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呪われ猫令嬢と、初日の夜。


 よければブックマークなどよろしくお願いします!



「下がれ、ジャック」

「おやすみなさいませ、旦那様」

 ジャックを下がらせた俺、フロウム・アーティーは自室へ向かう。


 ドアをバッと開けると、窓が空いていた。

 カーテンを開けて覗くと、空色の長い髪の女の子がいた。

 絶対俺より年下。

 女の子は気配に気付いたらしく、こちらを振り向いた。

 見事なまでに綺麗な淑女の礼(カーテシー)をすると、紫色の瞳を見せる。

「初めましてでは無いのですが。初めまして。私、ベルアリーチェ・ヴェルマサラと申します。フロウム様」

 ベルアリーチェ? 聞いたことある名前だな。

 それより、気になった事がある。

「なっ、何故俺の名前を?」

「リリーという名前を私につけて下さって、ありがとうございました」

 そう言うと、優雅にお辞儀をした。

「リリー、がどうかしたのか?」

「私です」

 簡潔に答えられましても。

「どういう」

「正確には、呪いをかけられた姿の私です。夜の間だけ、こうして解けるのです」

「そ、そうなのか」

 理解が追いつかない。誰か助けて。

「リリーは、我が家に、リリー・アーティーとして過ごしてもらおうと思っていた」

「すみませんが、私、家から勘当されたも同然なのです。置いてください、私を、リリーを」

 確かに、過去形だった。

 でも、俺は心に決めたから。

「リリーは、我が家の住人だ」

「!! ありがとうございます」

 またお辞儀。

「もう大丈夫だから。ちょっと待っててくれ」

 扉を開けて、侍従に何人か侍女を呼んでくるようにと命令。

「俺は出ておくから、ゆっくり着替えてくれ」

「ありがとうございます」

 数名の侍女が中へ入り、その内2名はドレスを持っていた。

 さっすが、用意周到。そんなことを思っているのは秘密だ。

 



 30分後。


 侍女が笑顔で出てきて、入っても良いと言った。

「失礼します」

「ど、どうぞ」

 そわそわとこちらを見るベルアリーチェ。いや、リリーか?

「うん。良く君に似合っているよ。バレッタがあったはずだが」

「い、いえ。大丈夫です。このようにしてくださるだけで、とても嬉しいのです」

 ベルアリーチェが手をぶんぶんと胸の前で振った。

 鏡台の上に、侍従に貰ったシックなバレッタが置いてある。

 それを取りに行き、ベルアリーチェを座らせる。

「え、あ、の」

 戸惑っているが、気にしては駄目だ。

 横の髪の毛を右も左も三つ編みにし、後ろで纏めてバレッタで留めた。

「よし、スッキリしたな」

「あの、何故?」

「俺も髪が長いからな。邪魔だから、勝手に身についた」

 そういう事ではないと視線を感じた。

「本当のことを言うとな」

「はい」

 こっそりと、声を小さくして。

「髪が、とても綺麗だったから。横がスッキリして、暗めの色で留めたら、映えるかなと」

「! ありがとうございます。嬉しいです」



 こうして、リリーという猫は、人に戻っても、皆の人気を少しずつ、集めていくのでした。


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