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特訓

〈宿屋クスロ〉

 ↓

〈クスロ平原〉


「今日から… と言うより… 今日は明日の試験に向けた練習だよ」

「もう明日…!?」

「うん、でもここまで見てる限り楽に受かると思うけどね」

「そうですね、過去に私が見てきた中ではトップクラスの上手さです!」

「本当ですか!?」

「流石サタナ様です!」


ユラさんにそう褒められナルディと手を取ってキャッキャッと喜ぶ


「こほん… じゃあ本題に移ろうか」

「はい…!」

「実技の内容は全部で3つ

 1 高度10000ⅿでクスロ平原西を1周

 2 高度15000mでクスロ平原西を1周

 3 高度15000mでクスロ平原西・東を1周

 だよ」

「クスロ平原西・東?」

「そう、クスロ平原は本来もっと大きな平原で

 あそこに見える柵の先もクスロ平原なんだよ」

「あの柵が出来てからはクスロ平原は西と東に分割されることになったのです」

「ち… ちなみに大きさは?」

「こっちの大きさと同じかそれより少し大きいくらいだから…

 西東1周はざっとここ2周分って考えればいいと思うよ」

「ということは… 初水国ですね!」

「まぁ上陸はしないけどね、少し残念…」

「まずは試験1つ目! あ、言い忘れてたけど

 本番も時間制限とかはないからゆっくり飛べば大丈夫だよ」

「え、そうなんですか? ならだいぶ簡単ですね!」

「うん!」

「よしナルディ! 行こう!」


そう意気込んで早速ナルディに乗ろうとすると

話を静かに聞いていたユラさんが割って入ってきた


「レムル! 言い忘れていることがありますよ!」

「え? 何だっけ?」

「はぁ… サタナさん、ナルディさん

 試験では本番の飛行時に攻撃されても対処できるようにするために

 攻撃者と呼ばれる人たちによる攻撃が飛んできますので

 そちらも回避または撃墜ができるようにしておいてください」

「な、なるほど… これは私への試練ですね…」

「ナルディなら出来るよ! 私もサポートする!」

「本日は私とレムルが地上から撃たせていただきますので

 しっかりと対応できるようになってください!」

「え… 一応聞くけど手加減とかは…?」

「ないです!」


はっきりと言い切り親指を立てる

もはやその姿は清々しかった


「わ… わかりました…」

「その練習俺たちも混ぜてくれないか?」


絶望していたところに聞き覚えのある声が聞こえた


「あ、カツキ! と…」

「リアン! どうして貴方ここに!?」


私たち以上にユラさんが一番驚いていた


「やっほ~ ユラ姉!」

「久しぶりユラの姉貴」

「姉…? 姉貴?」

「カツキが地国に来ているのは知ってたけど… はっ!?

