116話 冥界を守護する黒狼
私はアーテルの言う事を聞いて、エーリューズニルに転移した。
魔法による転移ではない為、浮遊感は無い。
でも視界だけは白に染まる。
これ、何でだろう?
あ……そろそろ着きそう。
そう思った瞬間、視界が黒に染まる。
正確には……エーリューズニルが基本的に黒一色だからなんですがね……。
そんな事を思いながら辺りを見回すと、王座の前に胡座をかいている少女が居た。
その少女は、黒色のボサボサとした長髪に深紅に瞳を輝かせている。
もしかして……あそこに居るのは───
「リル……?」
「ふん。ネロか、テオス様……いや、お兄はどうした?」
お兄……久しぶりにリルの口から聞きましたね。
そういえば、最近は天真爛漫な性格ですが、元々はこんな性格でしたね……。
「テオス様は瘴気の影響で倒れてしまって……」
「おい、ネロ。何故だ、何故……お前がついていながら……」
……面倒ですね。
「お姉ちゃんに、その言い方は何ですか? リルちゃん?」
「あ〜あ〜。面倒なのです。でも、ネロだってお姉には……」
「いえ、それよりもおにーちゃんが問題でしょう?」
「……そう、だな。お兄の前では、お姉まで甘々になっちまうからな」
リルは頭を掻きながら、不遜に言う。
普段の口調からは考えられないけど、元はこんな野蛮だった。
だからこそ、ついた異名は───
「……で、ネロ。話を変えるが、お前達はどんな理由でここに来た?」
「リルこそ。何で来たんですか?」
「そ、それは、テルの野郎に……」
そうですか。
テルは最初からこうなる事が分かっていたんですね。
アーテルはザックームを倒せたのでしょうか……?
今はそんな事を考えている場合では───でも、やっぱり人の本質は変わりませんね。
「おい、微笑むな!」
「あ、顔に出てました?」
「当たり前だ! それにお前達───……って、そこに居るのはフレキか?」
リルはフレキを見て、目を丸くする。
『ハッ、お久しぶりで御座います』
フレキが頭を下げる。
「い、いや、こっちこそ……急に居なくなっちまって悪かったな」
少し焦りながらそう返す。
フレキが私を見て、微笑した。
ふふ……。
幾ら強い口調でも、根は純粋で優しい妹なんですよね。
……だとしても、おにーちゃんは渡しませんけどね!
「ネロ、治療だろ。こっちに来い」
薄暗い通路へ入って行く。
「何で知って……」
「おい! 早く来い! じゃなきゃ、治療してやんねぇぞ!!」
「はいはい、行きますよ……」
やっぱり、まだまだ子供ですね……。
優しくて、寂しがり屋で、甘えん坊で、照れ隠しが下手な妹───
私はリルが入って行った、通路へ入って行く。
「あ、眷属共は入って来んなよ!」
エーリューズニル内部の王座にリルのその声だけが響いた───
衝撃の事実───!!
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