表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/57

門出

2年前の新暦499年、私が15歳の時に学校で属性検査と言うものがあった

属性検査と言うのはその名の通り国の魔法使いが学校に来て

開花した属性が「地」「水」「風」「鉄」「炎」「天」の

どれなのかを検査してもらうものだ


・・・・・・


「ねぇねぇサタナ! 自分の属性なんだと思う?」


彼女はイルナ・ユキザ、昔からずっと仲の良い友達だ


「うーん… 自分の親は地属性だし自分の生まれは地国だから…

 私の属性は『地』で間違いないと思う」

「そっか、うちの親は地と風だからどっちになるか楽しみだな!」

「楽しそうで良いなぁ…」


雑談しながら教室で自分の番を待つ


「あ、番だ」

「いってらっしゃーい」

「うん」


ひとつ前の子が教室に戻ってきたのを確認して

教室を出て隣の教室に向かった


「サタナ・クライさんですね、検査を始めさせていただきます」

「お願いします」

「検査とは言いますが

 こちらの水晶玉に手を乗せていただくですので心配しないでください」

「わかりました」


机の上に置いてあった水晶玉に手をのせると水晶玉が輝きだした


「おぉ… これは珍しい…! じゃなくて… こちらをどうぞ」

「ありがとうございます」


魔法使いの人から紙を受け取ったが「地」が書いてあると確信していたので

貰った紙は少しも見ることなく教室に戻った


「サタナ! どうだった!?」

「だから… どうせ地だって、ほら」


そう言って紙を開き友達と一緒に確認する

ほら地だった、と言う気満々だったのだが


「天…?」

「天って… 珍しい属性だよね!? すごーい!」


そう盛り上がるイルナだったが私の耳には何も届かなかった


「え… え…? なんで…?」


再検査をしてもらったが同じく「天」だった

地属性の親から地属性以外の子が生まれることはほぼ無い

生まれた国の属性に由来することもあるそうだが私が生まれたのは地国のはず

少なくとも天国であることは絶対にない

そのことを両親に聞くと2人とも真面目な顔をしながら話し始めた


「お前は捨て子だった」


その言葉を聞いた私は泣いたのか怒ったのか困惑したのか

あまり覚えていないけれどこれだけは覚えている


『自分の知らない自分を知りたい!』


そう決意したことを


・・・・・・


「起きなさーい! 一体何時だと思ってんの!?」


そんないつものお約束で朝が始まる

私は飛び上がり、リビングに向かった


「おはよう、サタナ」

「おはよう! お母さん!」

「今日から旅に出るんでしょう? 準備はできているの?」


私は今日から自分自身を知るための旅に出る

昨日は楽しみにしすぎていてあまり寝ることが出来なかった


「まだー!」

「早くしなさい、父さんが待ちくたびれちゃうよ」

「だってまだ『ミンラ』貰ってないもん!」

「あら、そうだったわね… なら早いところやっちゃいましょうか」


「ミンラ」と言うものはこのリウクス地方の全ての生き物が1人1つずつ

17歳になる時に貰える特別な力のことである


「じゃあ始めてしまいましょう

 ほら、貴方も」

「うん! えぇっと… 我らを守りし守護神よ! 我に力を与えたまえ!」


私がそう叫ぶと、お母さんは満足そうにうんうんと頷いた後

ぶつぶつと呪文?を唱え始める

すると私の体は目を開くことが出来ないほどの光に包まれた


「よしっと、問題はなさそうだね」


光が散り目を開けられるようになると、すぐに異変に気がついた


―――――――――――――――

〈名前〉ムミ・クライ              

〈種族〉人族                  

〈属性〉地                  

〈レベル〉14                 

〈ミンラ〉地の初級魔法を操る          

〈能力値〉…                  

―――――――――――――――


こんな感じでお母さんの隣に文字が浮かんでいたからである


「どうしたのよ急に人の顔を見つめながらぶつぶつと…」

「私のミンラって… 人のステータスを見れるってもの!?」

「あっはっは! これは旅が大変になりそうだね」

「わ… 笑い事じゃないよ…!」

「とりあえずミンラは渡せたんだし

 早いところお父さんのところに向かっちゃいなさい!」

「えぇ… はーい…」


そんなこんなで追い出されるように家を出た

戸を開くと突き刺すような日差しが降り注ぐ

そんな気持ちの良い天気だというのに私の気持ちは真っ暗だった


〈クライ家〉

 ↓

〈アルミド中央広場〉


「はぁ… これからどうしよう…」

「おーいサタナ! こっちだこっち!」


私が来るより前からずっと探していたのか

私を見つけるなり駆け寄ってきた


「聞いてよお父さーん…」

「なんだ? いつもの不遇っぷりをミンラでも発揮してきたのか?」

「うっ…」


この人はいつも抜けてるくせにほんとこういうことだけは鋭い


「ビンゴか、それでどんなミンラなんだ?」


―――――――――――――――

〈名前〉ドンロ・クライ             

〈種族〉人族                  

〈属性〉地                   

〈レベル〉16                 

〈ミンラ〉地の初級剣技を扱う       

〈能力値〉体12…               

―――――――――――――――


見えているものを順々に話していく

声が大きすぎる気がするがこの際気にするまい


「わーわー!!! それ以上は言うんじゃあない…!

