80話 邪悪なる樹ーーー
「では、貴方はアーダの正体については何も知らなかったんですね?」
「はい」
「そうですか……」
そう言うネロの横からラプラスが耳打ちする。
「ネロ様、嘘はついていない様です。ですが……何かしらの違和感には気づいていた、かと」
その言葉にネロは小声で「有難う御座います」と返す。
するとラプラスも小声で「いえ、では私はこれで……」といってネロの影に沈んでいった。
「では……貴方はどうしますか? 仕えた王は居なくなりました。テオス様に仕えるーーー」
ネロは「テオス様に仕えるという案もありますよ」と言おうとしたがエルピスに遮られる。
「いえ、それはとても光栄なことですが……遠慮させて頂きます」
「そうですか……残念です。ですが、妹は返す気はありませんよ? それでも良いですよね?」
ネロのその言葉にエルピスは驚く。
「まさかっ! マーリンの事ですか!? 本当に生きていたなんて……」
コイツ……
白々しいな……
「なぁ、エルピス。お前はマーリンがどんな仕打ちを受けていたか知っているか?」
「仕打ち? どういう事ですか?」
コイツ……!!
「お前! マーリンが奴隷商でどんなーーーーッ! !! 何で止めるんだ? ネロ……」
「おにーちゃん……我を忘れないで。自らの内にある憤怒と向き合って……目を逸らさないで」
そう言って俺を抱きしめる。
何か……身体から、穢れが出ていっている様な……
「おかえり……おにーちゃん♡」
「あぁ、ただいま。ネロ」
「うん!」
そう言って飛び降りる。
「ネロ……後で皆と一緒に話し合うのじゃ……」
「それくらいわかっていますよ、ルフス……」
「わかっているなら、良いのじゃが……」
そう言い合うネロとルフスだが、その横で無言を貫く人物がいる。
その人物とは、ラスである。
そして、ラスは思考する。
(私……来る必要ありました……? ルフス様だけで良かったのでは……? いや、やめましょう。こんな事を考えている、とバレたらどうなるか分かりませんね……)
ラスは直ぐにその疑問を捨て去る。
すると、また新しい疑問が浮かぶ。
(ですが、あの大樹は何者だったのでしょうか?)
ラスがそう思っていると……ルフスが声を発する。
「のぉ、ネロ」
「はい、何ですか? ルフス?」
「あのアーダの貌を被った者は何だったのじゃ?」
「あの大樹は……私の分身を取り込んで変質した者ーーーー」
「変質じゃと? それにお主の分身を取り込める存在とは……何者じゃ?」
その問いにネロは微笑する。
「簡単ですよ。森護人の始祖は樹霊人ですよね?」
「そうか! だが……アヤツの種族は樹霊人などでは……」
「そうです! ですが、私の分身体は力がない樹霊人です。戦闘などで力が弱まっていれば、アーダからすれば良い材料でしょう」
ネロの声がより一層大きくなった。
アーダの正体とはーーー
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