39話 レアの真意
そうして、タンタロスが消えて暫く後───
ラスはレアの鎖を切り裂いた。
「レア、何故……テオス様を巻き込んだのですか? 普段の貴方なら、あんな雑魚に捕らえられるなんてあり得ないはず───」
「………せやけど、運命神が来たんよ」
「ッ!? ジョーカー!」
「大丈夫です! 監視・盗聴魔法の類いの魔力は感知されていません!」
「ふぅ……そのような事、あの7人の前で言ったらどうなるか想像つくでしょう」
「せやかて……」
「先程、私が怒った事で残りの三柱が来る可能性があるのです。発言には気をつけてください。………テオス様、レアを御身の家に住まわせて頂けませんでしょうか?」
「いいけど、ラスとヒュドラはどうするの?」
「あ……出来れば私供も、お願い致します」
相当な大所帯になるな……まぁ、文句はないけど。
「あぁ、じゃあ、魔法が使える様になったみたいだし帰るか!」
「───すいませんテオス様。フィリアが眠ってしまいました。疲労によるものかと……」
ネクロはそっと床に下ろして、静かに見守っていた。
「じゃあ、暫くはここにいるか」
そうして、レアから事の転末を聞いた。
事の転末はこうだ。
ラスが用事でレアのいる奈落に来て深淵に着くと、レア鎖で縛られていたのだと。
そして、レアを助けようと部屋の中に入った瞬間、ラスが奈落のどこかの階層に転移させられたのだと。
それと同時に魔法が使用不可になり、その時に俺たちにあったのだと。
俺達が犯人だと思っていたらしい。
そして、レアは数日拘束られていた為、霊体を俺の所に飛ばして助けを求めたらしいが、運命神によって妨害───俺の記憶を改竄───された事で意味をなさなくなったと。
だが、奈落に行くために運命神が開けた扉をバレないために封印したが、ジョーカーが見つけて俺が封印を解除した事で俺の記憶にかかっていた封印の魔法も消失したらしい。
そして結果的に俺を招かない様にした行為も全て無駄になった、のだと。
「なぁ、なんで運命神って呼ばれているんだ?」
「確か、あらゆる運命を見通す権能を持っているからだったと思います」
「へぇ…だったらなんで、俺の行動がわからなかったんだろう?」
「? どう言う事ですか?」
「え? だって運命ってあらゆる可能性の塊でしょ?」
「そうなのですか!?」
「どう言うことや? テオスはん!?」
「例えば……例えばの話だよ。そこに怪我した猫がいるとしよう。そして、①病院へ連れていく、②自分で治す、③見捨てる、④見なかったふりをする、など様々な候補が存在する。だが、選べるのは……いや、行動できる候補は1つだけだ。その候補の数を───その結果を、人は“運命”と呼ぶ」
「すいません。話の腰を折るので悪いのですが、病院とはなんでしょうか?」
「え……病院?! あ、えっと……」
まさか、知らないのか……いや、存在しないのか!?
「あ……説明し難いのであればーーー」
「いや、そう言う事じゃないんだ、病院とは医者……つまりーーー」
なんて言った方が通じるかな?
う〜ん…あ!
「治癒師が沢山いる建物だ」
これで、どうだ……っ!
「……その様な場所を病院と言うのですか!!」
「あぁ」
「私達に御身の智慧を与えて頂き誠に有難う御座います!」
「俺なんかの知恵で良ければ全然いいよ」
「有難う御座います!」
「でも、どういう事ですか? テオス様は運命神がその可能性を読めなかったと?」
「あぁ、じゃないとその運命神はこうなるのを知っていて見逃したことになる」
「「「………」」」
テオスの言葉を聞いて皆、絶句する。
何故なら、もしそうだった場合、この状況そのものが運命神の策略通り、と言う事になるからだ。
「───そろそろ帰るか!」
「はい。そうですね。ネクロ、フィリアを起こすか、抱っこ、もしくは負んぶでも、どれでも良いですから立ってください」
「わかった」
そうして、ネクロはフィリアを負んぶする。
レアがパチンと指を鳴らす。
刹那、浮遊感と共に視界が白色に切り替わる。
そしいぇ、俺達は奈落……いや、深淵から家に転移した。
読んでくださり有難う御座います。
次回更新は5月15日になります。
そして、次回から第2章の始まりです。