 もしかしてカツキが乗る龍族って…!」

「何を隠そうこのリアンだよ!」

「カ… カツキ? 脅されてたりしないよね?」

「失礼だね! そんなことないよねカツキ?」

「まぁ配達員になると決めたのは俺自身だからそこは安心してくれ

 ただ勝手について来たのは事実だな」

「仕事がなかったし、カツキもパートナーの龍族を探す手間も省けて

 うぃんうぃんってやつでしょ?」

「はぁ… リアン貴方って人は… はっ!?」


完全にリアンにペースを持ってかれていたユラさんは

私たちがいたことを思い出したのか咳払いをして話を戻した


「見苦しい姿をお見せしました…」

「ううん、気にしないで! 珍しいユラさんの自然体も見れたし!」

「あはは、うんうん自然体が一番!」


そう楽しそうにケラケラ笑いながらリアンがユラさんをからかう


「リアン… 貴方後で覚えておきなさいよ…」

「リアンその辺にしとけ、お前いつか背中に魔法を打たれるぞ」

「仲良いね~ 少し羨ましいな~」

「そんなこと…!」

「そうだよ~!」

「それじゃあそろそろ本題に戻ろうか~?」

「あ、はい!」

「リアンのせいでかなり脱線したな申し訳ない」

「ちょっとー!」

「はぁ… もうあなたは黙っていなさい…!」


ナルディがリアンの口元を抑える


「あはは… それじゃあざっくり説明するね

 まず2人は高度5000mまで上がってね

 それを確認したら僕が花火を上げるから

 そのタイミングでクスロ平原の西部分を1周してね」

「わかりました!」

「わかった!」


私とカツキはそれぞれナルディとリアンの背に乗りグングンと高度を上げていく


「あとは花火を待てばいいんだよね…」


ナルディとリアンの様子を見ると何か話しているようだったが

何を話しているのかは全く分からなかった


「そういえば、カツキとリアンは飛んでるときは言葉が分からないから

 全くコミュニケーションが取れないんだよね?」

「本来はそうなんだろうが、俺は龍と人の親から生まれたから大体わかるんだ

 もちろん完璧に分かるわけじゃないから時々困るんだがな」

「おぉ、ドラゴンライダーになるべくしてなるんだね!」

「ははっ、そうかもな」


カツキが話し終えるとほぼ同時に花火が上がった


「ナルディ行くよ!」

「はい!」


カツキたちの様子を見るとカツキが龍語? でリアンに声をかけて

スピードを上げていく、私たちが半分進んだ時には

2人はあっという間に浮いているボールの1つを触っていた


「まぁ私たちはゆっくり行こ~」

「そうしたいのはやまやまですが…」


ナルディが言い終わらないうちにユラさんとレムルさんの攻撃が飛んできた


「これを避けるにはスピードを出すしかないですよ!」

「レムルさん急がなくていいって言ったじゃん!」


そんな叫びも虚しくナルディはかなりのスピードで飛ぶことになった

さらに2人の攻撃は宣言通り容赦のないものとなっていたので

ナルディが頑張って避けてくれていても何弾かは被弾してしまった


「こんなにきついとは思ってなかったぁぁぁ!」

「諦めないでください!」


そんなこんなで何とか1周し終わり

レムルさんたちの元に戻る


「おかえり~ 流石にカツキは龍の一族ってだけあって上手いね」

「あぁ、ただリアン飛ばしすぎだ…」

「ごめんごめん!」

「よ… よし… 今回は耐えきった…!」

「お疲れ様ですサタナ様!」

「あと2つあるけど大丈夫そう?」


完全に忘れていたがこれは3つあるうちの1つで一番簡単なものである

レムルさんは少し困った表情をした後


「一旦サタナは休憩にしてカツキたちの練習を進めちゃおうか」

「はい…」

「ユラはサタナたちにアドバイスしてあげて、こっちは僕が見ておくから」

「わかりました、ではサタナさんナルディさんこちらへ」

「はい…」


そうして私たち3人は少し離れたところで腰を下ろし話し始めた


「恐らくサタナさんは速いことが苦手なんですよね?」

「はい、そうです…」

「それなら、回避ではなく攻撃を耐える…

 つまりバリアを張る方向に変えるのはどうでしょう?」

「そんなことが出来るんですか!?」

「はい、まず無属性のバリアを張ります」


説明しながらユラさんの周りに白色の球形のバリアが現れた


「この状態ですと攻撃に抵抗する力はありませんので

 属性魔法を乗せていきます、例えば… 炎の全魔法イデガ!」


魔法を唱えると白色だったバリアは赤色に変化した


「ナルディさん試しに私の弱点にあたる

 鉄の全魔法ガメルを撃ってもらえますか?」

「え!? 大丈夫ですか!?」

「はい! 問題ないです」

「では… ガメル!」


『ナルディの全鉄魔法(ガメル)

 弱点!抵抗!ユラに3のダメージ!』


「お、おぉ…?」

「これではまだ分からないですね

 それではこのバリアを外して… ナルディさんもう1回お願いします!」

「分かりました…! ガメル!」


『ナルディの全鉄魔法(ガメル)

 弱点!ユラに18のダメージ!』


「こんな感じです、かなり抑えられていることが分かりますよね?」

「すごい…! ユラさん! それ教えてください!」

「もうご存じのはずですよ?」

「へ?」

「耐撃魔法のガメドイを自分の前に使うだけでなく

 全身を覆うように使っているだけですので!」

「なるほど… あれって風を防ぐだけじゃないんだ…!

 よしやってみよう! ガメドイ!」


『サタナの耐撃魔法(ガメドイ)

 サタナの周りにバリアが現れた』


「よし…! 出来てますか!?」

「はい! 出来てますよ!」

「じゃあこれに… トルケ!」


『サタナの全水魔法(トルケ)

 サタナの周りのバリアは水を帯びた』


「ナルディ! 私に向かってケドイ!」

「大丈夫ですか…?」

「うん! 多分!」

「わ、分かりました…」


『ナルディの全地魔法(ケドイ)

 弱点!抵抗!サタナに9のダメージ!』


「危なかった…! 残り体力1…」

「ごめんなさい! 大丈夫ですか!?」

「そっか、私の属性は天だからどの属性でも弱点なの忘れてた…」


『サタナの全癒魔法(イミル)

 サタナの体力が10回復!』


「気を付けてください!?

 まぁ何はともあれこれなら練習に戻ることはできそうですね!

 ただ、2つ注意点があります」

「注意点?」

「はい、常に気を付けてほしい2つの事があります

 1つ目はガメドイが防げるのは1属性ということです

 なので相手の攻撃に合わせて毎回変える必要があることを忘れないでください

 2つ目は攻撃に対して弱点のバリアを張ってしまった場合は

 通常の2倍のダメージを喰らってしまいます

 この2つを忘れないでください!」

「わかりました! 気をつけます!」

「はい! では戻りましょう!」


挿絵(By みてみん)

地図→https://www.pixiv.net/artworks/109304491

次回は6月25日です

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