90話 仮名
目の前で跪く青年……
おい、何か喋れよ。
「あぁ、申し遅れました。私の名前はアーテル。どうぞ、お見知りおきを」
「アーテル、か。それは名前? それとも、苗字?」
「名字であり、仮名です」
そう言って微笑んだ。
へぇ、そんなのもあるんだ……
「ルフスやネロ達もそんな感じなの?」
「はい、そうでございます。真名は、自らを表す能力に宿りますーーー」
(どうなるのだろうか……?分かたれた能力は戻ってはこない。だが、神であれば、そうではないのだろうか……? まぁ、その時が訪れればわかることだな)
アーテルが熟考していると、テオスの部屋の扉がコンコンと鳴る。
「シルかな?」
「シル……? それは誰ですか?」
「え……? 知ってるんじゃないの?」
アーテルにそう訊いた瞬間、「テオス様、いらっしゃるのですか?」と訊いてくる。
俺は、扉越しに「あぁ!」と言う。
「失礼します」
すると、扉を開けシルが入ってくる。
その瞬間、アーテルが驚く。
「ま、まさかっ! 貴方だったのですか!? シルという人物は……!?」
「はい……って、アーテルじゃないですか」
「そんなことは今、どうでもいい! 何故です!? 何故……貴方にはアリシアという仮名がーーー」
「その仮名で呼ばないで下さい。私は主様から大切な真名を貰ったのです」
シルがアーテルの言葉を遮る。
「な……お前は! 神からの寵愛をその身で受けるつもりか!?」
「違います。そこだけは誤解しないで下さい」
「ならば……どういうつもりだ! あの御方から創造まれた我々、3柱と同等の位置についたとでも言いたいのか!?」
「違います。ですがーーー理由は後で話しても良いでしょうか……?」
そう言い、シルは視線を俺のベッドへ目を向ける。
「あぁ、わかりました。ですが……後で、しっかりと説明してくださいね」
アーテル首肯し「しっかりと」の所を強調して言った。
、そして、去り際に「それでは、失礼致します。帝王ーーーいえ、テオス様」と言って、俺の部屋から出て行ったーーー
すると、シルが……
「先程はすいません。お見苦しい所をーーー」
シルがお辞儀をしようとした瞬間……
「いや、いいよ」
俺はシルの言葉を遮り、そう言う。
アーテル、か……
あの青年……どっかで会った事がある気がするんだよなぁ……
なんでだろう……?
テオスの疑問の訳とは!?
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