第三話 チュートリアル
マサルの視界に突然ウインドウが現れた。
『神クエストを受注しますか?』『はい いいえ☜』
マサル「、、、マジかー、、、」
考えている時間はほとんどないだろう。少年は目を閉じもう動かない、黒い稲妻はその身体を蝕んでいっている。
ご都合展開すぎて、マサルは目の前の出来事はただの夢なんじゃないかと一瞬思ったが、散々ライブラリを覗いた後だったため、おそらくそうではないのだろうと思った。ライブラリも瞬間移動もそうだが、目の前の出来事はまるで自分に合わせているかのように描写され、起こっている。
マサル「偶然は、、、どうやら、ないってことやな。」
考えた瞬間にピッ、と『はい』にコマンド選択された。少年は掠れた声で唇を震わせる。
少年「ありが、、、とう、、、」
あっという間に黒い稲妻が膨れ上がり少年を飲み込もうとした途端に虹色に光がフラッシュし、謎の機械音声が聞こえた。
『神クエストが受注されました』
『ダウンロード開始』
『現時点を特異点に設定、補完を開始します』
『補完完了』
『事前申請を元にスキルを作成します』
『特定条件下で発動するスキルが複数存在します』
『必要質量を計算します』
『異世界転生に必要な質量が不足しています』
『実体なしでの認証を試行』
『転移が認証されました』
それまでのマサルのイメージがぼやけていく。自分の形がまるで暗闇を漂う炎のようだ。
「形かー、、、そういや俺、キャンプするにしても何にしても、形から入るタイプやったなぁー。もうちょい、、、もうちょいなんか、、、ああでも、炎、、、焚き火楽しかったなぁ、マシュマロ焼いてあげたりしてな、、、」
ウトウトとしていると、謎の機械音声に起こされた。
『ダウンロード完了』
『チュートリアルを開始します』
目を開けるとなにもない空間だった。遠くにまるで向こうは異世界ですよーと言わんばかりのどデカい扉が見える。自分は握り拳大の炎のような姿になってふわふわ浮いている。
マサル『だんだん、わかってキタで〜。ここはたぶん、意識の世界やから、本人の思考レベルに合わせた描写で色々現れるんやろな。てことは、、、俺ヤバいな、、、』
マサルは自分の厨二具合に小さくため息をつきながら、あることに気づく。
マサル「あれ、なんや、、、?線?」
黒い真っ直ぐな線が少し離れた場所に見えるというか、立っていた。直感みたいなもので、立っている、と感じたマサルはふよふよと線に近づいたのだが、角度を変えて見えた瞬間驚く。
そこには先程の少年が、ドット絵の状態で立っていた。少しだけ、気不味そうにしている。あ、、、目が合った。
少年「、、、や、やあ!」
マサル「、、、いや、、、解像度、、、低すぎやろ!」