 あれか? ステータスが読めるのか? 今時、本もあるのにか?」

「力が20…」


さらに言おうとしたら口を抑えられた

お父さんも言った通り私のミンラは少し昔までなら貴重なものだったと思う

今は閲覧本と言うものが人工的に生み出されていて

それを対象に使えばステータスを見ることができるのだ


「ま、まぁ… 良いじゃないか

 あの分厚い本を持ち歩かなくても良いんだしよ

 なんならお前のミンラはソルの部類に入るだろ? ラッキーじゃねぇか!」

「それはそうかもしれないけど…」


そう私を励ましてくれたが、私の気は一向に晴れずにいた

ミンラにはカイミンラと呼ばれる各国の力に沿ったミンラ

(例:ムミの炎の初級魔法を操る)と

ソルミンラと呼ばれるカイミンラとは全く異なり

どこの力にも沿わない変異的なミンラ

(例:サタナのステータスを閲覧できる)があるのだ

そしてソルミンラはカイミンラに比べ

希少であることが近年の研究で判明された


「そういえばお父さん」

「どうした?」

「なんで私をここに呼んだの?」

「あぁ、こいつを渡そうと思ってな」


腰元のポーチから金属製の小さなナイフを取り出しながらそう言う


「ナイフ?」

「あぁ、俺の手作りだ」


―――――――――――――――

〈名前〉ドンロのナイフ       

〈品質〉良             

〈能力値〉+力8          

―――――――――――――――


このミンラは生物以外にも使えるようだ

ただ、人工物は基本性能が書かれているからあまり使うことはなさそうだ


「こいつを旅のお供に持って行ってやってほしくてな

 あと小遣いだ! 無駄遣いするなよ?」


そういって100ケル硬貨1枚と10ケル硬貨を5枚渡してくれた


「え、いいの!? ありがとうお父さん!」

「おぅ! 俺の用事はこんだけだから

 もうアルミドを出るならアルミドの外まで送っていくぞ?」

「ありがとう! でも、まだ準備したいから大丈夫だよ!」

「分かった、何かあったらすぐに家に帰ってこいよ!」


と言って私の背中をバシバシと叩く


「痛い!」

「はっはっは! 気合い入れだ! 行ってこい!」

「うん! 行ってきます!」


そう言って手を振る、お父さんに手を振り返しながら

人通りの多いアルミド商店街に向かった


〈アルミド中央広場〉

 ↓

〈アルミド商店街〉


武器もここで買う予定だったけれど

このナイフがあるから必要がなくなった

そうなるとあと必要なのは食事か

なんてことを考えながら出店の並ぶ通りを歩いていると

あっちこっちを旅している行商人のロッコさんが挨拶してくれた


「お、サタナちゃんじゃないか! 何か買っていくかい?」

「ロッコさん! こんにちは!」


―――――――――――――――

〈名前〉ロッコ・スラン             

〈種族〉人族                  

〈属性〉風                   

〈レベル〉16                 

〈ミンラ〉風の中級剣技を扱う      

〈能力値〉…                  

―――――――――――――――


「あ、忘れてた!

 そろそろ旅に出るから新しい服が欲しいんだった!

 ちょうど良いのある?」

「そうだね… 

 このムニ革のコートなんてどうだい? まけるよ!」


―――――――――――――――

〈名前〉ムニのコート        

〈品質〉良             

〈能力値〉+守8         

―――――――――――――――


「わぁ… ものすごく良い! 値段は100ケルくらい?」

「そうだね、70ケルでどうだい?」

「ぅえ!? そんな安くて良いの!?」


他の露店でもコートは見かけたが最低でも100ケルはした

そんな安く売ったら大赤字なのはあまり勉強ができない私でも分かる


「買う! 買います!」

「まいどー!」

「ありがとう、ロッコさん!」


【150ケル→80ケル】


お礼をして店を後にする

後はご飯… は現地調達にしてもう出発しよう

既に時計は10時を指していた


「それじゃあ… 出発しますか!」


挿絵(By みてみん)


地図→https://www.pixiv.net/artworks/108508721


・・・・・・


このサイトへは初めての投稿になるのでミスなどが多々あるかと思いますが

温かい目で見てください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです! [一言] 追ってまいりますので、執筆頑張って下さい!!!
2023/07/08 22:26 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