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118話 秘密


 俺は少女───モーズグズに連れられ、城に来た。

 まぁ……連れられた、と言っても特殊な移動方法を使っただけなんだが……。

 勿論、その移動方法を使ったのはモーズグズだ。


 そう思いながら、俺はエーリューズニルの廊下を歩く。

 そして、辺りの壁や床を見回す。


 それにしても……漆黒、か。

 実に良い!

 俺の城の様だ!

 まぁ、ここまで漆黒……いや、何もない訳ではないが。

 偶には此処へ物資を持ってきてやるか。

 余りにも、生活感が無さすぎるからな……。


 「アーテル、ここから先は貴方だけで行って下さい」


 「何故だ? 此処まで来たのだ、会いに行けばいいだろう?」


 「いいえ、それは出来ません。私はこれで失礼致します。冥王(アヌビス)様……」


 「えぇ」


 突如、聞き覚えのある声が聞こえた。

 俺はその方向へ振り返る。

 そこに居たのは───


 「リル……?」


 その衣服や容姿が、あまりにもリルと思えない姿をしていたので、思わず声を漏らしてしまう。


 「あぁ、そのとおりだ」


 「その格好……それに、その口調は───」


 「黙れ、早く来い! ネロの治療が出来ないだろ!」


 リルと思われる人物が怒りを露にする。

 その美貌の前では怒りすらも美へと昇華される。

 

 本当に、どうしたんだ……?

 口調も変わっているし、容姿や衣服も変わって───

 あ……そういえば、口調に関しては元に戻っただけだな。

 

 「では、失礼致します」


 モーズグズはそう言い、お辞儀をする。

 刹那、雷光が迸り……モーズグズの姿が搔き消えた。


 さては、逃げたな……!

 いや、また新しい魂が来たのだろうか?


 「アーテル、早く来い。ネロの症状が悪化してしまう」


 そう言えばそうでしたね。

 てっきりもう治療し終わっていると思っていましたが……。

 まぁ、死んだ身ですが、姉を救う為に行くとしますか。

 それを言うなら、個人的にはテオス様の方が心配ですが……ネロが怪我をしたと知ったら、自身を責める可能性がある以上、今はリルに従った方が良さそうだ。

 それに、そう思っているのは俺達全員の筈だしな。

 まぁ、リルに改善して欲しい所があるとすれば、生意気な所だが……根が優しいから許してやるか。


 「あぁ、分かった。案内してくれ」


 「やっとですか……では、早く行きますよ!」

 

 そう言って、走って行く。

 あ……って意外だな。

 犬の様に両手を使って走るものだと思っていたが、違うのか。

 成長したな。

 本当に、色々な所が……。


 俺は人間と変わらない走り方で走って行くリルを遠目に、そう思っていた。


 成長した子を見送る様な感覚……父さんと母さんもこんな気持ちだったのかな?

 まぁ、俺の場合は子供ではなく妹だけど……。

 でも、それはもう過去の話。

 俺達の幸せなあの家庭は、生活は……あの日、あの瞬間、崩壊したのだから───……

 


テオス達、家族には何の秘密が───!?

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 家族ってことは前世の記憶を辿る展開待ったなしじゃないですかー!!! あんな達観した価値観と知識を得るまでに至った過程とは!? [気になる点] アーテルもテオスも一人称が俺なので、ぱっと見分…
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