92話 侵入者
台所にてーーー
橙色の髪が、窓から吹く風で靡く。
そして、その髪は朝日を浴びてより一層輝きを増している。
そこに居る彼女は、静かにそして迅速に朝食を作る。
テオスがモロクの治療の為、料理を作らなくなってから……ヘンゼルが代理で料理をしているのである。
それこそが、ヘンゼルの幸せであり、ヘンゼルの存在する意義である。
「これでいい、かな……?」
疑問符を浮かべながら完成した料理を見つめる。
完成した料理とは、昨日と同じお粥である。
故に、ヘンゼルは悩む。
昨日と同じーーーいや、お粥だけで良いのか、と。
そう、ヘンゼルが熟考していると……
「ヘンゼル、少し良いですか?」
「!」
その声の主はアーテルだ。
アーテル様!?
なんでここに!?
話……任務……かな……?
「はい」
「それは、良かった」
アーテルはそっと胸を撫でおろす。
「?」
私はアーテル様の言った事の意味が分からず首を傾げる。
「あぁ、話を逸らしてしまって、申し訳ありません! 話ーーーというよりはお願い……それも、テオス様からの」
「!!」
私は思ってもいないその一言に驚愕し目を見開く。
「テオス様が、モロクの食事を普通のーーーいえ、皆に出している食事と同じにして良い、と仰られていました。そして、食事の量は全体的に少な目で水をつけてと仰られていました。ですが、まだモロクは療養中の為、テオス様自身の部屋で食事を取らせる様です」
長い……
本当にテオス様自身が仰られた事……?
アーテル様の意見もーーー考えるのやめておこう。
私はそう考え、思考放棄する。
「では、宜しくお願いしますね。ヘンゼル……」
アーテル様はその紅い瞳を細め、嗤う。
アーテル様に私の思考……読まれてた……?
気のせい……?
* * *
精霊界にてーーー
その空間はまさに楽園である。
だが、それは……神にとっては、という意味を含む。
そして、今、この精霊界には……神ならざる者が侵入していた。
沢山の光の球がそこら辺一帯を飛び回っている。
「どこだ! どこにいる!?」
そして、この空間に声が反響している。
「早く探せ! 我らに出来る事は限られている!! 天棲聖霊の方々に連絡を!!」
一番輝いている光球ーーーいや、掌サイズの人間に蝶の羽の様な物をくっつけ、肌が淡く光っている者達は、この世界で精霊と呼ばれる存在。
「分かりました! 急いで連絡いたします!」
「あぁ、そうしてくれ! 私は侵入者を捕まえに行く!」
「行ってらっしゃいませ! 騎士団長!」
「あぁ!」
そう言い、その者は高速で侵入者が居るであろう所へ飛んでいくーーー
精霊の騎士団長が向かう所とは!?
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