121話 言葉
テオスの家にて───
「主! 主! 居りませぬか!」
我の声が偉大なる王城に響く。
「どうかしましたか? 騎士団長殿」
む?
この声は───
「ラプラス殿……!」
「えぇ、先程から大声でネクロ様を呼ばれているようでしたが……」
「うむ、主を探しているのじゃが……居なくての」
「先程、マニュス帝国へ『転移』された、と聞き及んでおりますが……」
何じゃと!?
主は何も───……
その瞬間、主から念話が繋がったのを感じた。
『あ、ジーク? すいません、伝え忘れていたのですが……今、ある事情で帝国にいるので、来て貰えますか?』
出来れば、もっと早く教えて欲しかったのぉ……。
『分かりました。今から向かいます。フィリアお嬢様の方は……』
『分かっている。その件で来ているんだ。早めに来てくれよ』
『分かりました。では、失礼致します』
そう主に伝え、念話を切る。
「お嬢様、主は帝国に居るようなのでそちらに向かいますが宜しいですね?」
「えぇ、大丈夫よ」
本来なら、動くことすらままならない筈なのじゃが……。
「すいません、ラプラス殿。我等はこれで失礼致します」
「えぇ、私の方も少し用事が出来てしまったので大丈夫ですよ。では、また」
そう言って、ラプラス殿は手を振り……恐怖心を煽る不気味な、それでいて親しみのある笑みを浮かべる。
そして、ラプラス殿は去っていく。
「はい。それでは、また」
ラプラス殿のあの笑みは少し苦手じゃのぉ……。
何を考えているのかが分からぬし、いつでもこちらを裏切る様な瞳をしている気がするのじゃが……主の御友人の配下を愚弄してはいけぬな。
そう言えば……早く来い、と主が言っておられたの……。
早く行かねば何と言われるか、分らぬしな……。
「では、行くとするかの」
「えぇ、そうね」
お嬢様が首肯する。
それを確認して『転移』を使用する。
すると……視界が白に染まり、浮遊感を感じる。
そして、我等が元住んでいた居城───マニュス帝国へと転移した。
* * *
マニュス帝国、皇城内部にて───
視界が開け、ある人物が目に入る。
その人物は……紫色の短髪にラッパを持っている。
「あ……」
こちらを見て目を見開く。
「貴方は……!」
お嬢様が何か言いかける。
それと同時に、紫髪の少女が何か呟く。
「《回復》《睡眠》」
その声が聞こえた瞬間───
「お母様の言って、いた……」
異変を感じ、お嬢様へと視線を移す。
……!?
その瞬間、床へと倒れていく。
床へ頭が着く寸前、我の手がお嬢様の体を支える。
「お嬢様!? お嬢様に何を───!!」
そう言いながら、振り返る。
だが、そこには───いなかった。
何処に行ったのだ!?
「どうしましたか? ジーク」
背後から聞き覚えのある声が聞こえる。
そして、その声が聞こえた方に振り返ると───
「貴方は……! シル様!?」
そこに居たのは……熾天使。
灰色の髪に碧色の瞳を持つ者。
「……? ロキの神呪を受けた、と聞いていましたが……そんなものありませんね」
「何じゃと!? それはあり得ません! 先程まであんなに辛そうに───」
さっきの少女が?
それに、お嬢様は倒れる前に主の妻───
「この気配……イリス。貴方でしたか……」
「あ……うん。ごめん……なさい」
刹那、我とシル様を隔てるが如くそこに少女が現れる。
「いえ、怒っている訳では……」
な……!
なんじゃと!?
透明化のスキルか!
いや、そのようなスキルは文献にも載っていなかった!
そもそも、この少女は何者なのじゃ?
「シル様、そちらの方は……」
「あぁ、こちらはイリス。音を司る熾天使にして“神の言葉を伝える者”」
まさか!
この人物が主と奥方にお嬢様の誕生を告げた天使───!?
……?
何か、重要な事を忘れている様な……?
気のせいじゃな!
そういえば、主は何処へ……?
ジークを呼んだ張本人───ネクロは何処へ!?
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