31話 奈落ーー
「う……」
何だ?
暗………
「え……?」
ここは……どこだ…?
目覚めると石壁しかない……迷宮の様な所にいた。
「ーーーさま、テオス様!」
「ん?」
「あぁ、お目覚めになりましたか?」
「あぁ、だが……ここは?」
「憶測ですが、ここは奈落……奈落神レア様が支配している土地です」
「は…?」
レア……だと?
ってことは……アイツが言っていた『元々、支配していた土地』って言うのはここの事なのか……?
ん? でも今、ジョーカーは“支配している土地”って言ってた様な……
……もし、そうだとしたら、竜が居るかもしれないな……
気をつけて進もう。
「あ……今、ネクロ達が周りを探知していますので……」
「え?」
「? どうかいたしましたか?」
「いや、歩きながらじゃないと探知できないの?」
「え……? もしかして、出来るのですか!?」
「え、うん」
勢いよく言われたので、少し驚いてしまった。
「そうなのですか、やはり……素晴らしいですね。テオス様は」
「いや、ジョーカーも凄いだろ」
「いえ、私は竜も一撃で倒せないので……」
は…?
今、ドラゴンって言ったか?
ドラゴンを一撃って……ん? もしかして、この世界のドラゴンって弱いのか?
「なぁ、ドラゴンって弱いのか?」
「う〜ん、どうでしょうね。まぁ、ルフス様並の者達は居るとは思いますが……強いドラゴンとは戦ったことが無いのでお答えしかねますね」
なんだかんだ話していると、ネクロ達が戻って来た。
「すいません。ここでは魔法が使えないようです」
「なッ! それは本当ですか? ネクロ!?」
「はい」
マジか……魔法が使えない。
能力だけで竜を倒せ、って事かよ……レア。
ん? 俺はいつレアに会ったんだ?
そんな事を考えていると、頭が鈍器で叩かれた位の痛みが走った。
つい、頭を押さえる。
この世界に来て初めて痛みを感じた。
「!? どうかしましたか?」
ジョーカーが倒れかけた俺を支えてくれた。
「いや、なんでもーーーーいや、話すよ」
そうして、俺はレアの事とドラゴンの事を話した。
「そうだったのですか」
「ーーー大丈夫ですか?」
「ッ! 何者だ!!」
ジョーカーがそう言って振り返る。
だが、その声の主はいない。
(どこだ? どこに行った?)
その者はテオスの背後に居た。
「おやぁ? この速度にも反応出来ないのですか……落ちたものですね。悪魔帝王の臣下」
テオスの背後に居る者ーーー銀白色の短髪に優しそうな外見、そして開くことのない目(糸目)を持つ高身長ーーー2mくらいーーーの男がそう告げる。
「その言い草、貴様……ニーズヘッグなのですか!?」
「そうですとも。それで、貴様は誰に招かれた? アーテルか? それともレーーー」
凄まじい圧を感じさせる殺気を放ってニーズヘッグはテオスに問いた。
だが、テオスの反応はニーズヘッグの予想とは全く違う物だった。
「え? レアにーーー」
「貴様、死ね」
突然、ニーズヘッグが口を開いた。
その瞬間、コイツの魂が出てくる。
ーーそう、ニーズヘッグは思った。
だが、結果は違った。
神とは絶対なる存在。
病も毒もあらゆる物が意味をなさない。
何故なら、神が創りし物だから。
何故、テオスがこの世界に来たのかそれはあらゆる神の因子に対応が可能なーーーつまり全能な神の力を持つ者を選んだからだ。
だが、この事実を知る者は今、2人しかいない。
そう…知識の天使であるラファエル、そして神に最も近い天使である熾天使長のミカエルである。
故にこの世界のあらゆる物に適応している状態でこの世界に来たため、あらゆる攻撃・防御が意味をなさない。
それは意味をなさない物に意味をなさせる事も可能である。
それをかつて、オーディンはこう名づけた。
混沌全能と。
それはテオスの魔力になった。
魔力とは、魔力の性質を表す。
「な………何故、私の魂招滅喰が効かないのだ!?」
「当たり前でしょう? 神の因子に適合した唯一無二の御方なのですから」
「なんだと、コイツが……こんな奴がーーーー」
「目障りです。早く消えてください」
そう言って、ジョーカーはある能力を使った。
その刹那、地面に碁盤目状の線が現れる。
そしてジョーカーとニーズヘッグは異空間に呑まれた。
え? ジョーカーとニーズヘッグがあの黒い球に呑まれーーーん? この色、独自世界使った時の空の色みたいだなぁ。
その黒い球の中ではーー
「ーーーーでは、遊戯を始めましょう」
そう、ジョーカーが言った。
* * *
奈落、最深部ーーー
そこには鎖に繋がれた少女がいる。
「やっと……やっと来たなぁ、テオスはんーーー」
静寂が支配する奈落の最深部ーー深淵と呼ばれる場所にレアの声だけが木霊する。
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