113話 死を齎す果実
我はアーテルに向かって『メテオ』を使った。
追いつめていた、と思えば……追いつめられていた、なんてよくある事だろうに……。
まぁ、アーテルがこれまで蹂躙しかしてこなかったのであれば、納得だがな……。
そして、我が作り出した星は地へと墜ちる。
いくら“魔帝”であっても押し潰されている事だろう……。
まぁ、そうでなくとも───
「フ……まぁ、もう済んだ事だ」
我は安堵しながら、ゆっくりと振り返る。
我が死を齎す邪悪なる樹という称号を持っているのは───……
「!!」
地面に何者かの影が映っている。
我はその影の上空を見る。
そこに居たのは───宙に立ち、我を見下ろす“魔帝”。
何故、ここにヤツが!?
ヤツは圧死した筈だ……どうやってこの距離を───まさかッ!
ヤ、ヤツは……我の背後へ転移してきたとでも言うのか!?
「不思議か? ザックーム……」
重く良く通る声が響く。
「黙るが良い! その身を自らの犯した罪で滅されるが良い!!」
「何? ザックーム、貴様は何を言って……!?」
フハハハハハ!!
驚き、奢り、焦り……いいぞぉ!
我はそのような“感情”に目がなくてなぁ!
さぁ、貴様も地獄を見る───いや、体験するが良い!!
「【アッ=ダリ】……!!」
我はアーテルに聞こえぬよう、小さく呟いた。
そして、我はアーテルの胃に果実を創る。
(何だ? 先程、何か呟いたような……)
ドクン、とアーテルの心臓が異様に脈打つ。
(な、何だ……!? 何が起き───)
フハハハハハ、気づてもいない!
自らが血を吐いている事に……!!
(ん? ザックームが気味悪く嗤って……何だ?)
アーテルは頬に手を当てる。
違和感に気づいたのか、真紅に染まったその手を見る。
そして……
「な……! 何故、血が!? まさかっ……貴様か! ザックーム……!!」
「さぁ……どうだろうな? 我では無いかもしれぬぞ?」
(ふ……この程度の容易なスキルで───待てよ、俺が血を吐く程のスキルとは、即ち……)
「足掻き、苦しみ、業火にその身を焼き尽くされろ……!」
「チッ!」
アーテルは舌打ちしつつも、しっかりと考えを巡らせる。
(足掻き、苦しむ? それに、業火とは───)
「ァアアアアアアア!!?」
アーテルが絶叫しながら、膝をつく。
それも当然。
己が罪によってその身が苦しめられているのだからな。
これが、上手くいけば……ヤツを完全にこの世から消滅させることが出来る。
「フフ……フハハハハハハハハハハハハ!!!」
少しずつ、アーテルの肌が黒く変質してきている。
これで、ようやく……!
世界最強の一角が消える!!
実に、実に……!
む?
まだ、燃えぬな……?
もう、燃えても良い頃だと思うが───
「……この様な、スキルに負けるなど、あってはなりません」
そう言いながら、立ち上がる。
アーテルめ、まだ抵抗しようとしているのか……。
どうせ、必死の抵抗だろうとも……我の奥義、全てを避ける事は出来まい。
「神代級・水属性魔法-『神水』……」
アーテルがそう呟くと、頭上に水球が出現していた。
刹那、アーテルに向かって落下する。
な……!
まさか……ヴィーテを使って自らの体を清めたのか!?
「フハハッ……」
我は笑いを隠す様に口元を手で覆う。
フハハハハハハハハハハ!
これなら我も暫くは退屈しなさそうだ……!!
「面白い……!」
我の口からその言葉が漏れる。
それを放置する。
そして、我は両手をゆっくりと大きく掲げ、告げる。
「我が偉大なるこの力を持って、この世に安寧を与えよう───。今ここに、“死”が訪れぬ平和な世界が築かれるのだ……!」
そして、この腐敗した世界を壊すのだ!
向上心の無い神共の……腐った性根と共に滅ぼしてくれる!!
我を侮辱した罪、崩壊する世界の中で悔いるが良い……!!
世界の滅亡を望む思想───
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