117話 死者
俺は死んだ。
そして、俺は”俺“と話した。
その後……忠告をして、門番の所へ来た。
だが、いない。
門番の……モーズグズが居ない!
俺が混乱していると……声が聞こえた。
「……あら、来ていたんですね」
冷酷だが、その声は慈愛に満ちていた。
刹那、辺り一帯が光に包まれ、地面が抉れる。
それもそうだ。
彼女が途轍もないスピードでここに来たんだ。
当然の結果と言えるだろう。
さて……
「モーズグズ、アイツの所へ案内してくれ。居るのだろう? フェンリ───」
「死ねぇ!!」
彼女は、戦鎚を振り回した。
全体的には白一色だが所々に金と黒が入っている。
は……?
死者にまだ戦えと?
流石に時間差の戦闘はキツいですよ……!
それに、モーズグズは専用武器を所持して───って、籠手も装着してるじゃないですか!!
圧倒的にこちらが不利ですよ!?
仕方ない、死んだので尊厳など存在しない!
故に……!
俺は決意した。
本気で叩きのめすと。
俺は俺、と認識できた事に対する感謝を込めて……目を瞑る。
心の内で封印る感情を解放する。
刹那、目を見開き……
「神魔武装───」
「わわっ! 冗談! 冗談だから! その能力を使わないで!! 限界を迎えた者がどれ程、本気を出せるのか確認したかっただけなんです!」
先程の冷酷な声ではない、可憐な声が聞こえる。
目の前に居る少女は首を振っている。
それと同時に、俺と少女を隔てるかのように手を振っている。
それは……これ以上訊かないで、と言う様にその瞳は潤んでいた。
まぁ、泣いていたとしても……相手が幼子だったとしても、俺の訊くことは変わらない。
「俺を試したのか? 貴様如きが……!」
少し黙らせようと思い、そう言うと……
「喧嘩するんですか? 特殊物理攻撃に関しては私に勝てる者は居ない、と自負しておりますが……?」
……マジか。
逆に挑発してきやがった。
これは、終わらないな。
もう、やめるとするか。
「チッ、面倒な。そんな事をする気はありませんよ……。死してなお、戦う気力がある程……俺はバトルマニアでは無い」
「? どういう……!? 魂!? 何故、貴方様がお亡くなりに……ん? バトルマニアなのは貴方の筈ですが……! そういう事ですか!! 貴方はアーテル様の分身体───いえ、エインヘリヤルですね?」
俺は、モーズグズのその質問に頷く。
「そうだ。だから俺には気を使わなくて良いし、敬語もやめて───」
「あ、良いんですね。やった! 気を使わない相手が増えて嬉しい!! あ、じゃあ……番犬様の所へ行きましょうか!」
「え、えぇ……そうですね」
ここまで、態度が変わるのか……。
もしかして、コイツ……最初から猫を被っていたのか?
素朴なアーテルの疑問───
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