95話 懇願
蒼天に座す彼女が告げる。
「久しいな、フラーウス」
はぁ、こういう言い方が嫌いなんだよね……私。
「そうですね、正義神……」
「相変わらず、真名で読んではくれないんだな」
そう言い、苦笑する。
「当たり前でしょう? フォルセティ」
フォルセティと呼ばれた人物が目を見開く。
「……意外だな。貴方が私をその真名で呼ぶとは、何かあったのか?」
「いえ、何もありませんけど……?」
フラーウスはそう言って首を傾げる。
「あくまで、惚けるか……。まぁ、良い。フラーウス、私達の願いを叶えてくれないか?」
願い?
私に……?
もし、絞るとするのなら……
前者は死者や亡者、後者は───いや、違いますね。
私は後者の考えを頭から追いやる。
「何故、貴方達は私に懇願するのですか? その理由と意図を教えて下さい」
「わかりました……」
そう言って、正義神と司法神は砂上に舞い降りる。
「先ずは、場所を移させて貰おう」
指をパチンと鳴らす音が聞こえた。
視界が白色の光で支配されると、視界が切り替わる───
* * *
「此処は……」
驚愕する様にフラーウスはそう言葉を漏らす。
「何処ッスか!?」
始源樹の配下も驚いている。
確か、名前は………ラタトスクだったか?
いや……違ったか?
───まぁ、何方でも良いか。
「エイレネ、貴方はそこで待っていて下さい」
私はエイレネに対して釘を刺す。
「はっ、はい! 分かりました!!」
エイレネは強張った顔でそう言う。
緊張……いや、恐怖しているのか……。
はぁ、どうにかして、改善しないとな……。
私は歩を進める。
ある場所へ向かって───
* * *
「何処に行くんスか?」
アニマがフォルセティに問う。
それに対し、フォルセティは……
「私はフラーウスと話が───いえ、貴方にも話しておきましょうか」
「? 何をッスか?」
アニマは不思議そうに首を傾げる。
「運命神ロキ、彼の正体について───」
「っ!? 少し待って下さい! フォルセティ!」
フラーウスが驚嘆し問う。
「何です? フラーウス……いえ、アズラーイール」
「ッ! その名前で呼ばないで下さい!」
「おっと、失礼。貴方には常に冷静で居てもらわないといけないので……」
……?
どういう事ですかね……。
何故……フォルセティは“私”という人物に固執するのでしょうか?
それにロキの正体と私の関連性など何も───
「不思議ですか? フラーウス……」
「はい……。何故、貴方は……そこまで“私”に固執するのですか?」
「そうですね……。では、お話ししましょう。ロキの正体について───……」
フォルセティは、含みを持たせてそう言った。
ロキの正体とは───!?
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