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32話 遊戯神


 ジョーカーはある能力(スキル)を使った。

 その能力(スキル)の名は遊戯之女王(ルードゥス)

 権能は自らが知っている遊戯(ゲーム)を武器や戦場に変えることが出来ると言う事だ。



 「今から、絶対条件(ルール)を説明します」


 

 静かにジョーカーがそう言った。

 だが、ニーズヘッグはと言うと……

 

 (チッ、面倒な相手ですね……)


 余裕の態度であった。



 だが、彼は知らない。

 ジョーカーと言う人物が遊戯(ゲーム)と言う武器を出したと言う恐ろしさをーーー




 「では、絶対条件(ルール)その1 この遊戯(ゲーム)では逃げ出してはならない。その2 両者共に敗北宣言が可能である。その3 魔法・能力(スキル)を使ってはならない。その4 ゲームを開始した場合、ここに宣言している条件に同意した物と見なす。その5 敗北した者は如何なる種族であっても勝者の言う事に従わなければならない……。」



 「貴様! 何が遊戯(ゲーム)ですか! これでは負けるのは確定では無いですか!!」


 「なにを仰るかと思えば……それは違います。しっかり遊び方(ルール)も教えます、その状態でゲームをするのですから貴方の方が有利なのですよ?」



 「ま、まぁ、それもそうですが……」


 「ーーーー降臨せよ。裁判神(テミス)


 「なッ……神は滅んだはず…」


 「そうですよ。これは私の能力(スキル)で生み出した存在。ですがちゃんと公平ですよ」


 「あり得るわけが無い。それに何故、貴様は能力(スキル)をーーー」


 「……遊戯開始(ゲームスタート)


 「なッ……」



 その瞬間、両者の立っている場所に魔法陣が浮かび上がり、その魔法陣が宙に浮かんだ。

 そして地面には今まで通り碁盤目状の線がある。

 だが、ニーズヘッグに先程までの余裕はない。


 (なんだ……なんなのだ………遊び、悪魔帝王の臣下………まさかーーーーーッ)



 ニーズヘッグが思考の海に沈んでいる時、異常は起こった。

 そう、天から黒白の物体が降って来たのだから。それも大量に。


 その降って来た物体は……(チェス)である。

 

 先手はニーズヘッグ、後手はジョーカー。



 「では、遊び方(ルール)の説明を致します。この駒は使用者の意識と連結しており、命令すれば自動で動いてくれますーーー」



 数分経過ーー



 「では、始めましょうか」


 「チッ、逃げる事が出来ないのならば貴方を倒して逃げさせて頂きますよ」


 「ふ……出来るのですか?」


 「争うくらいはーーーねッ!」


 その瞬間、敵の兵隊(ポーン)が4マス進んだ。



 「ッ……貴方、それは反則では?」


 「ふ……誰が見ていると?」



 『………判決、有罪(ギルティ)


 その刹那、テミスは口を開き綺麗に澄み渡る声で言った。

 それと同時に駒が元の位置に戻った。


 「なーーーッ! この為かコイツを出したのは!」


 「はい。当たり前でしょう?」


 「チッ……対策はされていた、と言う事か」


 (これは…ズルをした場合、絶対にゲームが進まない。それに真偽を見破る者までいる…ふッ、ルールに従うしかありませんね)


 そう考え、ニーズヘッグは駒を動かす。


 「兵隊(ポーン)h2、h4へ」


 「私の番ですね。兵隊(ポーン)h7、h5へ」


 「ではーーー騎士(ナイト)g1、f3へ」


 「でしたら、兵隊(ポーン)c7、c5へ」


 「………騎士(ナイト)f3、e5へ」


 「……兵隊(ポーン)d7、d6へーーー」


 


 



 数分後ーーー


 「チェックメイト!」

 静寂な世界にその言葉だけが響き渡る。



 ニーズヘッグはどんな策を弄しても意味が無かった。

 そして、ニーズヘッグの心はズタズタに引き裂かれていた。



 「あ、あ……あり得ないッ! 何故、そこまで…………」


 そう言った後ニーズヘッグは逃げ出した。



 『相手(ニーズヘッグ)、逃亡……確認。監視者権限発動ーーー』


 そうテミスが告げると、今先程逃げたニーズヘッグが元の立ち位置に現れた。



 



   *   *   *


      



 

 ん? 今、この球に亀裂(ヒビ)が入らなかったか?



 そう思った時だった、その黒い球が砕け散ってニーズヘッグとジョーカーが出て来たのはーーー



読んでくださり有難う御座います。

次回更新は、3月20日です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おおーっすごい本格チェスの描写だぁ!!! 参考になります!!!
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