114話 抵抗
俺と同等の力を持っている可能性がある以上、慎重に行動しなくては……!
極力、俺の手の内は見せないようにするとしよう。
俺は“傲慢”……本来ならこのような策を用いるのはウィリデの役割なのだがな……。
今度会ったら、少し殴ってやろう。
まぁ、そんな事は措いておくとして……。
少し本気で叩き潰してやるか……!!
「超級・時空属性魔法-『時間停止』」
俺は指をパチン、と鳴らした。
時間停止には2種類の使用方法がある。
1つ、世界の時間を止めるもの。
2つ、指定した範囲の時間を止めるもの。
そして、俺が選んだのは───勿論、後者。
その方が消費する魔力量が少なくて済む。
もし、前者を選んだら後者よりも多くの魔力を消費しなくてはならないからな……。
俺がザックーム……貴様に真の“絶望”を与えよう───……
「な……!? 何が起きた……? 何故、我が作り出した果実が……」
ザックームは驚愕しながら、独り言の様に呟く。
「ザックーム、貴様には色々と訊きたい事があるが……先ずは、捕らえた際に逃げ出さぬ様に“絶望”を与えないといけない」
(絶望……? どう言う事だ!? それに、何故……我の体が動かな───! まさか、まさか、まさか、まさかまさかァ!! ありえない、ありえない! 時間を止めるなど!!)
「絶望は深い。絶望の中には微かな“希望”が存在し、それと同時により大きく深い“絶望”も存在している。……だが、人はそれを見て見ぬふりをして、希望だけに縋る。それが貴様等が俺達と同じ場所に立てない原因。実に哀れ……」
(黙れ! 黙れ、黙れ、黙れ! 黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れ!! 黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れッ!!! 我を! 侮辱するなァアアアアア!!!!)
ミシミシと何かが軋む様な鈍い音が聞こえる。
すると……少しずつザックームの体が動き始める。
それと同時に「黙れ……黙れ……」と小さく呟く声が聞こえる。
な……!
抵抗しているのか!?
あ……有り、得ないっ……!
感情だけで『時間停止』に抗うなど……!!
それに、何故……超級の魔法に───ッ!
まさか……っ!
神代級・無属性魔法-『解析鑑定』ッ!
すると、透明な板が視界に入る。
そこに書かれてあった情報は───
──解析結果──
種族名:死齎邪樹
個体名:アーダ・アルベリヒ
LV:38
HP:10400/16000
MP:2400/25000
STM:3100
AGI:800
VIT:40
能力:死樹之王[膿散粒弾・罪苦越燃実・体内幽閉・幻夢・誘惑・人化・超速再生]
魔法:地属生魔法・呪毒属性魔法・無属性魔法
耐性:火炎耐性・物理攻撃耐性・状態異常耐性
称号:[死ヲ齎ス邪悪ナル樹][地獄ニ座シ罪ヲ裁ク樹]
レベルが38か。
待て、なぜ
いや───それ自体は何もおかしなことではないのだが、ザックーム如きのレベルが38だと!?
それに、超越能力を保有している……!!
はぁ……これでは、『時間停止』を使って時間を止めた意味がない。
要らぬ魔力を使っただけではないか……。
まぁ、仕方ないか。
超級・時空属性魔法-『時間再生』!
再び、時が動き出す───
骨の鳥が飛び始め、樹々が騒めく。
ここでなら、魔力を解放しても文句を言われぬだろうからな。
最近、アヤツは此処に戻ってきてないから、荒れているな……。
スルトにでも言い付けるか?
いや、やめておくとしよう。
「───まさかッ! 貴様は……もしや、あの“悪魔帝王”なのか!?」
「何を当たり前の事を……まさか、知らなかったのか?」
「悪魔の王は大勢居るだろう! 分かるものか!! ならば───」
(ここで、我がとれる最善策は……撤退だ! まだ、我には世界を壊す方法がある! ここで撤退しても、敗北では無い!! ロキが『しっかり計画を練っておけ。でないと痛い目を見るぞ。それと、最悪の事態も想像して計画を練る事だ』と言った本当の意味が、今になって理解出来た。こうなるのなら、最初から全力で臨めば良かったな………)
ザックームは、遂に撤退の判断を下した───
俺はザックームが不審な動きを見せた瞬間、微弱な魔力を感知した。
遅すぎた撤退の判断───
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