82話 黒山羊
世界樹を囲む錯綜神森にてーーー
薄暗い森の中に悠然と佇む大樹がある。
そして、その大樹は怒りを募らせている。
「クソッ! 我の分体が消滅した……!! それに地下に送り込んだアイツとも連絡がーーーーー」
ん?
さっき、始源樹のヤツが何か言った……と思われるのだが………
何を言ったんだ?
それに、どう言う事だ?
我の分体がたしか……始源樹が娘とか言っていると連絡を受けたんだが……?
我に関係している女子などあのマーリンとかいう厄災と……女の形をしていた怪物も入るなら、あのとき改造した植物ーーーー
そういう事か……!
「フ……フフ、フハハハハハハハッ!!!」
狂気的な嗤い声が森に響き渡る。
だが、同時にこう考えてもいる。
本体の記憶は分体は知っている……いや、知ることが出来るのに、本体が分体の記憶を受け継ぐ事が出来ないのかとーーーーーー…………
暫くアーダが苛ついていると、ある生物が近づいてくる。
「随分と苛立っているな、アーダ……」
「……あぁ、モロクか……。久しいな……」
モロクと呼ばれた生物は黒い山羊である。
「あぁ、そうだな。お前がこの世界に来て以来か……」
「そんなに経つのか。大体、20年ぶりか」
「そうなるな……。一ついいか? アーダ」
「何だ? モロク……」
「お前は……あの帝王を怒らせたのか?」
「ゴット? あぁ、あのテオスとかいう人間の事か……」
その瞬間、モロクはボソッと呟く。
「人間、か………」
(お前は変わってしまったな……。最初に出会った頃はもっとーーーーー………)
「おい、どうかしたか!? モロク……?」
ふと気がつくと元親友が質問してきた。
「いや、何でもない……」
「そんな筈ないだろ! お前がこんな風に聞いてくるんだ! 何か事情があるんだろ……?」
モロクの音程が下がる。
「あぁ……実は、ある人物の下に付いていてな……」
「お前がか!?」
そう驚くアーダに対し、モロクは「あぁ、そうだ」と返す。
「そうか……誰なんだ? お前が仕えている人物は……」
「それは言えない。その名を呼ぶ事ができるのは同格の者達か、その御方の生みの親たるーーー“神”だけだ」
「生みの親? ソイツは人間か……? 人間なら我が一捻りで……」
アーダが言おうとした言葉を封じ、怒る。
「巫山戯るなッ! お前は、あの御方の魔力を見てないから……そんな事が言えるんだ!」
「そうか、なら……ソイツを連れて来い。我が潰してやろうではないか!!」
上機嫌に彼はそう言って嗤う。
「やめろやめろ! もしあの御方がいたら……」
その瞬間、薄暗い森の中にはっきりと水色の魔法陣が出現するーーー
『フ……フフフ………面白い挑発ですね』
その魔法陣からモロクの主人が出てくる。
その人物は青年だ。
漆黒の衣服に背中から蝙蝠の翼が出ている。
その青年こそが、原初の神々の1柱にして、この銀河で2番目に強い……絶対的強者であるーーーーーー
モロクの正体とは!?
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