98話 黒狼と白狼
ガルム……。
ガルムねぇ……。
確か、北欧神話のヘルの城の扉に居る番犬だったか……?
違ったっけ?
「テオス様、行きますよ」
声が聞こえると……視界にクーペが入ってくる。
「あぁ、わかった」
そう言って、クーペ達について行く。
そして、金色の橋を渡る。
これ……渡って良いのか?
なんか渡っちゃいけない感じがするんだが……。
でも、ネロ達も普通に歩いてるしなぁ……。
俺だけ戻るのもな……。
てか、川が流れてるのかぁ。
どこに繋がっているんだろ?
そして、金色の橋を渡り終わり、川の源流へ向かって歩き続ける。
……さっきから見えるこの蒼い炎は何なんだ?
ん? 確か、ここってーーー
「ッ! テオス様!!」
急にラスの声が聞こえる。
その瞬間、悪寒の様なものを感じ、振り返る。
俺の視界に映るのはーーー2頭の獣の牙。
なッーーー!
刹那、暴風が吹き荒れるーーー
そして、2頭の獣は吹き飛ばされる。
「ふぅ、危なかったですね。テオス様……」
そう俺に言うのはクーペだ。
俺はクーペに「あぁ」と返事をして頷く。
すると、のそりとその獣が立ち上がる。
『何故……邪魔をする! シルフィードッ!』
黒色の毛を持つ獣ーーーいや、狼はそう告げる。
……この世界の動物は皆、喋るのか?
それとも、俺が会う動物達が皆、喋る奴らばかりなのか……?
分からないな……。
「貴方達こそ、何故、テオス様を襲ったのですか?」
その狼達に問うのはクーペだ。
すると、白色の毛を持つ狼が発言する。
『我等はあの方々の波動を感じた故……!』
「あぁ……そういう事ですか」
背後からそんな言葉が聞こえてくる。
その声の主はネロだ。
「どういう事ですか? ネロ様?」
「簡単な話ですよ、クーペ。彼等は誰に仕えているんですか? そして、彼等は普段、何をしているんですか?」
「ッ! そういう事ですか……!」
クーペは納得したのか、ネロの発言に相槌を打つ。
?
そういう事だ?
全く話についていけないんだが……?
「あぁ、申し訳御座いません。テオス様。私だけが納得してしまって。彼等は……」
クーペのその言葉を遮り、2頭の狼が喋り出す。
『お初にお目に掛かります……陛下。先程は、無礼を働き申し訳御座いません』
「いや、全然……!」
それにしても、陛下……ね。
もう、俺はどの立ち位置なの……?
王様? 嫌だが?
平民で良いんだが……?
誰も俺を持ち上げないで良いんだよ……?
てか、持ち上げないで……。
『我等は……月神───いえ、冥王様に仕えし者。私の名はゲリ。そして……』
そう言うと、ゲリと名乗った黒色の狼は右にいる白色の狼に視線を向けた。
『こちらが、フレキと申します』
すると、フレキという狼は口を開いた。
『宜しくお願い致します。陛下』
そう言って2頭の狼ーーーいや、ゲリとフレキは頭を下げる。
うん……この狼達ならいっぱいモフモフ出来るのでは!?
リルの毛もモフモフだけど、女の子の姿だとな……。
今はそんな事どうでも良いな。
「こっちこそ宜しくね」
俺は頭を下げ続けているゲリとフレキにそう言った。
ゲリとフレキ───
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