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守護転生 〜今までの人生勘違いだらけだった件〜  作者: 京松克英
第一章 異端者
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第四話 チュートリアル2

 ドット絵の少年は恥ずかしそうにモジモジしている。

マサル「え、どーゆーこと?自分さっき、、、死にかけてたんちゃうの、、、?」

少年「いやあ、割とね、、、本当に危なかったんだ。さっきはありがとう、、、この姿は苦肉の策でね。残りカスみたいな力で、クエスト説明する場を作るためには次元をすごく落とさなきゃならなかったんだ。」

マサル「いや、落としすぎやろ。ペラッペラやん。」

少年「ふふ、君はなかなか興味深い喋り方をするね、マサル。」

マサル「え、俺の名前、、、いや。なんとなくは分かる、ここは意識の世界やから、伝わったんやろー?でも逆に俺は君の名前を知らん、、、なんでや?」

少年「ごめんね、僕の本当の名前は、今は教えられないんだ。通称は、ゼスだよ。闇を司る神だ。」


 神様、、、がまさかのドット絵でペラッペラ、、、とシュールすぎる展開に少し戸惑いながら、マサルは聞いた。

マサル「神様やから、神クエスト、か。それってなんなん?」

闇の神ゼス「うん、実はね。助けて欲しいんだ、、、もうすぐ君が行く新しい世界で、産まれたての命が狙われているんだ。簡単に言うと、その赤ん坊を守ってほしい。その子は可能性で満ちているのに、理不尽な理由で殺されそうなんだ。」

マサル「おお!?なるほどな!よし!異世界転生ってやつやな!チートスキルか?ガチャか?あ、魔法!?」

 テンプレきたぞコレ!とマサルははしゃいだ。が、先程からゼスはとても気不味そうに、ドット絵姿でチラチラとこちらの様子を見ている。

マサル「え、、、ちゃうの??」

闇の神ゼス「うん、、、ごめんね、、、力不足で、、、。」

 ペコリ。ゼスはペラッペラの身体を90度折り曲げた。

マサル「いや、それやめて。シュールすぎやわ。それで、転生じゃないなら、どうやって助けるん?」


 ゼスは少しの間沈黙してから、口を開いた。

闇の神ゼス「君がこれから行く世界は、君のいうテンプレの世界からはそんなに外れてはいないよ。剣と魔法の、、、中世ファンタジー?魔物や魔族はいるんだけど、うーん、、、君のテンプレからするとそのあたりは少し独特かもしれないね。自分の目で確かめてみるといいよ。神クエストの詳細は、聖女が産んだ赤ん坊を助けて、その子が13歳になるまで守ること、、、だよ、、、その、守護霊として、、、。」

マサル「な、、、なるほど、、、人でもない、んやな、、、」

闇の神ゼス「そ、そんな悪い風に考えないで。良いこともあるよ、13年間のクエストが達成されたら、特別なスキルが手に入るように設定しておいたよ。その時までのお楽しみだけど、きっと君の役に立つよ。」

マサル「んー、もし、、、神クエストに失敗したら?」

闇の神ゼス「ライブラリで君が神クエストを選択した瞬間があるよね。そこに戻るよ。」

マサル「え?それって、、、。」

闇の神ゼス「まあ僕のことは、気にしないで。ただ、あの特異点に戻ると君も無事とはいかないよ。」

マサル「分かりやすーく説明おなしゃす!」

闇の神ゼス「君はあの時、全てを忘れたいと強く願った。僕の力は、闇と忘却。あそこに戻ると、、、」

マサル「なるほど、、、ほんまに何もかも忘れてしまうて、、、ことか、、、。今は、、、それは嫌やな、、、。」

 マサルが自分のイメージから抜け出したあの時に思い出した記憶。焚き火を囲んで、妻と娘と笑い合いながら、焼きマシュマロを食べた。忘れ去りたい気持ちはまだあるが、それは、決して全てではなかった。


闇の神ゼス「、、、じゃあ、大体理解できたかな?」

マサル「ああ、、、それにしたって守護霊かぁ、、、どうせなら、、、生まれ変わりたかったなぁ、、、」

闇の神ゼス「そこまで力が残ってなかったんだ、、、ごめんね。でも、、、君が心から生まれ変わりたいのなら、道が、ないわけじゃないんだ。君が描いたように、世界は動くよ。少し時間はかかるけど、、、ね。」

 ゼスは意味深な笑いを浮かべながら、扉に向かって歩いていく。


 歩きながら、いくつかゼスに質問をぶつけた。わかったことは、使えるスキルはウインドウに表示されること。疑問はウインドウが答えてくれることもあること。チートスキルは現時点では存在せず、設定もされていないこと。特殊スキルをなるべく早く発現させ、生存確率を上げたほうがいいこと。

 最後にゼスは扉の前で振り返り、マサルと目を合わせた。ただでさえペラペラキャラがねじれて何だかいたたまれない。


闇の神ゼス「確率論でいうとね、赤ん坊が助かる確率は、、、高くないんだ、、、でもね。僕は、信じてる。僕と君との出会いを。そして、あの子と君が出会う可能性と、その先にある虹色の未来を。」

 マサルの心は決まっていた。もうライブラリには戻りたくない。大切な記憶も、ちゃんとある。そして何より、ゼスとの出会いに不思議な縁を感じていた。扉に手をかける。


 新しい世界への扉が、今、開かれようとしていた。


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