26話 街
そして俺はリルとルフスの3人で人間の街に向かっている。
初めてだなぁ。この世界の人間の街。
あ、面倒なことが起こったら嫌なので闇属性魔法-『影踏渡』を使いルフスには俺の影に潜って貰っている。
だから、今はリルと2人で歩いている。
事前のシル達による下見で様々な種族がいる事は知っているので、狼の耳を持っていて人間の街に居ても違和感がないリルに表に居てもらっている。
そして、リルは語尾が「です」に変わっている。
本当になぜだろう……?
やっと森を抜け、街の門が見えて来た。
人が大勢並んでいる。
獣人や冒険者らしき人達が行き来している。
「主行くのです!」
そうリルに言われ、あぁと言って頷く。
そもそも、何故人間の街に来ているかと言うとーー……
時は3ヶ月前に遡るーー
時刻14:27
ベットでゆっくりしていると、シルが扉をコンコンと叩いて来たので扉を開けた。
そして、「怪我人がいるので中に入れても良いですか?」と言ってきたのだ。
なので、あぁと言った。
その瞬間、誰だろう? と言う疑問も浮かんだ。
そして、暫くして大広間に降りていった。
そうすると、金色の長髪の女の子ーー何処ぞの貴族の様な容姿をした少女が座っていた。
服は少し破れている所がある。
え……魔物にでも襲われたのかな?
そう思ったので、聞いてみた。
そしたら、本当にそうだったらしい。
必死に逃げて辿り着いたのだと言われた。
う〜ん……
傷はないからシルが治癒したんだと思うけど、汚れている所があるんだよなぁ……
風呂に入って欲しいんだけど…
ここ、異世界なんだよなぁ…
大丈夫かなぁ?
「なぁ、シル。この子をお風呂に入れてくれない? そして着替えも」
「分かりました。では、主様失礼します」
そう言い、お辞儀をしてその少女を風呂場に連れて行った。
何の目的でこの世界樹の森に来たのかも知りたいな。
推測だが、多分身なりからして1人で出かける事はほぼ不可能だ。
先程、逃げてきたと言っていたがその時に誰かと別れたんじゃないかなぁ……
まさか、逃げてきた相手ーーリルだったりしないよな…
俺はそんな事を考えながらシルと少女が出てくるのを待った。
そして、シルと少女が出てきた。
「すいません。主様、急用ができたので暫く戻らないと思うのですが……」
シルは「申し訳ない」と言う意味を込めてそう、言ってきた。
「あぁ、わかった。どのくらいの間いない?」
「一週間か長ければ二週間かと」
「そうか、たぶんここも同じように忙しくなるだろうから。安心して行ってきて」
「はい。有難うございます」
そう言って、お辞儀をして出て行った。
そして、一瞬で戻ってきた。
え? 行かないの?
「ん? 行かないの?」
「あぁ、迎えが来るんですよ」
「そうなんだ」
「はい」
シルがそう答えると、空間が歪み黄金の扉が現れた。
な……なんだ、これは……
めちゃくちゃデカい!
そんな事を思っていると扉がギイィと音を立てて開いた。
「……これ以上は天界門が持ちませんね。では、行って参りますテオス様」
そう言ってシルは翼を出して黄金に光る扉に向かい歩いて行った。
* * *
そして、シルが去って暫くすると……少女が話しかけてきた。
「ねぇ、あのシル? って言う人って天使様なの?」
「あぁ、そうだよ」
俺がそう答えると…
「ホント? やったわこれでお父様にも自慢できるわ!」
少し悲しそうな目でそう言った。
はぁ、ならーー
「少し来てくれるかい?」
「わかったわ」
そう言って俺の横に並んで歩いて行く。
どこに向かっているかと言うと…
人々に希望を与えて時には人を殺す狂器である楽器の音を解き放つ場所。
演奏室にーー
読んでくださり有難うございます。




