52話 出発
翌日ーーー
「ふあぁぁ〜」
そんな声が響く。
「どうしました〜? もう少し、寝ますか〜?」
そして、相変わらず俺を甘やかせようとしてくるリリス。
「いや、早めに準備したいから……もう、起きるよ」
俺はそう言い起き上がる。
それと同時にリリスも人の姿になる。
「そうですか〜 では、扉を御開けしますね〜」
「あぁ、ごめんね。毎日毎日、同じ事させて……」
「いえ〜 私がしたいからしてるだけですので〜 お気になさらず〜」
「で……でもーーー」
その瞬間、リリスの眼が桜色に淡く光り、瞳にハートマークが浮かび上がる。
「でしたらーーーーー」
両開きの扉がバンと、豪音を鳴らしある人物が入ってくる。
その人物はルフスである。
あ、この感じ……怒ってーーー
「……主様、シルが待っておったぞ。早めに行った方が良いかと思うのじゃが?」
「え? マジで!? じゃあ、先に行くね! また後でねリリス、ルフス!」
「はい〜」
「…………」
そして、俺は扉を閉める。
「のぉ、リリスーーー………いや、フクシア」
そう言いルフスは笑う。
だが、目が笑っていない。
その瞳には、揺らぐことのない圧が宿っている。
「あ……はい」
「何故今まで声をかけなかったか、知っておるか?」
「い……いえ」
「お主が主に魔力を使っていなかったからじゃ! で……今回の件、どう説明するつもりじゃ?」
「えっと、そのぉ……」
ルフスがリリスの言い分を聞こうと問うた時、テオスの部屋の影から霧が生まれ一匹の黒猫の姿を形造る。
「ーーー申し訳ありません。ですが……お嬢を責めるのはやめて頂きたい。ルフス殿」
「……ナハトか。どう言うことじゃ?」
「お嬢は運命神に運命を変えられたのです」
「な……何じゃと? 我等の王が復活したのか?」
「はい。ですが……あのお方はもう……変わっておられた」
「と言う事はーーー」
「はい。あの御方ーーーいや、彼奴はロキ様の姿を模した何者か……!! と言う事です」
「ほぅ、舐めた真似をしてくれるのぉ……! だが、今回の件と何が繋がるのじゃ?」
「お嬢は、かの運命神に運命ーーー即ち、テオス様と会う事が無いと言う事を強制的に書き替えられたのです。故に、冥王に魂を枕に移植されて以降ずっとここから出ておられませんーーーいや、出る事が出来ません。まだ、おわかり頂けませんか?」
「そもそも、悪魔族の魂ーーーいや、そもそも……生物の魂の移植など聞いた事がーーーーーーまさかッ! まだ、残っていると言うのか!?」
「はい。残ってしまっているのです。夢魔としての本能がーーーー」
* * *
「準備は宜しいですか?」
そう言うリルの声が聞こえる。
「あぁ!」
「じゃあ、行くのです!」
「そうだな」
そして、俺とリルとルフスは家を出る。
ネクロは後から向かうとの事だった。
いざ、帝国奪還へーーー
読んでくださり有難う御座います。
やっと、章タイトルを回収出来ました。
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