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83話 圧縮


 「な……何なのだ………! 貴様は……!!」


 アーダが驚きながら問う。

 それに対し、モロクが声を上げる。


 「おい、アーダ! この御方はーーーー………」


 モロクの言葉を青年が遮る。


 「名前を知られて……絶望されては困るというものです……! 俺は……戦闘狂(バトルマニア)なものでな……!!」


 アーテルは嗤いながら手首の骨を鳴らす。


 「面白い……!! 貴様はなかなか骨がありそうだ!!」


 「俺にそんな口が聞けるとは……余程、腕に自信があるのか?」


 「ふん、我に勝てる者などこの世界には居ないのだよ……」


 「ほぅ、随分と大きく出ましたね……。いいでしょう、お相手して差し上げますよ……!」


 「ではッーーーー!」


 ーーーアーダがそう告げた。

 その刹那、地面が抉れ数十本もの根が飛び出る。


 「はぁ……この程度ですか? まさか……この程度で、この世界に敵が居ないと言っているのか……?」


 彼の声が重々しいものへと変わる。


 「……! 何故だ……何故それ程の魔力が……!!」


 「おっと、魔力を解放してはいけませんね……。絶望させてしまっては勿体ない……!!」


 (どういう事だ!? 何故これ程の魔力を持っているのに……解放しないのだ! まさか……我に屈辱をーーーーー)


 「どうかしましたか? ん?」


 彼がそう問うと、空から梟が飛んでくる。


 「やっと来ましたか……遅いですよ。俺」


 『すまんな……俺』


 「まぁ、いいでしょう……」


 『有難い、俺よ』


 

 「なッ……何なのだ………!? 貴様は……動物使役者(アニマルテイマー)なのか!?」


 「違いますよ……この梟は俺の分身体。貴方が改造した者と同じ様な存在だ……!!」


 「貴ッ様!! 本当に何処までッ!! 知っているのだァアアアーーーー!!」

 

 「………全て」


 「何? 全て……だと? 戯言を……!!」


 アーダは口ではこう言っているが……内心、恐怖一色である。


 「本当に……貴方は弱過ぎる。俺が能力(スキル)を使うまでもない……。モロク、お前が片付けよ」


 「ハッ! アーテル様! 誠に申し訳ありません!」


 「……謝罪はあの者を滅してからにしてください」


 「わかりました」


 そう言いながら、モロクは後悔する。

 お前がこの世界に来た時にもっと詳しく教えておくべきだったな、と。


 (すまないな……親友(とも)よーーー)


 「魔力、解放ーーー! 蒸留(スクウィーズ)ッ!」


 モロクがそう言うと……大樹が捻り潰される。

 いや、搾れらる。


 「グワァアアア!! 待て! 待つのだ……! 話が友ーーーー」


 刹那、その大樹は完全に水分を抜かれる。

 そして、大樹の形をした紙だけがその場に残っている。

 ーーーモロクは友を自らの手で殺めたのである。


 (これもアーテル様からのお慈悲なのでしょうね……)


 モロクがそう思っているとアーテルが呟く。

 

 「やはり……何も出ませんか………」


 アーテルは嘆く。


 「その様ですね……」


 モロクがそう返す。


 『この者、魔力が無いぞ』


 異変に気づいたアーテル(分身体)が告げる。


 「……? まさか……これも分体か!?」


 『あぁ、その可能性は高いな……』


 「!? そんな筈は……!!」


 「気のせいだと良いのですがね……」


 「本当にそうですね……」


 「……モロク。テオス様の(いえ)へ行きなさい。俺は少しやる事ができた」


 「わかりました。では、失礼します」


 そう言い、モロクは闇に紛れる様にして消えていくーーーー



 「………」


 アーテルは思案する。

 すると、肩に乗っている分体(じぶん)が問うてくる。


 『俺よ、分かっているのだろう……?』


 「あぁ、あの者はそもそも此処には居なかった。此処に居たのはヤツの分身体……。ヤツは……精霊界(エデン)に居る」


 アーテルはそう言い、動き出すーーー



悪魔の王は表舞台へーーー

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 俺が俺と話す展開も中々王道ですよね。 敵サイドっぽいのがまたニクいです。 精霊界はエデンって読むのか~~~楽園か~~~きな臭え~~~
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