57話 神人
そうして、ピウスに案内されて城内へと入る。
うん。
家と変わんねぇ〜
いや、そもそも、家が城みたいな見た目っていう方が異常なのか……
「なぁ、何しにここに来たんだ?」
そう、ピウスに問う。
「今日は、ランスとエノの様子見です」
今日は……?
変だな。
「なんで? 流石にデセオがやってくれるんじゃないの?」
「アイツはそんな事しませんよ。それに、今……デセオの野郎が居ませんし」
アイツ……野郎…………。
意外に口悪いな……。
「ってか、なんで居ないの?」
「それは、他国にーーーー」
「おい! ピウス! 僕を無視するな!」
「あぁ、すみませんね。ですが、今……テオス様と話しているので……」
「僕よりそいつを優先するのか?!」
「あぁ? 生意気な……皇帝の息子だから生かしてやっているだけだと言うのにーーーー」
っ! 空気が変わった?!
ピウスか!?
「……な、なぁ」
「はい。何でしょう?」
あれぇ? 今さっきまで怒ってた気が……
「ーーー何で、僕を無視するんだ!? ピウス!!」
「ーーーおい、小僧……! 死にたいか?」
「っ!!」
その瞬間、ランスは全身が動かなくなった。
ランスは急に体が動かなくなり混乱する。
ランスが、この世に生まれて初めて感じる恐怖は最凶最悪の恐怖であった。
「ーーーー本当に殺すつもりですか? へーパイストス」
その声が聞こえた瞬間、「チッ」とピウスは舌打ちをした。
「そんな訳ないじゃないですか、死ーーーー」
「まぁ、『殺したい』と言う気持ちはあっただろうな……」
「ーーーバレていましたか……」
「私を誰だと思っているんですか? まぁ、いいです……お久しぶり、とでも言えば良いでしょうか? ピウス……」
突然来たネクロは笑顔でピウスそう告げる。
そして、ピウスをそれに応じる様に笑顔で頷く。
「そうですね。ヴェルデ」
「……ネクロで良いですよ。もう、その名は捨てましたから」
その言葉を聞き、察した様にピウスは問う。
「……と言う事はもう、王にはならないと?」
「はい。そもそも、今の私はテオス様に仕えている身ゆえ」
「………そうですか、変わりましたね。ネクロ」
ピウスは同じ神であり友にそう言葉を投げかける。
「人と言うのは変わり続ける生物なのですから……」
「ーーーー貴方は“神”でしょう?」
「違うさ。神人だよ」
「それは……“人に近き神”では無く、“神に近き人”に堕ちると言う事ですか??」
そう、ピウスが圧をかけながら問う。
「いや、流石にそんな事はしませんよ」
「では、どう言う意図で言ったのか、聞いても宜しいので?」
「ーーーそれは……」
そう、ネクロが言った瞬間……
「ーーーーお父さん……なの?」
「あぁ……そうだよ。今まで待っててくれてありがとうっ……!」
そう言って、ランスを持ち上げる。
「う……う、うわぁああああああああああん!!」
ランスは、そう叫びながら大粒の涙を流す。
約1年間、父親がいなかったんだから……それもそうかーーーー
数分後ーーー
「うぐっ……!」
「大丈夫ですか?」
「うん。僕、エノのお兄ちゃんだもん!」
その言葉を聞いて、ピウスは静かに怒る。
(……さっきまでの生意気な言動はどうした!? 親の前では良い子ぶりやがってーーー)
「ーーーピウス。後で、話し合い話し合いをしましょうか」
「………! わかりました」
「なぁ、今更なんだけどさ……何でここにネクロがいるの?」
「あぁ……転界門を使用してここに来ました」
「何しに来たの?」
「ランプロスとエテルノを迎えにーーーー」
「ってかさ、転界門使ってこれたなら、いつでも来れたんじゃない?」
「まぁ、来れるには来れたんですが、デセオのいない時を狙っていたので………」
あぁ!
そう言うことか!
デセオに内緒にして息子や娘を連れ出したかったのか!
でも……何でなんだ?
「では、一旦……戻りましょうか」
「え? どこに?」
「家にですが?」
「え? マジ?」
「はい。今日はここに転界門を繋げるのが目的だったので」
え〜マジかよ……
ってか、俺……来る必要あった?
そう言う疑問が絶えなかった。
俺は疑問を浮かべながら家へ繋がっている転界門を潜った。
……ってか、エノって言う人は?
* * *
悪魔界の中心たる、魔皇城の王座にて青年は嗤うーーー
悪魔の頂点たる彼は“本物の強者”と言う者と戦った事が無かった。
だが、この瞬間……彼は自らの運命に感謝した。
何故ならーーー
「クククククク、我のーーーーいや、俺の思った通りだ。あの御方の神力はーーーーあらゆる物共とは一線を画す。やはり……当たっていた!」
そう呟くと、青年は何処かへ転移した。
彼の正体とはーーー!?
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