115話 墜ちる月
チッ、面倒な!
これなら、『時間再生』を使用しなくても良かったな……。
【変異】───掌爪!
俺は右手を悪魔の爪へと変異させ、『瞬間移動』を使う。
一瞬でザックームの背後へと移動し、右手の五指を開く。
そして、下から上へと振り上げ───黒光りする長く鋭い爪がそのザックームを切り裂く。
ザックームの姿が消えて……!
いや、これは……煙!?
何故だ! 切り裂いた感触はあった筈……
思考している脳に突如として声が聞こえる。
「フハハハハハハ! 貴様もまだまだのようだな! “魔帝”!!」
その瞬間、背後に存在を感知した。
振り向くと同時に、五指を振り下ろす。
だが、そこには何者も居なかった。
な……!
何故だ!!
何故、居ない!?
ん? 何か違和感が……そうか!
これは【幻夢】か……!
ならば、俺は……正面から叩き潰して───いや……ここで無駄な労力を使うくらいなら、1秒でも早くヤツを捕らえた方が良いな。
「かつて……この世界の半分を視続けていた存在。その偉大なる力の一端を知れ……!!」
そうザックームに向けて告げる。
それと同時に魔法を発動する。
神代級・光属性魔法───
「『創世始源白月』!!」
俺が座す此処よりも更に上空。
そこは雲の上。
そこに黄色の魔法陣を出現させる。
「さぁ、後悔も懺悔も激怒も全て塵と成れ。我が貴様に最後の“慈悲”をやろう。避けてみよ……」
『創世始源白月』は、ここら辺一帯を消滅させる程の質量を持っている。
ん?
一瞬、ザックームは魔力を解放したのか───という考えが頭をよぎる。
だが、その考えをすぐに頭の中から掻き消す。
魔法陣からそれが出でる。
やっとか……。
神代級・無属性魔法-『魔法付与』───
同じ神代級の魔法である……『神速』!
それは見た目から想像もできぬ速度で、圧倒的な質量が一本の”樹“に向かって墜ちる。
この魔法は、超広範囲殲滅魔法を敵1体に使用するのだ。
ネロや皆に文句を言われても仕方ない。
今は、アイツを捕縛するのが目的だ。
そして、刹那───
創造を司る純白の月が、死の世界───ニヴルヘルの大地へ墜ちる。
「き、貴様ァアアアアア!! 絶対に! 貴様や貴様の配下共にも復讐して───」
言葉は潰える。
最後は、あっけなく月に圧し潰されたな。
だが、これでは生きているかも分からないな……。
まぁ……手っ取り早く───待てよ、確か……『創世始源白月』の力は圧倒的な質量などでは無かった筈……!!
クソッ!
ザックームの傷が癒える前に急がなければ……!
「『時間停止』ッ!!」
俺はまた、ここら辺一帯の時間を止めた。
ふぅ、暫くはテオス様の家でおとなしく魔力を回復させるとしましょうか。
それに幾ら文句を言われないと言っても、領地を半壊させられたら怒るでしょうから、直さないとですね……。
いや、もう暫く待てば自動的に直るか。
なら放置で良さそうだな。
今回の戦闘の反省点は幾つもあるが、1番気を付けなくてはならないのは……もっと平常心を保つ事だな。
これから、強敵と戦う事になった場合、今回の様に神代級の魔法を沢山使ってはいけぬからな……。
今度、ウィリデから“策略”について学ぶか……?
ウィリデとは一体、誰───!?
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