「わ、私もそう思っていたところです… でも油断してはいけませんよ!」
文字通りレベルが低かった、殆どの攻撃者のレベルが10未満なのだ
まぁ私のレベルは2なのでそんなこと言う資格はないのだが
攻撃の方はさらに酷く、当たる前に威力が弱まりすぎているものがほとんどで
飛んでいる私たちに届いてすらいないものも中にはあった
そんなこんなで1の試験を突破し私たちは降り立つ
「両者突破!」
「ねぇねぇカツキ」
隣に立っていたカツキに小さく声をかける
「なんだ?」
「簡単すぎない?」
「あぁ、恐らくだが余裕で突破できるように2人に鍛えられたからじゃないか?」
「というと?」
「ユラとレムルが本試験より難易度が高い練習をさせたから…」
「ありそう…」
「私語は慎むように」
「ひゃい!」
「それでは… 2の試験始め!」
攻撃者たちが本気を出してきたからかさっきよりはマシだった
が、バリアを張るまでもなく容易に突破してしまった
「両者突破!」
「何か引っかかりますね…」
突然ナルディがぽつりと言った
「なにが?」
「ユラ様は攻撃者は地上に10名空中に2名だと仰っていましたよね?」
「うん」
「足りないんです」
「え?」
「私が確認できたのは地上に7名空中に1名のみでした」
「え… ってことは…!?」
「やはり何か嫌な予感がします… ガメドイの用意をしておいてください」
「わかった!」
『サタナの耐撃魔法!
ナルディの周りにバリアが現れた』
「では、3の試験始め!」
そう開始の合図をするユラさんの瞳がギラリと光ったように見えた
地図→https://www.pixiv.net/artworks/109511889
次回は7月1日の予定なのですが
試験を挟むためもしかしたら投稿できないかもです
ご理解の程よろしくお願いします!