63話 力の一端
なんか、変な感じだな。
怒ってんのに、冷静なーーー凪みたいな心情って感じ。
………でも、怒ってることには変わりねぇんだ。
お前だけは絶対に赦さなねぇ……
なぁ? デセオ!
(一瞬、気圧されてしまったが……)
デセオはテオスの激怒に気圧されたのを隠そうと必死になる。
「ふ……ふははははははっ! 神に選ばれた私の前では如何なる者も私に勝てないのだ!」
そう言って嗤うデセオに向かって、俺は挑発する。
「そうか、それがどうした? それに神、神ってお前はーーーーー………ッ!」
い、今……俺は………何を言おうとした………?
俺は……今、皆を…‥シル達が来たら傷つく様な言葉をーーーー
「あ? 貴様達、侵入者に対してこれ程、寛大にーーー」
はぁ……? 寛大?
何言ってんだ?
コイツ?
頭オカシイんじゃないか?
「意味わかって言ってるのか? お前はただの人殺しだぞ」
「………は? 貴様……どれ程私をコケにすれば気が済むのだッ!! 私は神から加護を賜ったのだぞ? ……もういい、貴様………死ね! ボレアースッ!」
その瞬間、北の方角から城内に強風が吹き荒れる。
あ……リ……ル………
切り傷が酷い。
だが、幸いなことにあまり血が出ていない。
超級、時空間属性魔法-『時空固定』!
超級、無属性魔法-『結界』ッ!
極級、光属性魔法-『聖光』ッ……!
よし、回復もしたし……これでリルは問題ないな。
俺は……『結界』ッ!
そして、このよくわからん強風は………あ!
吹き飛ばそう!
極級、風属性魔法-『竜息咆哮』ッ!!
“咆哮”という文字が入っているが人の場合、掌を竜の口の様にすればいいらしい。
だから、掌を竜の口の様ーーーどこぞの○メ○メ波の様な構図ーーーにする。
そして、突き出すっ!
そして掌に集まった風は一直線に床へと向かいあらゆる風を掻き消す。
それと同時に城が半壊する。
「な……なっ………な…………っ! あ……あ………あり、えないッ……! 何故? 私の……風神様より賜りし偉大なる力がァアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
うわっ!
うるさっ!
「許さぬぞ……! 貴様ァアアア!! 四風連結! エウロス・ゼピュロス・ノトス・ボレアースゥウウウヴウウウウウヴヴヴウウウウウウッ!!!」
そう大声で言い放つと、皇城の王座の壁に亀裂がはいる程の嵐で包まれる。
それと同時に桜や蓮、薔薇や椿などの花弁が舞っている。
うわ〜綺麗!
切り傷が……!?
どうする?
あ! あの魔法を使えば良いかな……?
神代級、無属性魔法ーーー
「嵐を呑み込め……! 『虚空』ッ!」
そう言って右掌を前に突き出す。
その瞬間……俺の目の前に黒い粒が顕われた。
え……?
まって、こ……これってーーーブラックホール!?
ちょ、や……やばくね?
その刹那、粒がテニスボールほどの大きさになる。
そして、花弁と嵐を吸い込んでいく。
やがて、残るは無ーーーー凪の様な無だけである。
「な……貴様は、何者なのだ!? まぁ……良いさ! 私の城に入って来た愚か者どもよ……! 喰らうが良い!! バビロニアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
デセオは一瞬、驚愕したが直ぐに我に帰る。
な……なんだ?
てか、今……バビロニアってーーー何!?
その瞬間、大きな揺れを感じた。
地震……!?
いや、違う!
これは……
そう思っていると、空の雨雲と雷雲が集い大量の嵐を生み出す。
た……大量の嵐だとっ!?
さっきまでとは全然…風力が……!!
やばい! 俺まで吹き飛ばされそう!
っ! リルは……!
ふぅ、大丈夫っぽいな……
リルが吹き飛ばされていなかったので、俺は少し安堵する。
(足掻いても無駄だ! 侵入者共よ! それらの嵐は時間が経つ程成長するーーーーーー土砂を巻き上げ纏い、雨を降らせ雷を墜し死を齎らすのだ!!!)
「ふははははははははっ! どうだ、絶望したか? これで生き残っている民衆共も終わりよな」
「……絶望だと? それに、お前……!!」
「おい、王に対してその態度……這いーーー」
その刹那、嵐が掻き消えた。
「………は? な……何故? 何故だぁあああああアアアアアアアアアアアアア!!! 何が起こったのだぁああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
な……何が起こったんだ!?
急に嵐が出現して、急に消えた……
てか、ウザいな……
「……神々の王VS風の王の戦闘ッ!!」
そんな声が聞こえると、天空から1人の少年が舞い降りて来る。
「これは……我等が王。初めまして」
突如現れた鳥ーーー鷹の翼を持つ青年が恭しく俺に頭を下げる。
その少年は白と茶色が混ざった様な髪の色をしている。
「誰……?」
王……?
もしかして……
「貴方はーーー」
俺の言葉を遮る様にデセオが大声を上げる。
「おい! 貴様! 私の前に立ちはだかるとはーーー」
その瞬間、空気が変わった。
「黙れよ。人間風情が……! 貴様にあの力を与えたのは間違いだったな……! デセオ……!!!」
「ま……まさか………あ、貴方様は………! ウェ……ウェンティ様!?」
「もういい。貴様は……あの御方の所に転移させてやろう」
「へ? あ、あの……御方? それは一体、誰の事でーーー」
「貴様は、我らの王と戦う資格すら無いーーー」
その少年がそう言いながらデセオの頭部近くに掌を翳す。
すると水色の魔法陣が顕われデセオの姿が掻き消える。
「では、テオス様。僕ーーーいえ、私はこれで……」
そう言って、その青年は消えたーーー
な、何だったんだ……?
ん? 何か忘れている気がーーー
「……リルッ!」
そう思い、リルの元へ走る。
駆け寄り行きを確認する。
「…………むにゃ……むにゃ………」
「はぁ〜 寝てるだけか……! 良かった! ………ホントよかった〜〜!」
今になって涙が溢れ落ちてくる。
うん、良かった。
本当に。
生きててくれてーーー
ありがとう。
リルーーーー
そう思いながら、俺は寝ているリルを抱きしめたーーーー
生きているという幸せーーー
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