109話 樹の操者
獄神山の山頂にあるのは野原と泉───。
だが、今は霧が掛かっている。
その霧のせいで周りのものがハッキリと見えない。
「やっと着きましたね、ネロ様」
ネロに向かってクーペがそう言う。
それに対してネロは……
「そうですね」
ネロの体調もだが、コイツ等が何処まで戦えるかだな。
ザックームの分身の気配とこの先にある気配は全くの別物だ。
まるで、分身には少しの力しか与えていない様な───
!! 本当にそうなのだとしたら……ザックームの力はどれ程の物に───……
「よく来たな! ユグドラシルとその配下! それに、その貴様は───! そうか、貴様が悪魔の帝王、アーテルか! 歓迎しようではないか!!」
人影が見える。
憶測だが、ザックームだろう。
俺の瞳に薄らと映るその男は両手を広げて笑っている。
この気配───いや、魔力……性質はなんだ?
それに、分身とは桁違いの魔力量……!
これでこそ、俺が少し本気を出せると言うものだ!!
「何だ、その顔は……笑っているのか?」
「あぁ、すまない。ついつい……“戦える”という事が嬉しくてね……」
そう言って、無意識に笑っていた口を、手で覆い隠す。
(戦える? コイツは何を言っているんだ? まるで戦ったことが無いかの様な───そうか! 戦ったことが無いのか! だから、我に恐れをなしているのだな!)
「フハハハハハハ! そこまで恐るな! 実戦では、自らの実力の半分もだせぬ!! だから気にするな! 存分に戦おうじゃないか!!!」
……?
戦う事を望んでいる?
遊んで上げるから掛かってこい、と言っているのか。
それは、実に面白い……!!
「では───」
俺がそう言った刹那、泉に人影が映っている事に気づいた。
あぁ……セラですね。
最悪、バエルの所で治療して貰うしかありませんね。
「ゲリ! フレキ! クーペ! ラス! ネロを守りつつ、セラを助けろ!!」
そう大声で皆に伝える。
その瞬間……
「クソッ! 貴様から死ねぇえ!!」
ザックームは手を前へ突き出す。
何かが来る!?
“気配感知”を持っていて正解でしたね。
山の岩肌から次々と樹木が伸び、俺に襲い掛かる。
その数……60。
面倒だな……!
魔力解───いや、今はやめておこう。
最低減の力で全て避け切る!
右からか!
左側に動く。
間髪入れずに左と上、下から来るのがわかる。
“気配感知”を持っている俺の前では無意味だというのに……!
踊る様に体をしなやかに動かして避ける。
(な……何なんだ!? 樹木が避けている!? ……いや、そう見える程……動きが洗礼されているのか!)
樹木が何度も何度も襲い掛かってくる。
鋭利な樹木が伸びる。
避けて、悪魔の爪で切断する。
すると、代わりの樹木が伸びて襲い掛かってくる。
その数秒で再生し、次から次へと襲い掛かってくる。
避けて、切断。
代用の樹木が強襲。
超速再生。
鋭利な樹木が強襲。
避けて、切断。
代用の樹木が強襲。
超速再生。
鋭利な樹木が強襲。
───その連鎖。
遂に痺れを切らしたのか、ザックームが大声で叫ぶ。
「失せろ! 【ギスリン】!!」
ザックームがそう言うのと同時に両手を前へ突き出す。
そして、ザックームの掌の周りに黄白色の水球が6つ生み出される。
俺へ向かって勢い良く飛んでくる。
それは光速にも匹敵する程だ。
面倒な!
全ての速度がバラバラだ!
その速度も不規則に変わっている!
全て避け切るしか───駄目だ!
アレは避けてはいけない気がする!
ならば……全て受け止めてやるさ!!
発動───!
超級・地属生魔法-『金剛盾』!!
”魔帝“が繰り出す防御魔法───
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